始まりは水曜日の15時過ぎ

緑川まい

公表日の9時過ぎ(21)


「お前ら、いつも言ってるけど、すぐ2人の世界に入るよね」

「え、あ、ごめん、お詫びにもう1個、飴あげるよ」
「すみません、これもどうぞ」


「めっちゃお菓子好きな人みたいじゃん俺…。
とりあえず、ありがとう」


何故かさらに飴をもらいながら、お礼を言うしかなくなる。


「野田くんって、ツッコミとかするんだね。
めちゃくちゃクールなのかと思ってた」

「そうそう」

「あと、伝説の女の弟くんって本当?」


こっちでも恒田のことは伝説の女と言えば通じる。
俺たちの同期はいないけど、この前の事件は静かに浸透していた。

「あ、こちらでも姉を知っている方がいらっしゃるんですね。
はい、恒田澪央の弟です。
先日はお騒がせしました…」

「澪央、カッコよかったよねぇ。
あの出向して来た人、取り調べ中に澪央の啖呵を思い出して泣いちゃったんだって」

「いや、お前だけだよ、あれをそんな笑顔で語るやつ…。
普通に自分に向けられたら怖ぇから」

「いや、蒼には一生向けない気がする…」

「たしかに」

俺の言葉に何度も頷く野田くん。
前にちょっと話したら、姉貴が強めだって言うこともあって通ずるものがあった。

また呑みながら話す予定だ。



その後、野田くんは部署の人に呼ばれて自分のところに戻っていった。

「じゃあね、蒼」

そんな甘い声を残して。


多分、津田がいなかったら何人か女性陣堕ちたなって思う感じだった。


SIDE 横川 END


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