嫌われ国王の魔剣幻想譚~虐げられた少年領主は戦場では史上最強の将軍だった…が、この度、王になりました~
【第7話】 悪魔に魅入られた地 シーミア(13)
(13)悪魔との物理戦
突っ込んでくるユリウスがこちらの間合いに入ってくるのにあわせ、レイナートは剣を突き出す。
タイミング良く、そこにおいただけの剣は、ざっくりとユリウスの胸を刺した。
レイナートは間髪を容れず
「〈雷撃〉!!!」
雷魔法をユリウスの身体の中に撃ち込んだ。
雷を頭のてっぺんから足の先まで存分に浴びるユリウス。
カハッ、と、衝撃に口をひらく。
常人ならこの時点で息の根が止まっているところだ。
だがユリウスは、想定よりも一瞬速く離脱し、追い討ちをかけようとしたレイナートの剣は空を切る。
さらにユリウスは離れざま一気に身を沈め、地面と水平に回転斬りでレイナートの足を狙う。
足を刈りにきた剣をバッ、と跳んでかわしたレイナートは、そこから金属ブーツの前足底でユリウスの顔面を蹴り跳ばした。
綺麗な顔の半分がつぶれ、ガクン、とユリウスの身体が崩れた。そこから逆足で胴体のほうに回し蹴りを撃ち込む。
ユリウスの身体が飛ばされる。
しかし、飛びながらユリウスは、手のひらをレイナートに向ける。
「〈深噴火!!!!〉」
レイナート向けて、赤い巨大な炎の球が膨らむ。
爆裂魔法を撃たれる。軌道からレイナートは回避した。
しかし。
「……〈分割〉!!」
ユリウスが呪文を追加で唱えたかと思うと、炎の球が細分化し、雨のようにレイナートを襲い始めた。
「〈最大楯〉、〈消炎〉!!」
巨大な楯を具現化して防ぎながら、レイナートは消火魔法をぶつけて炎を消していく。
二者、距離をとりタイミングをはかる。
そしてまた、剣をかまえ、刃を交えるべく互いに駆ける。
◇ ◇ ◇
(一度離脱?
いや、相手はユリウス王子。むしろここにいてユリウス王子の隙を狙うべきか)
うなだれながらも、レイナートの戦闘が始まった直後にはそう計算したベルセルカ。
しかし。
「…………!!」
こちらに向けて、空を飛んでくる黒いかたまりを見つけ、ベルセルカは石を拾い隠し持つ。
イヅル似の少女だった悪魔に、黒い翼と黒い尾が生え、顔回りに紋様のように毛皮が生えた姿だった。青く長い髪が上半身周りに散る。
悪魔は、ユリウスとレイナートの戦闘を見ると、怪訝そうな顔をした。
その瞬間。
ベルセルカは物理強化魔法をかけて石を投げた。
ほぼ直線に近い放物線を描いた石が、悪魔の胸を貫通する。
「!!!」
ちょうど心臓を。
驚異的な再生能力があるとはいえ、心臓がとまれば、少なくともそこから少しの間は動きに支障が出る。
ベルセルカは跳躍して距離をつめ、と見せかけて悪魔の背後に〈転移〉し空中で、悪魔の頭に後ろから、上段後ろ回し蹴りを食らわした。
「!!!」
大きく頭が揺れた。
悪魔は墜ちていき、地面に顔面を叩きつけられる。
「――――〈解除〉」
悪魔の首に、加護を一時解除したベルセルカの鍛えられた長い足が回された。
ゴロン、と地面に引き倒しながら、少女の二本の足が悪魔の首を締め上げる……
「私の鎧、返してください。
世界にひとつしかないレイナートさまからのお下がりなので!」
悪魔は、ベルセルカの脚から必死に逃れようとするが、脚自体にも物理強化魔法がかかっている。
“純潔の加護”がもし一時解除されていなければ、首ごととっくに焼け落ちているところだ。
「どうしてこんなことを企んだんです?
どうして、こんなに人を煽動したんですか?
あなたは、いったい何を」
『…………』
答えない悪魔の首を、ベルセルカはいっそう強く締めつけた。
苦しみ、咳き込む悪魔。
「いったい、どういうことですか?」
『………実 験 、 だ』
「実験とは?」
『悪 魔 が と り 憑 く こ と で 、 人 間 を 、 ど れ だ け 悪 魔 に 近 づ け る こ と が で き る か 。
そ の 半 人 間 と も よ べ る 悪 魔 を つ か っ て 、 さ ら に ど れ だ け 多 く の 人 間 を う ご か せ る か』
悪趣味な、と吐き捨てたベルセルカ。
『し か し 、 実 験 は 成 功 し た ぞ 。
残 念 な が ら 、 貴 様 を 新 た な 実 験 材 料 に す る こ と は な ら な か っ た が … … … 』
「ユリウス王子と一緒に王族を虐殺した件といい、悪魔たちはいったい何をしようとしているんです?」
単に魔核を集めたかったからなのか?
単に実験をし、残虐な技術を高めたかったからなのか?
それとも、さらに、この先に企んでいることの布石なのか?
問いただすために締め上げ続けると、もはや音をあげたのか、突然少女の身体から悪魔が抜け出した。
「!!!」
突っ込んでくるユリウスがこちらの間合いに入ってくるのにあわせ、レイナートは剣を突き出す。
タイミング良く、そこにおいただけの剣は、ざっくりとユリウスの胸を刺した。
レイナートは間髪を容れず
「〈雷撃〉!!!」
雷魔法をユリウスの身体の中に撃ち込んだ。
雷を頭のてっぺんから足の先まで存分に浴びるユリウス。
カハッ、と、衝撃に口をひらく。
常人ならこの時点で息の根が止まっているところだ。
だがユリウスは、想定よりも一瞬速く離脱し、追い討ちをかけようとしたレイナートの剣は空を切る。
さらにユリウスは離れざま一気に身を沈め、地面と水平に回転斬りでレイナートの足を狙う。
足を刈りにきた剣をバッ、と跳んでかわしたレイナートは、そこから金属ブーツの前足底でユリウスの顔面を蹴り跳ばした。
綺麗な顔の半分がつぶれ、ガクン、とユリウスの身体が崩れた。そこから逆足で胴体のほうに回し蹴りを撃ち込む。
ユリウスの身体が飛ばされる。
しかし、飛びながらユリウスは、手のひらをレイナートに向ける。
「〈深噴火!!!!〉」
レイナート向けて、赤い巨大な炎の球が膨らむ。
爆裂魔法を撃たれる。軌道からレイナートは回避した。
しかし。
「……〈分割〉!!」
ユリウスが呪文を追加で唱えたかと思うと、炎の球が細分化し、雨のようにレイナートを襲い始めた。
「〈最大楯〉、〈消炎〉!!」
巨大な楯を具現化して防ぎながら、レイナートは消火魔法をぶつけて炎を消していく。
二者、距離をとりタイミングをはかる。
そしてまた、剣をかまえ、刃を交えるべく互いに駆ける。
◇ ◇ ◇
(一度離脱?
いや、相手はユリウス王子。むしろここにいてユリウス王子の隙を狙うべきか)
うなだれながらも、レイナートの戦闘が始まった直後にはそう計算したベルセルカ。
しかし。
「…………!!」
こちらに向けて、空を飛んでくる黒いかたまりを見つけ、ベルセルカは石を拾い隠し持つ。
イヅル似の少女だった悪魔に、黒い翼と黒い尾が生え、顔回りに紋様のように毛皮が生えた姿だった。青く長い髪が上半身周りに散る。
悪魔は、ユリウスとレイナートの戦闘を見ると、怪訝そうな顔をした。
その瞬間。
ベルセルカは物理強化魔法をかけて石を投げた。
ほぼ直線に近い放物線を描いた石が、悪魔の胸を貫通する。
「!!!」
ちょうど心臓を。
驚異的な再生能力があるとはいえ、心臓がとまれば、少なくともそこから少しの間は動きに支障が出る。
ベルセルカは跳躍して距離をつめ、と見せかけて悪魔の背後に〈転移〉し空中で、悪魔の頭に後ろから、上段後ろ回し蹴りを食らわした。
「!!!」
大きく頭が揺れた。
悪魔は墜ちていき、地面に顔面を叩きつけられる。
「――――〈解除〉」
悪魔の首に、加護を一時解除したベルセルカの鍛えられた長い足が回された。
ゴロン、と地面に引き倒しながら、少女の二本の足が悪魔の首を締め上げる……
「私の鎧、返してください。
世界にひとつしかないレイナートさまからのお下がりなので!」
悪魔は、ベルセルカの脚から必死に逃れようとするが、脚自体にも物理強化魔法がかかっている。
“純潔の加護”がもし一時解除されていなければ、首ごととっくに焼け落ちているところだ。
「どうしてこんなことを企んだんです?
どうして、こんなに人を煽動したんですか?
あなたは、いったい何を」
『…………』
答えない悪魔の首を、ベルセルカはいっそう強く締めつけた。
苦しみ、咳き込む悪魔。
「いったい、どういうことですか?」
『………実 験 、 だ』
「実験とは?」
『悪 魔 が と り 憑 く こ と で 、 人 間 を 、 ど れ だ け 悪 魔 に 近 づ け る こ と が で き る か 。
そ の 半 人 間 と も よ べ る 悪 魔 を つ か っ て 、 さ ら に ど れ だ け 多 く の 人 間 を う ご か せ る か』
悪趣味な、と吐き捨てたベルセルカ。
『し か し 、 実 験 は 成 功 し た ぞ 。
残 念 な が ら 、 貴 様 を 新 た な 実 験 材 料 に す る こ と は な ら な か っ た が … … … 』
「ユリウス王子と一緒に王族を虐殺した件といい、悪魔たちはいったい何をしようとしているんです?」
単に魔核を集めたかったからなのか?
単に実験をし、残虐な技術を高めたかったからなのか?
それとも、さらに、この先に企んでいることの布石なのか?
問いただすために締め上げ続けると、もはや音をあげたのか、突然少女の身体から悪魔が抜け出した。
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