献華

七星奈星

第1話

バスは嫌い。

理由は単純で臭いから。

このたった2文。
適当に作ったこの2文。

英語の授業でスピーチの順番が俺まで
回ってきた時、口から放ったこの2文にものすごい剣幕で異議を唱える女がいた。


こういう真面目なやつとか
文化祭も合唱コンもクラスみんなで頑張ろう
みたいなことを言うやつが大っ嫌いで、
俺はいつからか不良生徒になっていた。

色のない生活に喧嘩で華を添える

そんな生活で俺はいいと思っていた。

でも高3になって親に大学を心配されたから
今日久しぶりに授業に顔を出してみた、
そしたらこのザマだ。

やっぱり学校は嫌いだ。

「なんで?!」

彼女がこう声を荒らげた時クラスは静まり返り、俺とあいつの特設フィールドが設けられた。

男ならのしてやればいい、
でも相手は女、手は出せない。

じっと黙っている俺にあいつはさらに
攻撃を仕掛ける。

「理由が薄すぎるでしょ!ちゃんと説明してよ!」

なんでだよ、バスにそんなに思い入れがあるのか、面倒臭い女だな。
俺は口が上手い方じゃねえのに、

黙っていても相手が折れてくれそうにないから俺は英語で言う

だって暑いじゃん。

あいつはまた声を荒らげる。

頭に血が登っているのがすぐに分かる

「自分で調節すればいいじゃない!
そんな努力もしないでどうしてそんなこと言うの!」

どうしてって、知らねえよ。
とにかく早くこいつを落ち着かせなければ、

「ああもう、ほんとは嫌いじゃねえよ、テキトーに言ったんだよ。」

それでもあいつは収まらない

「テキトーに言った??
逃げようとしたって無駄だからね!」

こいつはどうしても逃がしてくれないみたいだ。なら嫌いなところをたくさん英語で言って圧倒してやろう。

バスは時間を守らない、
さらに、時間より早く出発することだってある。もはや公共機関として失格だよね。

意外と手短に済ませることが出来た。

そうしたらあいつは黙って俯いた。今の簡潔かつ妥当な理由に手も足も出なくなったんだろう。

俯いていたあいつは顔を上げ、そしてまた大きな声を出す。

「ごめんなさい!!勘違いしてました!」

「え?」

俺は状況が理解できなくなっていた。

彼女は恥ずかしそうに早口で自分の勘違いを説明する。

「busって乗り物の方だったんだね、
あのー、ごめん、お風呂だと思っちゃってた……」

予想外の答えに俺は狼狽える

「お、おう」

その場はそこで収まったが、
勘違い相手にムキになったのが恥ずかしくて俺は教室を飛び出したからその後がどうなったのか詳しく知らない。

後日俺はあいつとばったり公園で会ったからついでに俺は一応あいつに謝った。

「この前はムキになっちゃってごめんな」

「ううん、全然気にしてないよ。」

見慣れない私服で屈託のない笑顔を
見せるあいつ。

それからだった。

俺の生活に新しい華が添えられたのは

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