始まりは水曜日の15時過ぎ
連休前の12時過ぎ(11)
「紫央、気を付けなさいよ?
蒼ってば、気付かないうちに人の心を奪い去っていくの。
素で出てくる優しさに、あっさり落ちるんだから。
取られないように気を付けなさい」
「大丈夫だよ、澪央。
私よりも、紫央が人気なんだから。
だから指輪もずっとつけてもらってるの」
「いや、蒼もかなりの人気だから俺も結構焦るよ。
この指輪は、俺が嬉しくて付けてるって感じだから」
嫉妬深いのは俺。
ブラウスの首元から、俺がつけた紅い印がチラッと見える。
指輪をまだ渡せていない代わりに、ギリギリのところに印をつけた。
蒼は、プロポーズのときに、紫央のことは信じてるけど、私が少し焦ってたのかもって言ってた。
だから早く自分の相手だって言える証拠が欲しかったって。
好きな人にそう思ってもらえることが、どれだけ幸せなことか。
愛しくて、泣きたくなりそうなほど、嬉しくて。
好きで好きでたまらない。
こんなにも、頭が蒼でいっぱいになってる。
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