始まりは水曜日の15時過ぎ

緑川まい

1人同士の19時過ぎ(20)


「澪央はもう、“誰だよこの女”感を丸出しでブチ切れそうだし、俺もその人のこと知らなくて唖然ですし。
そしてその彼女は今にも澪央に掴みかかる勢いだし。

俺はとりあえず澪央に被害出ないように、というか相手の人にも被害が出ないように、澪央を後ろに隠して前に出るしかなくて。
今思えば、兄と同じ顔なので、普通に浮気相手庇った構図にしかならなくて。

ひたすら叫び倒すその人に困っていたら、その彼女の向こう側に走ってくる兄が見えて。
後から聞いたら、2人の待ち合わせ場所がその場所だったみたいで。


“誰よ、その女!”
“なんなの、そのブサイクな女”

とか、もはや澪央への攻撃の言葉しかなくて。
その人の向こう側にいた兄にまで聞こえてて、みるみるうちに修羅場ですよ。

澪央も、“あ?なんなのアンタ”ってもうほぼキレてて。

そんな時に、
“いいわ!これでお互い様よね!私だって浮気してるし!”
って。


さすがに澪央も唖然ですよ。
2人揃って何も言えなくて。

で、
“じゃあ、別れようか。
俺、浮気する女は嫌だし、なによりも俺の妹と弟を攻撃するのは許せない。
そんな彼女、いらないな”

っていう、これまでに聞いたことない兄の冷めた声が聞こえて。

澪央ですらびっくりしてて。
振り返って、どういうこと?って動揺してる彼女を置いて、兄は俺たちを連れ出しました。

その後、兄はショックを受けるどころかキレてて。
しかも彼女の浮気じゃなくて澪央を傷つけたことに。

結果、その彼女、2股どころか3股してて。
学校内でめちゃくちゃ非難されてました。

そこから発覚する、兄と俺のそっくり具合と、兄が想像以上のシスコンでありブラコンという事実。

その後も、兄と俺を間違えるのも何回もありました」




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