公表日の9時過ぎ(2)

横川くんにも言われたんだけど、紫央はツヤツヤしてるらしい。

よく、女の子が彼氏ができて肌ツヤが良くなるって話を聞いたことがあるが、私たちの場合、紫央の色気が以前にも増して出ているようで。

ただ髪が伸びたせいでかきあげる仕草が加わったので、色っぽく見えるのは間違いないんだけど。

おかげで、まだ私たちの関係を知らない人たちは紫央が視界に入るだけで目の保養になっているらしい。

わかるー。
かなりわかるー。

あの色気はもう、何人か堕とせる色気だわ。

紫央的には、育児の本を読んでいるからか、髪を切る暇なんてないっていうのを知って一気にバッサリいく楽しみを味わいたくて少し放置していたらしい。

私に対しては
「その色っぽい感じしまってください」
ってよく言ってるんだけど…ちょっとなに言ってるのかよくわからない。

「おい、お前の旦那が来たぞ」

「うん。
行こうと思ったけど…また捕まったから外で合流するよ」

横川くんも扉の近くで早々に女性陣に捕まった紫央を見つつ、またか、といった様子。

多分、紫央は朝礼に向けての最終の打ち合わせをするために来たんだろう。

一緒に住んでるし、一緒に出勤したのにこうやって来るってことは、彼の方が緊張しているみたい。

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