オタクとロリ

マッチ棒

第54話〜二度目〜

今年が終わるまで残り2週間になった12月下旬。

俺と花凛は、今年二度目の祭りについて話し合っていた。

「それで、行くのか行かないのかどっちがいいんだろうなぁ。」

「そうだね。慎は、どうしたいの?行きたいの?行かないの?」

冬の祭りは、夏に比べて体調を崩すリスクが高まる。ノロウイルスとかインフルエンザとかが流行り出すこの時期に大勢の人たちが密閉された空間に長くいるからだ。

実際に俺も何年か前の冬コミで体調を崩して、そのあとノロウイルスにかかり1週間ほどトイレとお友達になった経験がある。

「俺は、どちらかというと行きたくないな。…勿論、好きな作家の新刊は欲しいけどとらのあなとかメロンブックスとかで買えなくはないからなぁ」

「…そうなんだね。」

そうなのだ。作家やサークルによっては、祭りの後とらのあなやメロンブックスといった同人誌専門店に新作を並べる。なので、万が一新作を会場で買えなくても後で秋葉原なり池袋なりに行けば買えるのだ。

…どうやら最近は、そっちの方が増えてるっぽいな。

「花凛は、行きたかったか?」

なんだか、行きたそうな顔をしていた花凛に俺は尋ねる。

すると、花凛は「うん。『幼女図鑑』の新作が出るってネットに書いてあったから買いに行きたかったの。」

(………。そっか、悪いことしたなぁ。)

…ん?待てよ、そのサークルなら毎回メロンブックスに新作を並べていたような。

気になったので調べてみると…

「やっぱりだ!花凛、幼女図鑑の新作メロンブックスに並べるそうだぞ。」

「…ほ、本当?」

「あぁ。来年の1月5日から並ぶそうだ。」

花凛は、その情報を聞くと「じゃあ、わたしも冬コミは行かない」と言った。

こうして、俺たちの冬コミは自宅でゴロゴロするということに決まった。

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