異世界に召喚されたのでさっさと問題を解決してから

水色の山葵

二十三話 勇者(前)



 決勝の相手は教会のシード選手だ。
 純白の鎧とバスターソードのような長めの剣を持っている、勿論剣の刀身も真っ白だ。
 俺と純白の聖騎士が戦ったとき、主に女性からその歓声は上がった。


「「「「「勇者さま~~!!!」」」」」


 うるっさ。
 今回一番うるさいんじゃないか。
 そういえば教会で一番強い聖騎士には勇者の称号が与えられるんだったか。
 さてステータス鑑定から入るか。


 名前 御剣 亮太
 種族 人間
 年齢 18
 職業 勇者
 レベル141
 体力3525
 MP3290
 攻撃力3850+1000
 防御力3920+700
 敏捷性3660
 魔力値3500


 スキル 〈剣技〉〈剣術〉〈聖剣技〉〈両手半剣適性〉〈聖剣適性〉〈ディスペル〉〈聖剣術〉〈全属性耐性〉〈見切り〉〈自動回復〉〈自然治癒〉〈魔法分解〉〈スタミナ維持〉〈摂取エネルギー増大〉〈高速思考〉〈超踏み込み〉〈加速〉〈天歩〉〈光属性付与〉〈チェイン〉




 装備スキル 〈剣創造〉〈アンデット特攻〉〈魔王特攻〉〈光属性攻撃〉〈聖属性攻撃〉〈魔法半減〉〈加速〉〈重力軽減〉〈呪術耐性〉〈闇魔法耐性〉




 固有 〈絶対の直感〉




 魔法 〈光天魔法〉〈浄化魔法〉〈身体強化魔法〉〈神聖魔法〉〈火炎魔法〉〈水魔法〉〈回復魔法〉〈複合魔法〉〈土魔法〉〈雷魔法〉〈氷結魔法〉〈付与魔法〉〈結界魔法〉




 称号 〈転移者〉〈転生者〉〈聖騎士〉〈女神の兵〉〈魔物討伐者〉〈熟練聖騎士〉〈勇者〉〈聖剣に選ばれし者〉〈見透かす者〉〈光剣士〉〈超アタッカー〉〈天翔る者〉〈ボス攻略者〉〈ダンジョン攻略者〉










 これはまた、人類側にもちゃんといるじゃねえか化け物が……
 単純なステータスだけを見ても一騎当千の力を持ち、スキルに目を向ければ魔王であるレティに匹敵する個数と濃度。
 いくら俺より早く転生したからと言って数年で習得できる量じゃねえぞ。


「僕は御剣みつるぎ亮太りょうた今日はよろしくね」


「ああ、よろしく頼む俺はシルだ」


 これは成功法じゃ負けるな。
 俺は小声で雫に話しかける。


「絶対の直感の効果を教えてくれ」


「はい。殺気感知、気配感知、攻撃感知、外敵感知、悪意感知、危機察知、第六感強化、未来予測、霊感、見切りの複合スキルであり、スキル習得を手助けする効果もあるようです。疑問の答え、最善手を感覚的に分かる、つまり多くは無理ですが因果律を読み取る事が可能なようです」


 未来が見えるのか。
 はあ、強いなそれは。
 さて完封は有効ではありそうだが、スペックが俺より千近く高い事を考えると、完封一つじゃ太刀打ちできない。
 幾つかスキルを取るか。
 あと絶対の直感を利用してみるのも面白そうだ。




 魔法弾が撃ちあがり、今日一番の音と大きさの花火が撃ちあがった。




 開始直後、先に動いたのは御剣の方だ。
 多分、なんのバフもかかっていない、そんな加速。
 早いのは認めるがレティとフィーナに比べれば遅い!


「フルエンチャント」


 まずは全知の魔法剣の知力斬で光属性に特攻を持つ、暗黒魔法の波状攻撃を発動させる。
 だが聖剣が闇系統の魔法に特攻を持つのも事実だからあいつは。


「セイクリットソード!!」


 光の斬撃で魔法を撃ちけす。
 それは予想出来る。
 俺は畳みかけるように、幾つも斬撃を放つ。
 必要MPは結構多いが魔力回復速度倍化とMP自動回復のスキルで差し引きゼロだ。
 イメージに関しては撃てば撃つほどに強固な物になり、威力と範囲も上がって行く。
 何度も打ち込む波動は聖剣とぶつかり相殺しているが、そのせいで御剣は俺に近づく事が出来ないでいる。
 距離を詰められない剣士など取るに足らない。
 このまま押し切るのは無理でもスタミナは削らせてもらう。
 ラッキーパンチが偶然でも何でも1つでも当たれば結界破壊で俺の勝ちだしな。


「セイクリットウォール。セイクリットゾーン」


 御剣を中心に光の壁と領域が展開された。
 それは御剣を中心に設定されているようで、結界ごとこちらに近づいて来る。


「なかなか重い斬撃だったよ」


「そうは見えないけどな」


「剣創造・遠隔剣」


 御剣の周りを8本の光輝く剣が浮遊するように出てきた。
 遠隔操作って、それもう剣じゃないだろ。


「行け」


 御剣の命令に従い計8本の剣が俺に迫りくる。
 まあ、剣だけって時点で重さが無いから弾くのも簡単。
 知力斬で光の吸収をイメージして叩き落とすと、剣は最初からなかったように消え失せた。


「僕の事も忘れないでね」


 剣を弾いていた間に加速して迫って来た御剣が俺に剣を振り下ろす。


「忘れる訳ねえだろ」


 俺は知力斬で剣から茨が飛び出るようにイメージし、聖剣を絡みとった。


「それは一回戦で見た。焼き焦がせ、ファイヤエンチャント!」


 無詠唱スキルは無いっぽいな、最低一節は詠唱が必要なようだ。


「じゃあこっからが俺の本気って事で、行くぜ?」


 ファイブ・デットリー・シン
 忍法:影縫い
 物力魔法:ヘビィグラビティ


 呪いに耐性がある鎧をまとってるなら死ぬことは無いだろう。
 精神をむしばみ、影を縫い付け、重力を重くし、動きを止めた。
 この環境の変化に適応するのはいくら勇者でも無理だろう。


 剣技:覇斬
 獄炎のブレス


「これで終いだ!」


 後はブレスと覇斬で仮にどちらかを防いでもどちらかで終わりだ。


「僕は負ける訳にはいかないんだ!!」


 その時の勇者の眼光は死に物狂いの野獣のそれだった。
 俺の横一線の覇斬を聖剣でガードしブレスは剣創造で新たに出現させた、魔法剣で止めた。
 その魔法剣の鑑定結果は身代わりの剣。
 一定までのダメージを肩代わりする魔法の剣だ。


 だからそれ剣じゃねえだろ!

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