始まりは水曜日の15時過ぎ

緑川まい

土曜日の0時過ぎ(3)


「あれ、また寝ちゃいました?」

「ううん、寝てない」


「よかった。
さっきは、挨拶しに行って声かけたら、足を踏み外すと同時に抱きついてきたんですよ?
覚えてます?

それで外に出るし、やっと見つけたら公園にいるし。
お酒飲むと眠くなるタイプなんですね」

でも、やっぱり安心する。
「好き」

うん、やっぱり野田くんが好き。
改めてなんて言えば…「え?」

「え?」

「え?
いま、好きって言いました?」

「…!」


待った、声に出してた?
え、これから告白のシチュエーション考える予定だったのに!

ごまかす?
どうする?

…いや、無意識に言っちゃうほど、好きなんだ。
さすがにごまかせない。

体を離して、ものすごい驚いたように顔を覗き込んでくる彼を見て、覚悟を決める。


「うん。
私、野田くんが好き。
気兼ねなく、こうやって抱きつける仲になりたい」


驚いた表情の彼を見て、帰ろう、と途端に思い、離れようとする。


が、
「…さっき、眠る直前にも好きだって言ってくれたのに、寝ちゃうんですもん。
俺のもどかしさ半端なかったです」

そんなことを言いながら、強く抱きしめられていた。



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