第83話〜想い〜

日光に慎と2人で行くことになった日の夜。

わたしは、この旅行で慎に告白するんだ。と決めた。

そしてその翌日。

日光まで行く特急列車の車内にて。

＊＊＊

「ちょっと、隣の車両に行ってくるから待っててな。」

少し微妙な空気になったので慎は、本が置いてある隣の車両に向かって行った。

今は、わたし1人。

窓の外の景色を見ながら、想いを伝えるイメージトレーニングをする。

伝える場所は、今日の夜泊まる旅館の部屋かいい感じの夜景が見えるところ。

でも、果たして慎はわたしの気持ちを受け取ってくれるのだろうか。

わたしは、まだ12歳で慎は、もういい歳だ。

突然、幼女から告白されたらどう思うだろう。

いやかな？それとも……嬉しいのかなぁ。

そもそも、疲労回復効果のある温泉に行こうと言ったのは、告白をするための口実だ。

わたしは、あと数日で…4月になったら中学生になる。

今から、半年前にわたしを救ってくれた恩人にいい加減想いを伝えなければ。

いろいろ考えていると、急に睡魔が襲ってきた。

ガタンゴトン

一定のリズムで揺れる車内に体が落ち着いてきたのだ。

……とりあえず、告白のことは今は忘れよう…

わたしは、ウトウトとする。

すると、隣の車両に行っていた慎が帰ってきた。

……ハァ〜本当は今すぐ想いを伝えたいけど…。今は、寝ようかなぁ。

それから、わたしは眠りについた。

＊＊＊

あれから、どのくらいの時間が経ったのだろうか。

「おい、起きろ」

誰かが私の体を揺する。

「おい、花凛もうすぐ着くぞ。」

あぁ、わたしの大好きな人の声だ。

それから、何回か体を揺らされ目を覚ました。

「お、やっと起きたな。もうすぐ着くから降りる準備するぞ。」

目を開けると、わたしの大好きな人は優しくそう言った。

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第83話〜想い〜

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