始まりは水曜日の15時過ぎ

緑川まい

金曜日の19時過ぎ(13)


「やっと見つけた…」

「あ、野田くん」


店の外にはおらず、近くの公園のベンチにいた。

資料室のときと同じように、第二ボタンを開けて涼んでいたらしい。


ほんとに…誰にも見つからなくてよかった。
この人の無防備さはもうここまで来ると罪な気がする。

「はい、水どうぞ」

「ありがとー。
もらうね」


キャップを外して渡すと、ふにゃり、と柔らかく笑った彼女はゆっくりと飲み始めた。

少し飲んで、一息。


「どのくらい飲んだんですか?」

「いや、2杯だよ?
水と勘違いして焼酎、ウーロン茶と勘違いしてウーロンハイ」


勘違いが多すぎる…。
普通一口目で気付くはずなんだけど…いつも暑いって言ってるから一気飲みでもしちゃったのかな。

そう考えると、焼酎飲めちゃうんだから弱くないのか?


すると、ゆっくり寄りかかってきた。

相当眠いらしい。



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