俺だけFPS
歌姫は一人で歌うⅠ
ヘッドギアの電源を入れ頭に被れば、後はスタートボタンを押して目を閉じれば自然を眠りにつくように意識が遠のいていく。
目を覚ませばそれは既にゲーム内。
身体を持たない意識だけの俺に受信される映像は、キャラクターメイキングの画面だった。
ビジュアルも結構細かく設定できるようだ。髪色に瞳の色は勿論、髪の毛一本一本を操作できる。
こんなところにここまでデータ食わすとか、神ゲーたる由縁なのだろう。といっても、別に俺はキャラクターの見た目に拘る方ではない。
黒髪黒目で同じ顔だと流石に身バレしそうで怖いから、髪は青み掛かった黒髪にして目の色も少し青っぽくしよう。
髪型は、動きをつけてワックス無しじゃ不可能な髪形にしてみた、アホ毛。派手過ぎず地味過ぎず、まあこんなものだろう。
名前はミズキと。
次はステータスだ。こっちは拘らざるを得ないだろう。
どうやら、職業で得られるスキルや上がるステータスに差があるようだ。
これはもう決めている。
数十種類ある職業の中から目的の物を選択する。
『ガンナー』
装備可能武器種:遠距離武器全般
初期スキル:ホークアイ クイックショット
初期武器:銃or弓
結局俺には銃を撃つ事しかできない。
それが好きなんだ。
だから、不遇職と言われてもそれを選ぶのに迷いは無かった。
思ったよりもずっと速く終わったなキャラメイク。
『一つ、質問します』
「ん?」
キャラメイクが終わると同時に声が響いた。
誰かが周りに居る訳じゃない。
周りを見渡す俺など無視して、俺に向けて放たれたであろうその声はただ続く。
『この世界で何をしたいですか?』
そう言った。
というか、始めてやるゲームでいきなり何をしたいかってなんだ。
そんなのやってみてから考えるんじゃないのか。
いや、だからそういう意図じゃないのか。
このゲームに何を求めるかっていう要望でも言えばいいのだろうか。
そう考えると自然にこの問の答えも分かった。
ゲームに求める物など楽しさしかない。どれだけ、そのゲームに命を捧げようとしても楽しくなければそんな物への熱意などすぐに冷めてしまうのが人間という物だ。
ゲームなんてその程度の物。しかし、されどゲームとは俺にとって人生の半分を作ってきた物だ。
だから叶うのならば。
「俺は主人公で居たい」
どこかのライトノベルの主人公のように、望まぬその立場に立って四苦八苦したいんじゃなくて、望んでその場所へ立ってみたい。
ゲームの中で位、英雄を気取ってみたい。
『イエス。天使はいつも貴方の肩に』
そう言って声は聞こえなくなった。それと同時に世界が変化する。
ヘッドギアをつけてすぐに意識が遠のいたの同じように、世界が薄れていく。
目覚めるとそこは森の中だった。
ってこれでゲームスタートか。さっきの質問は結局何だったんだよ。今更恥ずかしくなってきたわ。
まあいい。フィールドってことはモンスターが出るってことだよな?
武器とかステータス、ってかUIどうすればいいの?
『ヘルプ機能を実行しますか?』
機械音声が聞こえた。良心的なゲームだ。いきなり森に放り出して好きにしろって感じかと思ったぜ。
あ、使います。
『ご質問をどうぞ』
思考分析か。喋らなくてもいいのは便利だな。じゃあ、ここはどこ?
『始まりの街:サントロエの北にある森林地帯です。初期リスポーンは始まりの街から2km以内のランダムな場所となります』
おお。じゃあ武器の出し方とステータスの出し方も教えてくれ。
『人差し指で丸を描く事でUIを出現させる事が可能です』
言われた通りにやってみるとUIが出た。ステータス、インベントリ、オプション、ログアウト。ほお、なるほどね。
まずはステータスをタップする。神ゲーって位だしある程度はUIも使いやすい物が使われているようで、思った通りステータスについての情報が表示された。
ミズキ『ガンナー』
LV 1
HP 100
MP 100
STM 100
STR 10
VIT 10
AGL 10
DEX 10
LUC 10
SP5
スキル
ホークアイ
クイックショット
武器
右:
左:
防具
頭:
胴:初めの服
腕:
腰:初めの服
足:
◇
どうやらSPはスキルポイントの様で、好きなステータスに振り分けられるようだ。このポイントはレベルアップに伴い5ポイントづつ貰えるらしい。
うーん、じゃあ取り敢えずDEXとLUCに3と2振ってみようか。両方ともクリ率アップ狙いだ。
インベントリも開いてみると、そこには武器箱と書かれたアイテムがあり、弓か銃を選んで獲得できるようだ。
勿論、銃を選択する。
『武器種リボルバー:『始まりの銃』を獲得しました』
ヘルプはログの管理もしてくれるのか。けど少しうるさいな。
『了解しました』
あ、これもAIなんだ。
ヘイヘルプ的な?
『ご質問をどうぞ』
おおー。やっぱり人間と変わらないって噂のAIに比べればそれほどでもないが、やはり受け答えや読解力もはっきりしていて随分使いやすい型に思える。
あ、質問はありません。
『了解しました』
街の北にこの森があるってことは南に行けばいいわけだよな。って南ってどっちだよ。
『貴方が向いている方向です』
有能だな。
言われた方向へ進んでいくと、モンスターとエンカウントした。
PVEか、そこまで得意って訳でもないけどやりこんでない訳じゃない。
まあ、今回の相手はゾンビじゃなくて猪だったけどな。
俺の視界に表示された情報が増える。HP、MP、STMだけだったのに加えて敵の名称が出現した。
ヒートボアという名前の様だ。
銃の弾は1000発程支給されている。さて、どれほど戦えるか。
予想通りというか、いきなり突進をかましてきた。
ホークアイは肉眼望遠鏡である。ここで使う事はないだろう。
だったらもう一つのスキル、クイックショット。
このゲームのスキルは、思考解析によって使いたいと念じるだけで発動する。
クイックショット自分が銃や弓を討つ場合、構える速度を補正するというスキルだ。
スキル効果も相まってか、イメージ通りに銃口を猪に向けられた。
頭を狙って引き金を引く。一発、二発、三発。ただ真っすぐ突っ込んでくる奴の頭に当たらない訳が無い。一発目で反動を理解、眉間を少しズレた二発目を見て三発目を修正する。銃を撃つ最適な連射速度の割り出し。再度発砲するまでの動きを最小化。
猪の突進が減速したのを感じて、回る様にその攻撃を避ける。
すると、俺の後方で重い物が倒れる音がした。
どうやら、あの猪のHPはこのリボルバー三発分の攻撃力以下みたいだ。
ドロップアイテムは猪肉。なるほど、食事の概念もあるって訳か。
確かに空腹ゲージあるわ。戦闘中は消えるから見逃してた。
っていうかHPとかも消えろって思えば消えるんだな。地味に便利。
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