戦闘狂の迷宮攻略 〜早熟と模倣でお前のスキルは俺のもの〜

水色の山葵

20階層



 九重斎は死亡した。という事にした。その家族は行方不明扱いだが、九重斎本人は戦闘の末僕が殺害した事とした。遺品として身に着けていたローブを持っていって死体は燃やした事にした。
 本当の事を知るのは本人とその家族を除けば、僕、寧さん、隊長の三人だけだ。それから数日、僕達はダンジョンの11階層以上の攻略を開始した。


 11階層からモンスターの種類は完全に変わり、最初の敵は稲妻を纏う灰色の狼だった。


 雷狼
 ランクF
 スキル 雷魔法


 解析鑑定の結果はこれだ。ステータスの詳細が解る訳ではないらしい。
 ちなみに酒吞童子はランクBのモンスターだった。この階層の魔物は正直言って相手にならない。でも倒せる。
 雷属性の魔力性質が解ったのでついでに雷魔法を習得しておいた。
 12階層は炎鳥、同じくランクはFだ。使用スキルは炎魔法。これも貰っておくとしよう。






 樋口 徹
 レベル30
 ユニークスキル
 早熟7
 幸運2
 天の塔転移権限
 解析鑑定
 選定妖精の加護
 ダンジョン間転移


 Pスキル
 剣術8
 体術8
 武術8
 回避8
 生命感知8
 聴覚強化8
 風魔法8
 命中8
 剣速上昇8
 神聖魔法8
 魔力感知8
 魔力循環8
 魔力操作8
 錬金術8
 隠形7
 隠密7
 心眼6
 魔力譲渡6
 魔力変質7
 影魔法7
 身体操作6
 多刀流5
 換装4
 能力接続スキルリンク
 模倣3
 身体強化4
 疾風3
 属性付与3
 魔闘4
 魔力容量2
 縦横無尽3
 雷魔法1
 炎魔法1


 Aスキル 
 Ⅴ超加速リミットアクセル
  アクセルダブルスラッシュ
  アクセルスラッシュ
  ドリフトスラッシュ
  ドライブスラッシュ
 Ⅴトルネードファング
 Ⅴ天狐
 Ⅵ先読みの魔眼フューチャービジョン
 Ⅴシャドウドライブ
 Ⅳダブルドライブ
  アクセルドライブ
 Ⅲ風の加護
 Ⅲ風の魔弾
 Ⅳ不可視の腕(リモートアームズ=マテリアル)
 Ⅴ魔力支配マジックコントロール
 Ⅳ魔力分解マナディストラクション
 Ⅳエリアヒール
  ハイヒール
  ヒール
 Ⅳエリアキュア
  ハイキュア
  キュア
 Ⅳ神聖の加護
 Ⅴエンチャント・マジック
 Ⅴダブルウェーブスラッシュ
  ウェーブスラッシュ
 Ⅷブレイブソード
 Ⅴメッタギリ
 Ⅱアクロバット
 Ⅲ影人形
 Ⅲ影纏い
 Ⅲ影移動
 Ⅴ両断剣






 このステータスの前では、11以上の階層でも相手にならない。仮に酒吞童子クラスが複数出現したとしても単体で相手にできる程の力だ。11階層以上では罠が現れたがどれも僕の感知系のスキルで発動する前に発見できる。
 寧さんが居れば勝てない相手はいないし、九重さんの百鬼夜行があれば次の階層への階段を探す時間を大きく短縮できる。
 百鬼夜行を発動させる条件は相手を倒す事。倒した種族の魔物は従えることができる。従える事ができる魔物の合計は同時に100体まで。百鬼夜行はレベルがあるユニークスキルだから合計数はもっと増える可能性が高い。


 13階層大蜘蛛。
 14階層が雷狼、炎鳥、大蜘蛛。
 15階層スケルトン。
 16階層ゾンビ。
 17階層レイス。
 18階層、スケルトン、ゾンビ、レイス。
 19階層へ到達すると9階層と同じように最奥に大きな扉が存在していた。扉を開けて中を覗く。


 中にいたのは大きなスケルトン。解析鑑定の結果はがしゃ髑髏。ランクは酒吞童子と同じBだった。


「寧さん、行けるか?」


「はい」


 寧さんの能力の射程は視界内全て。ならば、部屋に入る前に能力を当てる事も可能なのではないか。
 もしもそれが出来れば、寧さんのボス特攻能力はチート以外の何物でもない。


「汝、死者の遺骨の集合であり、埋葬されることなく世を去った者たちの烏合の者、汝の名はがしゃ髑髏! 森羅万象を読み解き在るべき姿へ戻りたまえ!!」


 結論から言えば、その思惑は成功した。部屋の中の巨大スケルトンは光の粒子となって消滅した。しかしボスクラスを倒したというのに寧さんも九重さんもレベルが上がる事はなく、消滅したはずのがしゃ髑髏は即座に復活した。


「あれは、リスポーンか?」


「りすぽーん?」


「ああ、この迷宮の魔物はどれだけ倒しても全滅しない。それは魔物が迷宮内に発生しているから。恐らくボスモンスターは倒された状態で部屋の中の人間が居なくなると復活するんだ」


「なるほど、それであのがしゃ髑髏は復活したんだね」


「はい。しかし、寧さんの能力であいつが倒せる事が解ったので攻略してしまいましょう」


「「了解」」


 僕達三人は部屋の中へ突入する。不可視の腕(リモートアームズ=マテリアル)を起動。
 まずは鳥からコピーした炎魔法を放つ。ただの火炎放射だが、火はそれなりに効くらしい。がしゃ髑髏って確か埋葬してもらえなかった骨の集合体だろ、火葬してやろう。


 しかしやはりボスクラスとも言うべきか効果覿面とは言いづらい。


「氷盾」


 九重さんは寧さん前にガードの氷を発生させる。その氷魔法から氷属性を感知し操作する。氷魔法習得。
 そして、九重さんの十八番を僕は一度見ている。


「「獄炎氷魔!!」」


 二つの魔法が二つ発動する。この魔法の凄いところは違う属性の魔法を同時に使用しているという事だろう。この技術をコピーすれば僕の戦略もかなり広がる。
 がしゃ髑髏は大きく後退した。全長10mくらいありそうな巨大な怪物だが、魔法の前では大きさ=力という公式は成り立たない。
 僕は更に追い打ちをかける。使う魔法属性は風と雷。


 九重さんから模倣した、別の属性魔法を同時に発動する魔力操作を再現する。


「ライトニングウィンド!」


 その一撃は貫通力と速度を極限まで高めた一撃。
 がしゃ髑髏の胸を貫通し肋骨を4本と背骨を砕いた。普通なら背骨を破壊されれば自重で潰れるはずだが、当たり前だと言わんばかりに再生してきた。
 まあ、時間稼ぎは十分だろう。


「汝、死者の遺骨の集合であり、埋葬されることなく世を去った者たちの烏合の者、汝の名はがしゃ髑髏! 森羅万象を読み解き在るべき姿へ戻りたまえ!!」


 寧さんの詠唱が完成する。がしゃ髑髏は当然のように消滅し、一枚のスクロールと一つの指輪を残していった。


 20階層へ行くとあの時の妖精が現れた。


「20階層到達おめでとうございます! 祝福を授けましょう、最短攻略報酬としてランダムなユニークスキルを一つ進呈します。更に最高到達報酬として基礎レベル+5を進呈します。更に初攻略報酬としてランダムなスキル一つを進呈します。更に最高貢献度報酬として椎名寧様に選定妖精の加護を進呈します。そして樋口徹様がユニークスキルを獲得したことにより選定妖精の加護の効果を発動します。私がなんでも一つ質問にお答えいたします」


 そう来たか。いや、聞きたいことは山ほどある。
 けど、今はダンジョンの情報よりも僕の強化につながる情報の方が欲しい。


「なら答えてくれ。今できる最短でレベルを上げる方法を」


「畏まりました。19階層守護者がしゃ髑髏は一定以上のダメージを受けるとスケルトンを召喚します。それを狩り続けるのが現在の到達階層でできる最も効率のいいレベル上げです」


 そして僕、いや俺はがしゃ髑髏に単独で再挑戦しスケルトンを5,6時間ほど狩り続けた。

「戦闘狂の迷宮攻略 〜早熟と模倣でお前のスキルは俺のもの〜」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く