オタクとロリ

マッチ棒

第26話〜回想(去年の夏)〜

俺は、ベットに入りながら去年の夏のことを思い出していた。

去年はまだ、花凛がいなかった。
俺は、毎日毎日仕事かオタク活動かどちらかだった。

そんな去年、俺は夏のお祭りである人と出会った。

それは、高校時代片思いをしてた同級生の女の子。
彼女は、『school in   ero』と言う成人向けの同人誌を販売しているサークルに売り子として参加していた。

「すみません。新作2冊ください。」

「はい!ありがとうございます。新作2冊ですね。」

彼女が、新作の同人誌を手に取り俺に渡すまでの数秒間がその時の俺にとっては、すごく長く感じた。

「はい、どうぞ。ありがとうございました。」

彼女は笑顔で俺にそう言った。

彼女とは、地元の高校で知り合った。

俺が高校生の頃は、今よりもずっとオタク=変態みたいな偏見が凄く、クラスで仲の良かった俺を含めたオタク4人は肩身が狭かった。

そして、あの時の俺は一目惚れしていた相手・園村好美(そのむらよしみ)が、オタクということに気付いていなかった。

(……まさか、10年も経ってから気付くとはな…)

今思い出しても、びっくりな内容だが去年の俺はそれどころではなかった。

高校時代に好きだった人に再会できた喜びの方が先だったのだ。

(…全く、なにをやっているんだか…)

そんな感じで、初恋の人と再会したのだが俺は声をかけられなかった。

……と、言うより彼女自体とあんまり話したことがなかったから、相手が俺を忘れているかもしれないと思い、どうしても声をかけられなかった。

(…よし!今年こそは、声をかけるぞ!)

さっき、パンフレットで彼女がいたサークルが参加するのかは確認済みだ。

どうやら『school  in  ero』は、二日目に参加するらしい。

と、去年の俺を思い出しながら祭りの日を楽しみにしている今日この頃なのであった。

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