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予備心装士の復讐譚 ~我が行くは修羅と恩讐の彼方なりて~

平御塩

第2章プロローグ「ハジマリノノロイ」



むかし、むかしのお話。






その男は、ある名家に生まれました。






廃れつつあった名門の家に生まれた男は、多くの人々に愛され、大いに祝福されました。






その家は、それまで子宝に恵まれませんでした。






かつての栄光の面影も少なく、代々の当主も実力に恵まれず、徐々に衰退していた。その頃には、子供を授かることもなく、周囲から影でこう囁かれました。






『ああ、なんて嘆かわしい。力だけではなく、子にも恵まれぬとは』


『ああ、悲しきかな。これで■■■も畳時でありましょうや』






そのような言葉の数々は彼らを心と誇りに傷を入れるのにとても十分でした。






屈辱でありました。恥辱でありました。侮辱でありました。






子宝にも恵まれず、実力を手にすることが出来ないことが悲しかったのではなく、彼らにとって何よりも、彼らが積み重ねてきたはずの誇りを辱められることが、何よりも許しがたき事だったのです。






そのような辱めの数々を受けること幾星霜、ようやく待望の男子が生まれたのです。それを喜ばない彼らではありません。






子が生まれた時から、親である彼らは強く決意しました。






『子が望むのであれば、全てを与えよう』


『子の道は、我らが示そう』


『子の望み未来は、我らの望み希望






待望の後継者でした。家の未来を守ってくれる子でした。だからこそ、子が望めば与え、迷おうなら道を示し、自分たちの望みになるようにしました。






それが正しき選択であったのか。果ては間違っていたのか。






そのような事は、もう彼らにはわかりません。






ぐるり、ぐるり。がちゃり、がちゃり、と。






狂う歯車はゆっくりと回り始めました。



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