オタクとロリ

マッチ棒

第84話〜湯葉〜

東武日光駅に着いた俺と花凛は、はじめに昼飯を食べることにした。

「花凛、何食べたい?」

俺がそう聞くと、花凛は「!?え、えーとねぇ。……わたし、湯波が食べたい」と言った。

(湯波かぁ。これまた、随分渋いのを選んだなぁ)

ちなみに湯波はここ日光の特産品で、中国発祥らしく日光の湯波は他のものと異なり漢字の表記が違う。ここでは湯葉ではなく湯波と表記する。

作り方としては、豆乳を加熱した時に表面にできる薄い膜が湯波だ。(nyoki pedia調べ)

と、まぁ湯波の話になってしまったが気を取り直して……

俺と花凛は、駅前にある定食屋に入ることにした。

「いらっしゃい」

店先ののれんを潜ると、中にいたおばちゃんがそう言う。

「2人です」

「はいよ。好きな席座って」

俺たちは、向かって左側の4人席に座る。

すると、まもなくおばちゃんが水の入ったコップを持って来た。

「ご注文は?」

「えーと、じゃあ…」

俺と花凛は、メニューを見て何がいいか決める。

(どうせなら、ここならではのメニューを食べたいなぁ。)

俺がどれにしようか悩んでいると、向かいの席に座っている花凛がおばちゃんに「この、湯波定食ください」と言っていた。

(なるほど、湯波なぁ。)

それから、悩みに悩んだ末俺は、ステーキ定食を頼んだ。

……別にステーキが日光ならではのものかと言われると、そうではないが。

悩んだ結果これにしたのだ。

***

「「ごちそうさまでした。」」

「はーい。ありがとさん。」

昼飯を食べ終えた俺たちは、定食屋を出て少し山の方に行くことにした。

時刻は、午後0時半過ぎ。まだ、旅館にチェックインするには早すぎる。

駅から北側へ行ったところにある大谷川(だいやがわ)を渡り日光東照宮の裏手に。

          

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