始まりは水曜日の15時過ぎ

緑川まい

水曜日の15時過ぎ(8)


「どうかしました?」

「いや、抱き留めたはいいんですけど…この体勢だと胸元も丸見えで…」


「え!」

「いや、一瞬しか見えてないので大丈夫です」


いやいや、私としては大丈夫じゃない!
恥ずかしすぎる!

顔を逸らしたままの彼にお願いしてなんとか下ろしてもらい、急いでボタンを締めた。

完全に気が緩んでた。


「いや…津田(つだ)さん、下着も透けてます…」

「え」


なんかもう、この短期間に色々見られすぎじゃない?
逆に面白くなってきた。

「え、なんで笑ってるんですか?」

「いや、だって、下着全部見られて、なんかもう隠すものないなって」

「いや、目のやり場に困るので隠してください」

「気をつけるけど…暑いから透けてるのはスルーしてほしいです。
えっと…野田くんですよね?
なんで私の名前知ってるんですか?」


とりあえず、椅子を用意してあげる。
透けてるのも申し訳ないから、ちょっと離して。

カーディガンをお腹に置きながら体を丸めて話し始める。

野田くんもネクタイを少し緩めた。


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