始まりは水曜日の15時過ぎ

緑川まい

火曜日の12時過ぎ(7)


「わー、すげぇ。
彼女だってバラさないとこういう感じになっちゃうんだ」

「いや、それ以前に、彼女いるって言ってるのにあの感じだと…諦めがかなり悪いか、粘り強いか…」


「それにしても、俺が行きたくないってすげぇな。
誰に聞かれてるか分からないからこんな言い方するけど…、めちゃくちゃ彼女好きじゃん。
どこが好きなの?」

「うーん、全部。
基本的にキリッとしてるけど、めちゃくちゃ抜けてるところとか。
あとは、油断するとふにゃっと笑うから、諸々危ないなって思います。

要は、めちゃくちゃ好きなんで、ああいうのが来ても靡かないですよ、蒼さん。
大丈夫?」


さっきから何も言わない彼女に、不安になる。


「うん、靡くとか、取られるとかいう不安とかはないんだけど…、なんか去り方が諦めない感じがして怖いなって。

あ、そうそう、私も彼氏いるけど、全部好きなんだよね。
敬語じゃなくていいけど、たまに、やべぇとかボソッと言う言い方が結構好きで、いつも耳澄ませてるの」



「なんなの、お前ら…」


ここが公の場所じゃなかったら抱きしめてたな、これ。
動揺してしまった。

呆れる横川さんだが、彼女は俺の動揺がわかっているのか、してやったり感。

可愛すぎてどうにかなるかと思った。



コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品