始まりは水曜日の15時過ぎ

緑川まい

1人同士の19時過ぎ(3)


「怪我、させられたんだ」

「怪我…」


想像しただけで苛立ってくる。
なんで、そんなこと…。

「気のせいかもしれないけど、嫌われてるのかな?って相談されたとき、俺が泣きそうになったよ。

俺自身、物が取られ始めた時には何も出来ていなくて。
取られた物を取り返して津田に渡した時、ありがとうって言われたんだ。

なんで、何も出来てないやつに向かってありがとうなんだって思ったよ。
申し訳なくて。
まぁ、姉貴たちにはもう…びっくりするくらいボロクソ言われてたよ。

相談を聞いてたら、津田自身も勘違いだって信じたくて、自分でも一生懸命話しかけたり、色々努力してて。

なんでこんな健気な子をいじめるんだろうって思った。

俺にとって津田は、今も昔も妹みたいなやつでさ。

その怪我させられた時、もう、許せなくて。
暴言飛ばして、担任に向かってもいじめられてる生徒を見て見ぬフリしたやつだって職員室内で大きな声で言い放ったし。

結局、人気女子は俺を標的にしたけど、最終的には好きな相手の男子にバレたし、担任は見て見ぬフリを指摘されたのが校長に聞かれてどこからか教育委員会まで話がいって辞めたよ。

怪我させられたの、本人は普段見えてないと思うんだけど、背中に傷が残ってるんだ。
正直、人気女子がお咎めないのが今でも許せない。

今回のは、いじめられ始めた時に何も出来なかったことを悔やんでて。
少しは返せたかなって思ってる」


傷…たしかに、本人もよく分かっていない傷があったのを思い出した。



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