始まりは水曜日の15時過ぎ

緑川まい

最終日の21時過ぎ(7)


「紫央、これ…」

「遅くなってごめんなさい。
どうしてもこだわりたくて、作ったら出来上がるまでに時間がかかっちゃったんです。

左手出してください」


そっと持ち上げ、左手の薬指に出来上がったばかりの指輪を嵌める。


「蒼、一生幸せにします。
俺と結婚してください」

「はい、よろしくお願いします」


周りには誰もいない。
辺りを見回すと、ライトアップされた観光名所が見える。


両手を握って向かい合う。

「諸々、順番がおかしくてごめんなさい。
蒼さんと知り合えて、付き合えて、結婚できて、すごく幸せです」

「私も。
私ね、紫央の全部が好き。
甘えてくるところも、嫉妬して怒ってるところも、クールなところ
も、何もかも全部。

紫央、ありがとう」


甘えるように抱きついてくる彼女。

愛おしい。
好きで好きで、たまらない。

キュンとする、ってこういうことなんだろう。


秋の夜、愛しい気持ちでいっぱいになりながら、彼女を抱き締めた。


SIDE 紫央 END


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