オタクとロリ

マッチ棒

第8話〜起床(花凛編)〜

朝だ。窓の外で鳥の声がする。

ピピピピピピピピピピーッ!

リビングの方から音がする。

多分、慎の目覚ましの音だ。

鬼月慎。わたしを助けてくれた、大切な人。

わたしを理解してくれた人。

そして、わたしの新しい家族。

わたしと、慎はすごく歳が離れている。
わたしが、中学校を卒業する頃には慎は多分もっとおじさんになっていると思う。

本人は、年齢は聞かないでって言ってたけど多分、おじさんって思われたくないんだと思う。

なんか、可愛いなぁ。

ピピピピピピピピピピーッ!

再びリビングの方から目覚ましの音が聞こえてきた。

二回なってるってことは、慎まだ寝てるのかなぁ。

どうしよう。今日は金曜日だから慎仕事だよね。

起こしてあげたほうがいいのかな?

でも、前みたいに怒られたら……。

……。いや、慎はそんな事しない。

そうだ。慎は、わたしをどん底から救ってくれた人だ。

わたしは、慎を起こすためベッドから降りてリビングへと向かった。

リビングには、床で気持ちよさそうに寝ている慎の姿があった。

ピピピピピピピピピピーッ!

!?

……、びっくりしたー…

わたしが慎の近くに寄ろうとした瞬間、目覚ましがまた鳴りだした。

慎を起こさなきゃ。

目覚ましの時計を見る。

『午前6時50分』

多分、遅刻だ。

わたしは、慎の体の上に乗って呼びかけた。

「起きてー!慎ー!」

……。だめだ、起きない…。

もう一度呼んでみる。

「起きてー、慎!」

すると、「ん……」と、言いながら慎がゆっくりと目を開けた。

「あ!おはよう。慎。」

わたしの朝一番の挨拶に、少し戸惑いながら慎は返事した。

「……。えーと、…はよう。花凛。」

えへへ。慎がわたしに挨拶してくれた。
ただの朝の挨拶なのになんだか嬉しい気持ちになった。

あ!そうだ。遅刻のことを伝えないと。

「慎、いいの?こんなに寝てて。今日仕事でしょ。」

わたしがそう伝えると、慎は血相を変えて飛び起きた。

「やべー!!」

口に出さずとも、慎の顔がそう言っているようだった。

それから、慎は急いで仕事に行く準備をしてわたしに今日1日のことなどを伝えて家を出て行った。

慎が玄関扉を閉めるときわたしが、「いってらっしゃい」と言ったら慎は、嬉しそうな顔をしていた。

……そんな顔されたら、好きになっちゃうよ……













































































          

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