女子高生探偵小南安奈事件簿
037
まずは証拠になりそうな、手掛かりを探すべく、安奈達は神宮寺のスマホを手に取るとロックを解除しようしたが、生憎と出来なかった。
番号式のロックなので、誕生日などを入れてみたのだが無駄だった。
他には何かないかと、引き出しを探ってみてみるが、特にこれと言ったものは見つからない。
だが、暴れた時に落としたのだろう、生徒手帳を発見し、中を開いてみると、そこには安奈と、笑みを浮かべる高梨のツーショットの写真があった。
それも学院内ではなく、学院外でデートをした時の物だ。県外でのデートだったのにもかかわらず、どうしてこのような写真があるのだろうか。
安奈がそんなことを考えていると、瑞樹がその写真を手に取り、ポケットにしまってしまう。
「瑞樹」
「これはあってはならないものよ」
「そうね」
「神宮寺さんが安奈の熱狂的なファンだというのは、話には聞いていたけれども、まさかストーカーもしていたのかしら?」
「だとしたら怖いわね」
「そう言えば忠告のメール、あれ以来来ないのよね」
「ええ、なんだったのかしら?」
「……ねえ、安奈」
「なあに、瑞樹」
「私は貴女のことが大好きよ」
「急にどうしたの?私だって瑞樹のことが大好きよ」
「貴女の為ならなんだってしてあげるわ。もしそれが犯罪だったとしても構わないと思っているわ」
「ありがとう、それで?」
「もし、神宮寺さんも同じように思っていたのだとしたら、安奈のために今回の事を犯してしまっているのだとしたら、共犯者は、高梨先生なのではないかしら」
「え!何を言っているの瑞樹」
「だって、そうとしか考えられないのよ。神宮寺さんがああまでして庇うなんて、安奈のこと以外では、高梨先生のことぐらいしか思い浮かばないわ」
「それは流石に考えが飛躍しすぎているのではない?」
「そうかしら?案外いい線いっていると思うのよ。安奈は高梨先生のことを愛しているから拒絶したいというのはわかるけれども、一番しっくりくると思うのよ」
「……」
安奈は黙り込んでしまいながらも、瑞樹の考えを反芻する。
確かに、自分と付き合っている男に手伝ってほしい、それが安奈の為なのだと言われてしまえば、熱狂的なファンならば手を貸してしまうのかもしれない。
それも、溝口も一緒に手伝っていたのだとすれば、安奈の考えた魔女と吸血鬼の二人説も成り立つのだ。
溝口の死は仲間割れという線が濃厚となるのだが、実際にはどうだったのかはわからない。神宮寺の言うことを信じるのであれば、ドラックを広めようとした溝口を止めるためだったのだろう。
安奈は決意を固めたように顔を上げて瑞樹を見ると、頷いて、瑞樹の手を握り込んだ。
その日の夕方。
ミステリーサークルのサロンには安奈と瑞樹、そして高梨の姿があった。
「高梨先生、私の話をよく聞いてくれるかしら」
「なにかな?なんだか怖いな」
「今回の連続殺人事件の主犯は先生、なんでしょう?」
「どうしてそう思うんだい」
高梨の表情に変化は見られない。
「神宮寺さんは、私と先生が付き合っていたことを知っていたわ。熱狂的な私のファンな神宮寺さんと溝口さんに声をかけて、私の為だと言って、やらせたのでしょう?そうして、そのうちに私と付き合っているということを教えたのでしょう?そうでもなければ神宮寺さんがこんな写真を持っているわけがないのよ!」
安奈は神宮寺が持っていた写真を高梨に突き付ける。
「これは証拠写真でしょう?私と先生が付き合っているっていうのを教えるために、だからあの時だけ県外とはいえ外のデートに誘ってくれたのでしょう!」
「落ち着いてくれ安奈。僕には何のことかわからないよ」
「私に忠告メールを送ったのも先生だわ!私のスマホにワームを仕掛けていたのでしょう?警察で調べてもらったらすぐに発覚したわ!」
「……」
「先生、どうしてドラックなんかに手を出してしまったの」
安奈は泣きながら高梨を責めるが、高梨は無表情になったまま何も言わない。
「先生、私を愛していたと言ったことも嘘だったの?」
「それは違う。僕は本気で君を愛しているよ」
「じゃあどうしてこんな真似をしたの!神宮寺さん達を利用するような真似を!」
「最初は、君という存在の熱狂的ファンを利用しての実験のつもりだったんだ。だけど、僕自身次第に君に惹かれていってしまった」
「そんなの言い訳にならないわ!」
「聞いてくれ!そのドラック…薬は画期的な物なんだ。人の悩みを無くすことができる薬なんだ!巷では劣化品がドラックとして出回ってしまっているけれども、ここに持ち込んだのは純正品、純粋な物だけだ。その証拠に、あれを使った生徒は皆自分の悩みから解放されたじゃないか」
番号式のロックなので、誕生日などを入れてみたのだが無駄だった。
他には何かないかと、引き出しを探ってみてみるが、特にこれと言ったものは見つからない。
だが、暴れた時に落としたのだろう、生徒手帳を発見し、中を開いてみると、そこには安奈と、笑みを浮かべる高梨のツーショットの写真があった。
それも学院内ではなく、学院外でデートをした時の物だ。県外でのデートだったのにもかかわらず、どうしてこのような写真があるのだろうか。
安奈がそんなことを考えていると、瑞樹がその写真を手に取り、ポケットにしまってしまう。
「瑞樹」
「これはあってはならないものよ」
「そうね」
「神宮寺さんが安奈の熱狂的なファンだというのは、話には聞いていたけれども、まさかストーカーもしていたのかしら?」
「だとしたら怖いわね」
「そう言えば忠告のメール、あれ以来来ないのよね」
「ええ、なんだったのかしら?」
「……ねえ、安奈」
「なあに、瑞樹」
「私は貴女のことが大好きよ」
「急にどうしたの?私だって瑞樹のことが大好きよ」
「貴女の為ならなんだってしてあげるわ。もしそれが犯罪だったとしても構わないと思っているわ」
「ありがとう、それで?」
「もし、神宮寺さんも同じように思っていたのだとしたら、安奈のために今回の事を犯してしまっているのだとしたら、共犯者は、高梨先生なのではないかしら」
「え!何を言っているの瑞樹」
「だって、そうとしか考えられないのよ。神宮寺さんがああまでして庇うなんて、安奈のこと以外では、高梨先生のことぐらいしか思い浮かばないわ」
「それは流石に考えが飛躍しすぎているのではない?」
「そうかしら?案外いい線いっていると思うのよ。安奈は高梨先生のことを愛しているから拒絶したいというのはわかるけれども、一番しっくりくると思うのよ」
「……」
安奈は黙り込んでしまいながらも、瑞樹の考えを反芻する。
確かに、自分と付き合っている男に手伝ってほしい、それが安奈の為なのだと言われてしまえば、熱狂的なファンならば手を貸してしまうのかもしれない。
それも、溝口も一緒に手伝っていたのだとすれば、安奈の考えた魔女と吸血鬼の二人説も成り立つのだ。
溝口の死は仲間割れという線が濃厚となるのだが、実際にはどうだったのかはわからない。神宮寺の言うことを信じるのであれば、ドラックを広めようとした溝口を止めるためだったのだろう。
安奈は決意を固めたように顔を上げて瑞樹を見ると、頷いて、瑞樹の手を握り込んだ。
その日の夕方。
ミステリーサークルのサロンには安奈と瑞樹、そして高梨の姿があった。
「高梨先生、私の話をよく聞いてくれるかしら」
「なにかな?なんだか怖いな」
「今回の連続殺人事件の主犯は先生、なんでしょう?」
「どうしてそう思うんだい」
高梨の表情に変化は見られない。
「神宮寺さんは、私と先生が付き合っていたことを知っていたわ。熱狂的な私のファンな神宮寺さんと溝口さんに声をかけて、私の為だと言って、やらせたのでしょう?そうして、そのうちに私と付き合っているということを教えたのでしょう?そうでもなければ神宮寺さんがこんな写真を持っているわけがないのよ!」
安奈は神宮寺が持っていた写真を高梨に突き付ける。
「これは証拠写真でしょう?私と先生が付き合っているっていうのを教えるために、だからあの時だけ県外とはいえ外のデートに誘ってくれたのでしょう!」
「落ち着いてくれ安奈。僕には何のことかわからないよ」
「私に忠告メールを送ったのも先生だわ!私のスマホにワームを仕掛けていたのでしょう?警察で調べてもらったらすぐに発覚したわ!」
「……」
「先生、どうしてドラックなんかに手を出してしまったの」
安奈は泣きながら高梨を責めるが、高梨は無表情になったまま何も言わない。
「先生、私を愛していたと言ったことも嘘だったの?」
「それは違う。僕は本気で君を愛しているよ」
「じゃあどうしてこんな真似をしたの!神宮寺さん達を利用するような真似を!」
「最初は、君という存在の熱狂的ファンを利用しての実験のつもりだったんだ。だけど、僕自身次第に君に惹かれていってしまった」
「そんなの言い訳にならないわ!」
「聞いてくれ!そのドラック…薬は画期的な物なんだ。人の悩みを無くすことができる薬なんだ!巷では劣化品がドラックとして出回ってしまっているけれども、ここに持ち込んだのは純正品、純粋な物だけだ。その証拠に、あれを使った生徒は皆自分の悩みから解放されたじゃないか」
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