最強兄妹の異能破壊

初歩心

第二話 消去

 先程の両親かれらにとって衝撃的な出来事から二十分後。


カーテンで締め切られた若干薄暗い部屋。

小鳥がさえずり外が確かに朝であることを告げる。

そんな、いつもどうりの朝に主婦と会社員のテーブルに突っ伏して眠り込んでいた。

彼らを起こすように台所にセットしてあったタイマーが鳴り響き、火にかけていたやかんもけたたましい音を上げる。

「え、何?」

「何だ?」

けたたましい音で二人は目を冷ました。

そして女性はやかんが溢れ出そうに鳴っているのに気が付き慌てて止めに行く。
やかんの火を消すとその流れでストップタイマーも止める。

「ふぅ、間に合った」

胸をなでおろす彼女の仕草に合せ片方で束ねまとめた銀髪が肩から落ちる。


「一体今まで何をしていたんだ私は
……そうだ今何時かテレビを」

おもむろにテーブルにあったリモコンで、
男性がテレビをつけると時刻は8時を過ぎていた。

「まずい、少し遅れそうだな」

男性は、慌てて自身の真横の椅子から鞄を立ち上がりながら持つと玄関に向かう。

「?! あなたコーヒーは?」

「すまない、今日は遅れそうだからもう出るよ 行ってくる」

「そ、そう? 行ってらっしゃいね」

「あぁ、行ってくる
……いつもありがとうな 」

その言葉は、いつものやり取りのはずだった。

だが彼女は、さも夫からは今まで言われたことのないくらい優しい言葉のように感じた。

「え?……えぇ!! 気おつけてね!!」

それに恥ずかしそうに笑顔で誤魔化しながら答えると夫はドアを開け外へと出ていった。


明るく手を振り夫を見送る彼女は、心なしかいつもより幸せな気分だった。

だがどこか、ポッカリと穴が空いたような喪失感が心のすみに彼女はあるように感じた。

そんな気持ちが突き動かしたのか体が勝手にリビングにおもむく。

そしてふとテーブルに目が止まった。

今、住んでいるのは二人だけなのになぜかテーブルに白い皿4枚が積み重なっている。

まるで今まで四人の家族で住んでいたかのように。

「気のせいよね?」

彼女は少し気を止めただけだった。

よし、と寝室に向かうとクローゼットから掃除機を引き出す。

彼女は今日も日々の家事をこなし始める。


そう彼らの子供の記憶はもうすでに完全に消去されたのだ。


というやり取りの映像がある一角の暗い会議室でインジェクターから投影されていた。

ピッと、音がすると明かりが付きカーテン自動でも開かれる。

「今、見てもらった映像は高明確音収カメラによるものだよ
まぁ穏便に済ませるためこう対処したわけだけど何か文句はあるかい?」

 
黒いコートにタイトな黒いスカートを身に着けているお姉さんはどこか申し訳なさそうに長机とセットの椅子に座っている少年と少女にそう投げかけた。

「………いや、むしろ有り難い対処だ
実の母親と父親をこれ以上巻き込むわけにはいかないしな、だろ?」

「うん、少しだけ悲しいけど
大丈夫、ありがとう司令官」

お姉さんは、それを聞くと少し驚いたような顔をしたが咳払いをすると話を続ける。


「そうかい?
……でももう少し悲しむかななんてな思ったんだけど」 

「おいおい、俺たちもう高校生だぜ
親離れぐらいとっくにできてる
それにいつかはこんな日が来るって言うのも分かっていたんだ」
 
そう言いなが、少年は足を組みながら机に乗せた。

「こう兄と私の覚悟なら……とうにできてる」

「まぁそういうことだ」

「分かった、では話を続けよう
二人ともこれを見てくれるかい?」 


黒色のクリアブックファイルを司令官から渡される。

少年は、眠そうに少女は淡々と受け取るとファイルを開いた。 

そこには、2枚の殲滅対象異能者が掲載された資料が入っていた。

内容は以下のとおりである。

場所 イギリス

異能力事件特徴・人物
新米からベテランまでの少数の女優が死亡している。
現場は人道りの少ない道で高層の建物の付近で必ず起きていた。
警察は、飛び降り自殺として断定している。

だか、どの死体も身体がなにかに押しつぶされたかのように異様にひしゃげ顔面が説明がつかないほど凹んで発見されていることから、異能力行使の犯罪であると仮定。
異能力は『重力操作』グラビテイカーだと思われる。

たまたま通りかかった男性の目撃者によると犯人は黒いドレスに身を包んでいた女性。
顔はベールを深く被っていたため分からなかった模様。
そして、こちらへ振り向き
「私が誰だかわかる?」
と意味深な言葉を放ち男性が横に首を降ると口に笑みを浮かべ去っていったという。

現在、我が国の特殊異能対策員はイラクの紛争地にて対処にあたっているため申し訳ないが貴国の特殊異能対策員に解決をお願いしたい。

英国家特殊異能対策本部

場所 アメリカ合衆国

異能力事件・特徴
ギャングの主要グループが相次いで殲滅させられるとうい事態が起きている。
犯人として、現ギャング支配者ロイ・キャメロンがあがっている。
混乱していた全ギャングを一夜にしてまとめ上げ現、地位を築きあげた。
ある人物の情報によると、彼を気に入らない奴もいたらしく、
多勢に無勢で彼のアジトに乗り込んだらしい。
だか、そこに待ち受けていたのは彼一人。
扉を開け乗り込んだ瞬間、またたく間に全員が瞬殺されたという。
死体の傷口から死因は心臓を銃弾で撃ち抜かれた銃殺であることは間違いなく。
鑑定によると不思議なことにほぼ同時刻に全員が射殺され死亡したという結果がでた。
これにより、異能力は『時間停止』タイムストッパーだと仮定される。

現在、我が国はイギリスと共同で紛争地帯にて異能者の対処にあたっている。
諸君らの健闘を祈る。

アメリカ合衆国国家特殊異能力対策本部


少年と少女はほぼ同時に資料を閉じた。

「つまり今回は、下働きてところか?」

「う〜ん、そんなところだよね
不服かい?」
 
「いや、異能力と対峙できるならなんでもあいい
だろ、舞香」

「うん、楽しみだねこう兄」

「なら、まずは君たちに向かってもらうのは」

「イギリス、だろ」

「ご名答、」
 








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