始まりは水曜日の15時過ぎ

緑川まい

最終日の14時過ぎ(10)


「というか…突き飛ばされたの、大丈夫だった?」

「うん。
椅子に腕が引っかかっておかげでワンテンポ遅れて、紫央が抱き留めてくれたし。

でもさすがにヒヤッとしたかな」


無事でよかったよー、なんて蒼に抱きつかれる姉さん。

何もなかった喜びもあるだろうけど、蒼に抱きつかれて嬉しそうだな、この人。

ゆっくりと蒼から離れて、俺にも何か言おうとする。
申し訳なさがあるみたい。

「ごめん、紫央…」

「思わず名前を大声で呼んじゃったよ。
俺の方がヒヤッとした、ほんと」

「ごめんね、紫央。
紫央がいなかったらかなり危なかった。

ありがとう」


そう言いながら抱きついてくる。

本当によかった。


姉さん、こんなに小さかったんだ、なんて思いながら抱きしめる。

身長差もあるからかすっぽり収まる。



とりあえず背中を摩る。



しばらくそのままでいた。



コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品