異世界に召喚されたのでさっさと問題を解決してから
八話 浮つきすぎ
「私はノルレイア・ウルティと申します。ノルとお呼び下さい。歳は解りません。ここは私が住んでた家で、それで気がついたら誰もいなくて、それで……」
泣き出してしまった。
やっぱり俺と同居って事になるのか。
まあそれも一興か。
楽しければ何でもいい。
ノルは可愛いしな。
俺よりも正統性がある、間違いない。
まあ見た目が中学生以下な事を除けばだが。
まあ紳士的に可愛いからいい。
「解ったから泣くんじゃねーよ。今日から一緒に住むんだ、お前は俺に甘えてればいいんだよ」
「でもよろしいのですか? 私は死んでいるのですよね?」
「ああ、今のお前は幽霊って奴だ。物理干渉能力は無く、スキルも称号もロクでもないもんばっかりだった。でもノル、お前には価値がある。どんなのかわかるか?」
「それは、女としての価値でしょうか?」
「正解。でも心配すんな、俺からお前に要求する事は殆ど無い。お前は自由にしてていいから」
「いいのでしょうか? 私は何も出来ないのに」
「干渉能力が無いっつったろ? 今お前を俺が知覚してんのは俺が望んでやったことだ。お前は笑ってればいいんだよ」
「お世話をお掛けしてもよろしいのですか?」
「俺に聞く事じゃねーよ。お前はどうしたいんだ?」
「私はこの家を捨てたくありません」
「それでいいんだ。そんじゃちょっくら家具を買いに出て来るわ。留守番頼んだ」
家具が無いからずっと胡坐だったんだよなー。
ソファーは必須っと。
あとベットが二つ必要か。
幽霊って寝るのか?
まあ、いいか。
使わなかったとしても、俺のストレージに入れとけば劣化しないし。
立ち上がって玄関に向かう。
「待って下さい。ご主人」
袖を引っ張られて。
いやそれより……
「ご主人ってなんだよ!?」
「この家の主人ですから、ご主人です」
「そうか、ノルが決めたんなら文句は無いよ。それでどうした?」
「その、あの。えっと……」
「流石に俺も心情は読めねーからな。時間は沢山あるから言いたくなったら言ってくれ。それじゃあ俺は行ってくる」
「待って下さい……一人にしないでください」
「あ。そういう感じか。解った、取り敢えず今日一日は一緒に居るよ。一緒に外に出るのも不安だろ。今日は家を案内してくれよ」
「はい!」
うん、笑顔が一番。
不動産屋の店主には案内されたが、おっさんと女の子だったらどちらに軍配が上がるかなんて明らかだ。
幽霊であったとしても、それも個性だろう。
良し、案内されよう。
一日一緒に居ると言ってしまったので寝るまで一緒に居た。
床は堅かった。
「で、案の定ここか」
「なによ? 来たくないならいいのよ? 帰って」
「そんな訳無いだろ。俺の楽しみの一つだ」
「ふーん。でも最近楽しみも増えてきたんじゃないの?」
「ん? なんの事だ?」
「茶髪の娘と食事したり。赤髪の娘に添い寝して貰ったりよ」
「ああ、まあ楽しかったな。それにしても随分俺に興味があるんだな?」
「たまたまよ!」
「そうか? そうは思えないけどな」
「そう?」
シルフィーナが笑った。
あくどい事考えてる顔だ、ありゃ。
「なら、貴方のお嫁さんになってあげる。だからスキル欄に追加した女難の相ってスキル取りなさいよ」
「ポイントは?」
「5ポイント」
「解った今すぐ取ろう」
「ちょっと、本気なの?」
「シルフィーナが俺の嫁になってくれるんだろ。なら取る以外の選択肢はねえ」
「待って。わかった、わかったらから止めてよ……」
「何でだ? 俺はシルフィーナを嫁にしたい。そのためだったらなんでもする」
「解ったから。でも止めて。私あなたに迷惑かけたくない……」
「だったら、なんでそんな事言ったんだ?」
「だって……他の女に鼻の下伸ばしてるから、苦労すればいいと思って」
「なあシルフィーナ。明日一日、俺を観察するの辞めてくれないか?」
「えっ。なんで? ごめんなさい、謝るから許してよ」
「何勘違いしてんだよ、俺がお前を嫌いになる訳無いだろ。俺は明日一日かけてお前にプレゼントを選ぶ、ビックリさせたいから見ないでくれ」
「そう……。しょうがないわね。良い物だったら他の女に鼻の下伸ばしてた事許してあげる」
なんでこいつはこうも人間らしいのかな。
明日は本気、出さねーとな。
「それじゃあまた明日な。覗くんじゃねーぞ」
「うん。また明日!」
目が覚めると朝だった。
精々30分ぐらいしか居なかったはずなんだけどな。
やっぱ時間の流れが違うのか?
まあ相手は神だし、考えてもしょうがない事か。
「ご主人、おはようございます」
「おはようノル。所でさ、女性へのプレゼントに最適な物ってなんか知らない?」
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