オタクとロリ

マッチ棒

第73話〜小鬼〜

2月3日節分の日。今日も1時間ほど残業して、家に帰る。

「ただいま」

そう言いながら玄関を開けると、リビングの方からスタスタと鬼の衣装を見にまとった天使・花凛がやって来た。

「慎、おかえり」

天使は、その可愛らしい顔でそう言う。

…この笑顔は、間違いなくどんなに怖いヤンキーでも一目惚れするだろう。

靴を脱ぎ、鞄を置き、手を洗い、スーツを脱ぎリビングに行く。

リビングのテーブルの上には、これぞ和食!と言うような料理が並んでいる。

「花凛、この料理どうしたんだ?」

俺は、驚きながら尋ねた。

すると、花凛は「エッヘン」とドヤ顔で呟き「どう?おいしそうでしょ。」と言った。

(………確かに、美味そうだ。)

早速、俺は席に着き手を合わせ夕飯を食べ始めた。

まずは、このイワシの塩焼きから。

一口頬張ると、口の中いっぱいにイワシの旨味が広がって行く。

(…うまっ!)

次に、こんにゃくと椎茸の入った煮物を。

これまた、一口頬張ると口の中いっぱいに旨味が広がる。

そんな俺の前で、鬼のコスプレをした花凛は終始ニコニコしていた。

「ごちそうさま」

20分くらいして食べ終わる。

「美味しかった。」

花凛に感想を伝えるとその小鬼は、照れながら「エヘヘ、ありがとう」と言った。

***

「ふぅ〜、食べた食べた」

夕飯を食べ終えて、しばらくして俺は、風呂に入っていた。

(…本当、花凛の料理の腕上達したよなぁ。)

ここ最近、俺が食べているのは殆どが花凛の手料理だ。

あんなに小さい子が、一生懸命に作ってくれている。

「…俺も、仕事頑張らなきゃな!」

俺は、湯に浸かりながらそう呟いた。

          

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