始まりは水曜日の15時過ぎ

緑川まい

金曜日の19時過ぎ(7)


「大体、私にも好きな人がいるんだってば。
さっきだって言ったじゃん」

「でも入社後すぐだぜ?
何年の片想いだよ、諦められねぇって」


「嬉しいけど付き合えない」

「津田ー」


周りもガヤガヤしてるし、私も酔ってるし、でもう普段だったら言わないようなことを言ってしまう。

後から考えたら、好きな人がいる!なんて公の場で大きな声で言えない。


もう、野田くんに会いたい。
告白する勇気はないけど、会いたい。

「蒼さん、お疲れさまです」

「え…?」


…?
野田くんの声がする。

だって、私のことを蒼さん、だなんて呼ぶ男の子は彼だけだ。



顔をあげたら、野田くんが見えた気がした。

ずっと会いたかった人が目の前にいて、だんだんと頭が冴えてくる。

だめだ、好きすぎる。


頭を冷やして、告白しよう。

とりあえず外の空気を吸おうと立ち上がったら、フローリングで滑って段差を踏み外した。





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