転生侍女は完全無欠のばあやを目指す

ロゼーナ

第十六話 二年目:ヒーローたちの密談

「あ、そうだ、カイ。少し聞きたいことがあったんだけど、ちょっとだけ残ってもらえるか?」


「はい、ヘクターさん」


 従者・侍女たちの秘密会議を終え、一同が解散となったところで、ヘクターがカイに声を掛けた。他の者はそれぞれの自室へと帰っていった。


 しばらくカイと雑談をしたヘクターは、全員の気配が完全に消えたところで、談話室に備え付けのソファーの座面をおもむろに持ち上げた。そこには、空洞になったスペースに、身を縮めて窮屈そうなナディルの姿があった。


「話が長いですよ、ヘクター。酸欠で死ぬかと思ったじゃないですか」


 ナディルはプンプンという効果音が聞こえそうな様子で分かりやすく怒り出す。


「でも、命を懸けて良かったと思えるくらい、有益な情報を得られたでしょう?」


 ヘクターの言葉に、ナディルはすぐに真面目な表情を作る。


「ええ、そうですね。サラの口からピヴォワンヌ様のお気持ちを聞いてしまって良いのかどうか、でも聞きたい、でも知りたくない、という心の葛藤が凄かったですが、やはり聞けて良かったと思います。彼女が私と同じ気持ちを抱いてくれているのならば、私に引く理由はもはや何もありません」


「…引く理由は山ほどありますよ。現時点ではまだアルベール様のご婚約者なんですから。お願いですから押すのはもう少し待ってください…」


 今にも突進しそうなナディルの様子に、カイは待ったをかける。


「むう、確かにそうだね。分かったよ、カイ。ちゃんと気を付ける。それにしてもヘクター、他言しない誓いまでしたのに、私に聞かせて本当に良かったの?ご丁寧に気配隠しの術式が組み込まれたペンダントまで貸してくれて」


 貴重な魔術式が秘められているペンダントをヘクターに返しながら、ナディルが尋ねた。


「大丈夫ですよ、オレはには、決して他言しないと誓い、ナディル様はのですから、何も問題ありません」


 ヘクターは悪気なさそうに飄々と屁理屈で返した。


「それに、ペンダントは念には念を入れて、というやつですよ。ソファーの中なら大丈夫という可能性もありましたが、ターニャは人の気配を察知する能力に長けてますし、オリアンダー伯爵家で鍛えられているアールとエマも未知のスキルを持っている可能性が十分ありましたので」


「…貴族科Sクラスの従者と侍女の恐ろしさがよく分かったよ」


 ナディルも呆れ半分、感心半分の声で言った。


「それにしても、キミは本当に恐ろしいよ。そうまでして自分の主を幸せにしたいの?それとも自分が幸せになりたいの?」


「どちらもですね。オレは欲深い人間なので。そしてオレと同じくらい欲深そうなナディル様なら、今日の話を聞いてやる気が出たのではないですか?」


 ヘクターもナディルをからかうように返す。


「それはもちろんだね。どうやったら最速でピヴォワンヌ様を私のものにできるか、もう考えているところだよ。でも、わざわざ私に重大な秘密を聞かせたくらいだ。キミには何か考えがあるのでしょう?聞かせてもらっても?」


「ええ、もちろん。そのつもりでわざわざナディル様に窮屈な思いをしていただいたんですから。今夏の爵位見直しが発表されてからでないと動けないので、本格的な計画は第三学年に進級してからとはなってしまいますが、ナディル様には正々堂々と動いていただければと思っています。気持ちを隠すよりも、その方が性に合っているでしょう?」


「それはごもっともだね」


「この計画では、誰かひとりだけが動こうとしてもうまくいきません。言い出した方と家に責任が問われてしまいますからね。そのため、アル・ピヴォワンヌ様・リーリエ様・ナディル様の四名には、現状を変え、誰の手を取るのか、決意を固めてもらう必要があるのですが、それぞれ信念を持った方々なので、誘導するのは難しいんです。だからこそ、ナディル様にはその中でもいちばん頭の固いアルにぶつかってもらいたいんです。オレがいくらでも誤魔化しますので、二・三発くらい殴っていただいても構いませんよ」


「私のことをよく理解してくれているようで助かるね。良いよ、協力しよう」


「…協力も何も、おふたりは元々共犯でしょうに…」


 ふたりの会話を黙って聞いていたカイが思わずため息交じりに口を挟む。


「カイ、共犯だなんて人聞きが悪いなあ。ナディル様とオレは、互いの夢を叶えるための運命共同体というやつだよ」


「そのとおりだね。ヘクターの清々しいほど自分の欲望に忠実なところは私も評価しているし、たとえ私を利用しているとしても、私にもこれ以上ないほどのメリットがあるのだから構わないよ」


 互いの腹黒さを隠そうともしないヘクターと主の会話に、カイは頭を抱えながらも夜遅くまで付き合うのだった。




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 今日で無事に第二学年の最終日を終え、学院は夏休みに入った。この国の貴族の社交シーズンであるこの時期に合わせて、王立学院も長い休みとなる。


 私は休暇をもらって二週間ほど実家に帰ってから、その後はジプソフィラ子爵家の領地の屋敷へと向かう予定だ。


 エマさんからの事前情報どおり、リーリエ様のお父上で私の雇い主でもある旦那様は、今夏の爵位見直しで第十一子爵の地位を得たのと同時に、王都から北西へ馬車で山を越えて四時間ほどの場所に領地を賜ったのであった。これまでの領地なし男爵からは大出世と言える。


 この領地は一年ほど前までは前第八子爵が治めていた土地であったが、血縁者のいなかった前子爵の急逝により一時的に王家の直轄領となっていたそうだ。領地は決して広くはないものの農地は十分にある。何より、数年前にエメラルド鉱山が見つかり、効果的な採掘方法と加工方法を編み出してこの地を経済的に潤したのが、当時は平民実業家であった旦那様、現ジプソフィラ子爵であった。そのため、旦那様は領主であった前第八子爵とは浅からぬ縁があり、鉱山事業にも継続的に関わっていたため、領地の土地柄について詳しく、領民からもすでに信頼を得ていた。その経緯を把握していた国王陛下の配慮もあり、この土地を賜ることになったようだ。


 新たな爵位が発表されたのは、夏休み前の学院最終日であった今朝のことだ。王立学院貴族科の生徒にとっては誰しも他人事ではなく、関心の高い発表なので、最新の爵位一覧は学院の掲示板にも貼り出された。


 二年前に平民から急に男爵令嬢となったリーリエ様は、それだけでも戸惑いがあったのに、急に領地を持つ子爵家の令嬢となった大出世に、喜ぶというよりは大変なことになってしまったという驚きと困惑の方が大きいようだった。


 リーリエ様から少し離れた場所で、ヘクターと共に掲示板を見ていたアルベール様は、子爵令嬢となったリーリエ様を複雑そうな目で追っていた。そしてその後方では、アルベール様の様子を見つめるピヴォワンヌ様の姿があった。発表に動揺しているリーリエ様はまだ気づいていないが、アルベール様とピヴォワンヌ様は、間違いなく気付いたのだ。この叙爵によって、アルベール様がリーリエ様と結ばれる道筋が見えたことに。


 そんな主人たちの様子に、ヘクター、サラさん、私の三人でアイコンタクトを取る。この夏休みの期間は、私たちにとっては準備期間となる。勝負は第三学年に進級したあとに予定されている、学院祭であった。それまでの間に、それぞれの主人が幸せになるための道筋を整える必要がある。




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 ノックの音に、ヘクターが来客を招き入れた。
 第一王子アルベールの自室にやってきたのは、ナディルであった。侍従のカイは部屋の前で待たせている。


「アルベール様、帰城前のお忙しいところ申し訳ない。お時間をいただき感謝します」


 アルベールとナディルはこの一年で随分気の置けない間柄となっていて、ナディルは普段はもう少し砕けた物言いをする。アルベールのことも呼び捨てするのが普通だ。それゆえに、ナディルのこの口調から、アルベールは彼が真剣な話をしに来たことを察した。カイを連れていないのは、人払いした状態で自分と一対一で話したいという彼の意向であることも。


「ヘクター、茶を用意したら下がってくれ」


「かしこまりました、アルベール様」


 場の空気を読み、ヘクターも従者としての態度で応じる。




 ヘクターが下がり、互いに紅茶に口を付けたら、会話スタートの合図である。


「…わざわざカクトゥス大公国産の茶を用意してくれるとは。お気遣い感謝します」


 まずはナディルが丁寧な口調で挨拶をし、それを受けたアルベールが口火を切る。


「口に合ったなら幸いだ。とくに私が指示したわけではない。ヘクターの気遣いだろう。それで、ナディル。何か大事な話なのだろう」


「ええ。今から口に出すことの無礼を先にお詫び申し上げます。そして、あくまでもこれは私個人のお願いであり、ディセントラ公爵家ならびにカクトゥス大公国からの意向は一切関係ないことを理解していただきたい」


「もちろんだ。私たちはクラスメイトであり友人なのだから、遠慮なく話してもらって構わないし、あなたの話がどのような内容であっても、事を荒げないと誓おう」


 アルベールから言質を取り、ナディルは告げる。


「単刀直入に言います。ピヴォワンヌ様との婚約を解消していただきたい」


「…本当にハッキリ言ったな。無理だと一刀両断したいところだが、あなたが生半可な気持ちでそんなことを言い出す男ではないと知っている。まずは理由を聞こう」


 アルベールは内心少し動揺しつつも、おくびにもださずに答えた。わざわざ人払いをして、アルベールとふたりで話がしたいと言われた時点で、話がピヴォワンヌに関わることだとは予想していた。自分の前では大っぴらに口説いてはいないが、彼がピヴォワンヌに想いを寄せていることは学院中が知っており、また、彼が本気であることも気付いている。しかし、まさかこれほどまでにきっぱりと「婚約解消」を願い出るとは思いもしなかったのだ。


「どんなに理由を並べても綺麗ごとにしかなりません。間違いなくいちばんの理由は、私が彼女を得たいからです。自分本位であることを隠すつもりはありませんし、違うと言えば大嘘になります。私はピヴォワンヌ様を心から愛している。だから彼女を得るためのチャンスがほしい」


 アルベールは黙ったまま、視線だけでナディルに先を促す。


「ただ、いくら私が愚かで欲深い人間であっても、それが他の誰のためにもならないのであれば、恋の炎に身を焦がしながらも、この想いは墓場まで持って行ったでしょう。あなたと彼女の婚約解消によって、間違いなく幸せにできる人たちがいて、その人たちが私にとって大切だからこそ、恥を承知で願っているのです」


「…私たちの婚約解消によって、誰が幸せになると言うのだ」


「まず一番は、ピヴォワンヌ様です」


「…!ピヴォワンヌがあなたに懸想していると?」


「自惚れ屋だと罵っていただいても結構です。しかし、理由は言えませんが、私なりにその確信があります」


 ナディルの濃い灰色の瞳が真っ直ぐ自分を捉えているのを見て、アルベールは彼が本当に確信を持って話していることを理解する。アルベールが言葉を挟まないので、ナディルはそのまま続ける。


「まず勘違いしないでいただきたいのは、現時点で私と彼女の間には、友人以上の関係はありません。それどころか最近は避けられてすらいます。あの方は心根まで真っ直ぐで美しい方です。私がどれほど言葉を尽くしても、近づきたいともがいても、決して彼女は受け入れてくれません。それは、あなたの婚約者であることを誇りに思い、あなたの足を引っ張るようなことは絶対にしないと、彼女自身が信念を持っているからです。たとえ、あなたの気持ちが自分にないことを知っていても」


 アルベールの表情は動かないが、ナディルの言葉に動揺していた。ピヴォワンヌが浮気をしているなどとは疑いもしないが、彼女の気持ちがナディルに向いているかどうかは、正直言ってアルベールには分からなかったからだ。そしてアルベールの心がピヴォワンヌにないことはどうにもできない事実であり、口の中に苦みが溜まっていくようだ。


「彼女があなたに恋をしているというのは、真実だと思って良いのだな?」


 アルベールの念押しに、ナディルは答えた。


「はい。ようやく私としてもその自信が持てたから、こうしてあなたとお話することを決めたのです。私は、自分の気持ちは一生通じなくても構わないと思っていたのです。そして、たとえ未来の夫からの愛情が得られずとも、家族として信頼し合い、彼女が幸せな人生を歩けるのであれば、そうすると決めているのなら、ただ応援しようと決めていました。しかし、彼女の心が私に向いているのであれば、話は違います。私への気持ちがある限り、彼女はあなたと共にあっても絶対に幸せになれない。夫に愛されず、愛する者のもとへ行くこともできない、そんな悲しい道を、私は彼女に歩かせたくないのです。彼女自身がその苦しい道を望んだとしてもです」


 アルベールはまだ沈黙している。ナディルの言葉が真実であるならば、彼の言い分はもっともであった。自分は婚約者であるピヴォワンヌを裏切る気持ちはない。彼女を愛することができなかったという意味ではすでに裏切りなのかもしれないが、せめて婚約者として彼女を悲しませるようなことだけはしないと決め、この学院での二年間を過ごしてきたのだ。


 ピヴォワンヌの気高さや優秀さは昔から知っていたが、学院で共に過ごすうちに、周囲の者への心配りを忘れず、深い思いやりを持つ尊敬すべき女性であると感じている。そして、第一王子の婚約者として、未来の国母としての強い自覚と責任感を持ち、常に努力し、自らを律していることも知っている。彼女に対して友情以上の感情はないが、それほどまでに自分と、このリリーヴァレー王国に尽くそうとしてくれている彼女を排するなどという発想はできようはずもなかった。


 リーリエのことを想う気持ちは消えるどころか増すばかりである。しかし、第一王子の婚約者として長らく努力を続けてきた彼女との関係を解消するという選択肢は、アルベールにはなかった。これまでに消費し続けた彼女の時間と努力を無にし、第一王子に婚約破棄されたなどという不名誉を背負わせるわけにはいかなかったのだ。


 しかし、ピヴォワンヌ自身に他に想い人がいるのであれば、ナディルの言うように婚約解消も視野に入れるべきであろう。愛のない結婚で彼女を苦しめるのは本意ではないし、王家とピアニー侯爵家の関係は、これくらいのことで崩れるようなものでもない。


 それでもアルベールがまだ迷うのは、ピヴォワンヌとの婚約解消を考えていること自体が、知らず知らずのうちに自らの欲望に流されているのではないかと、自分自身の思考を信じられずにいるからだった。
 リーリエが子爵令嬢となった今、彼女を婚約者へと望むことは、簡単ではないが不可能ではなくなった。身分的には弱いが、能力主義のこの王国において、王立学院貴族科特別クラスに在籍している時点で、リーリエの資質と能力は十分に証明されているのだから。


 ここまで考えたところで、アルベールはあまりにも都合の良い自身の考えに嫌気が差す。たとえアルベールとピヴォワンヌの婚約を解消したところで、リーリエよりも相応しい家柄や立場の女性はいくらでもいるのだ。王族である自分は、国に利のある女性を妃として迎え入れるべきである。ましてや、リーリエ自身の気持ちが自分になければ、そもそもどうしようもない話であった。


 熟考した末に、アルベールは一瞬苦し気な笑みを浮かべたあと、口を開いた。


「…あなたの言葉を信じよう。そして、婚約解消は検討させてもらう。あなたの言うとおり、私や王国の利益のために、大切な友人である彼女の一生を不幸なものにするつもりはない」


 アルベールの表情と言葉で、彼の葛藤を正しく理解したナディルは、最後の一押しをする。


「心から礼を言います。…しかし、アルベール。あなたはまだ状況を正しく理解できていないようです」


 ナディルは口調を少し崩し、ここからは友人同士としての会話であることを暗に示す。アルベールはナディルの言葉に首を傾げる。


「私は先ほど言いましたよね。『あなたと彼女の婚約解消によって、間違いなく幸せにできる人たち』がいると。それは、ピヴォワンヌ様のことだけではありませんよ。私が幸せにしたいのは、リーリエさんとあなたのこともです」


「…!」


 日頃表情に感情を出すことの少ないアルベールが、明らかに驚いた顔を見せた。


「あなたはその責任感の強さゆえに、自分と大切な人の感情に疎すぎます。リーリエさんが誰を想っているのか、なぜ気付かないのですか。あなた以外のクラスメイトは全員とっくに気付いているというのに」


 アルベールはまだ絶句しているので、ナディルが続ける。


「あなたが、ピヴォワンヌ様を不幸にしないために、婚約解消を考えなかったことは分かっています。しかし、あなた方の婚約が続くことで、あなたの想い人が胸を痛めていることに気付いてください。あなたは彼女のことだって不幸にしたいはずがないでしょう?」


「…そんな…都合の良いことがあるわけがない…」


 アルベールはまだ信じない。ナディルはあからさまにため息をついて見せた。


「楽な方へと逃げないために、ピヴォワンヌ様のことを決して裏切らないために、ご自身のことを律し続けてきたことは尊敬します。しかしそれにしたって鈍すぎるでしょう。あなたがリーリエさんを目で追うとき、その視線がぶつかることはありませんでしたか?彼女がクラスの皆に手ずから作ってくれる焼き菓子は、いつもあなた好みの味ではありませんでしたか?授業であなたと同じグループやペアで活動するときの彼女は、いつもどんな顔をしていましたか?」


「……」


 アルベールの顔が、首元から頭の先まで真っ赤に染まる。


「ようやく理解が追いついたようなので、もう一度言いましょう。あなたとリーリエさん以外のクラスメイト全員が、あなた方の気持ちは知っています。つまり、ピヴォワンヌ様もとっくにご存知です。それでもあなたが自身を裏切らず、誠実であろうとしているからこそ、彼女はたとえ愛されなくてもその責から逃げようとは考えません。…私は自分自身の幸せを願う欲深い人間です。しかし、それと同じくらい、この国で出会った大切な友人たちの幸せも願っているんです。あなた方三人が、誰も幸せにならない方向へ向かっていくことを見るのは、もう耐えられない」


 ナディルの濃い灰色の瞳が、うっすらと水分の膜で覆われている。自分のためだと言い切ってみせた彼が、本当は心の底から友人の幸せを願い、その行く末を案じていることがアルベールにも伝わった。


「…ナディル、すまなかった。そんな顔をしないでくれ。私だって大切な友人にそんな顔はしてほしくない」


 悲し気に微笑んだアルベールは、表情を引き締めて言った。


「そしてありがとう。あなたの言葉で目が覚めたよ。私は視野が狭かったようだ。自分を律しているつもりが、あやうく周りの大切な人まで不幸にするところだった」


 ナディルはアルベールの迷いのない表情を見て、微笑んだ。


「私が悪役になっても構いません。あなた方の婚約解消に協力させてください」


「礼を言う。しかし、なるべく穏便に進めるよう根回しを進めるさ」


 ふたりは微笑み合い、固く握手をしたのであった。





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