始まりは水曜日の15時過ぎ

緑川まい

最終日の21時過ぎ(1)


「蒼ー、私、このタイミングでめちゃくちゃ寂しい」

「私も…。
次はいつ帰ってくる?」


送別会後、蒼、横川さん、澪央と俺の4人で店の前で別れを告げる。
このまま実家に向かう澪央は俺たちとは反対方向。

横川さんは彼女さんと同棲を始めたらしく、今回から蒼や俺と同じ方向らしい。


「すごい不思議なんだけどさ、今のこの時代に、連絡取り合うのが手紙だけってどういうことなの?
メールでもテレビ電話でもすればいいのに」


たしかに。
手紙だったことに驚く。

「あぁ、それは、私が澪央の字が好きだから手紙にしてもらってるの。
あと、向こうの便箋が可愛くて」

「そうそう。
私も全く苦じゃないし、そうでもしないと日本語の言葉遣い忘れちゃいそうだから。
結構楽しんでるんだよね」


ねー?なんて言う2人。
「その声のトーンは公共の場では出しちゃいけないやつだろ…年齢考えろよビビるわ…」

「あ?」

「すみません何でもないです」


横川さんと澪央の言い合いに、蒼はニコニコ。
楽しそうだ。

可愛い。


もう周りにも人がいなくなってきているからか、蒼がさりげなく横から抱きついてくる。

めちゃくちゃ可愛い。



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