女子高生探偵小南安奈事件簿
034
その日の夜、安奈は長谷川からメールを受け取っていた。その内容は、安奈が指定した日に、学食で働いていたウエイターやコックの一覧だ。
その中にある名前を見つけ、安奈はにんまりとチェシャ猫のように笑みを浮かべた。
「まあ、悪い顔をしていてよ」
「酷いわね、瑞樹。でもいいわ、いい情報が手に入ったの」
「なにかしら?」
「それはね、三人がラミアからドラックを貰った日の夕食に食べていたものが同じものだったことと、その時に働いていたウエイターの中にとある人がいた事よ」
「とある人?」
「神宮寺さんよ」
「まあ!」
「神宮寺さんは初等部のころから長期休みでもご実家に帰らずにこの学院に残っているそうなのよ。その度に、学食で手伝いをすることでお小遣いを稼いでいたそうなの」
「まあ、そうだったの」
「ねえ瑞樹、学食には大きな冷凍庫も電子レンジもあるわよね」
「あるけれど、まさかっ」
「そうよ、彼女になら可能なのかもしれないわ」
「そんなことを言って、もし違っていたら大問題よ」
「だからカマをかけてみるつもりなの」
「カマを?どうやって?」
「そもそも、神宮寺さんの証言だけ少しおかしいのよ。溝口さんが怯えていたとか、殺されると言っていたとか、神宮寺さんの証言だけでしかないわ。水瀬先輩たちを見てよ、殺されるかもしれないのに怯えなんて一切感じないわ」
「それが成功者との違いだったらどうするの?成功者はそう言った感情も制御できるようになっているとか」
「そうかもしれないわ、でもそうじゃないかもしれない。だから私、明日早速神宮寺さんの所に行こうと思うのだけれども、付き合ってくれるかしら?」
「もちろんよ」
「ありがとう、瑞樹」
「いいのよ」
翌日。
安奈と瑞樹は朝から神宮寺のもとを訪ねていた。神宮寺はまだ眠り足りないのか、眠そうにしながらも部屋に安奈達を招き入れてくれた。
「随分と眠そうね」
「ここ最近眠れなくって」
「そうよね、こんな事件が続いているんだもの、眠れなくなっても仕方がないわね」
「はい……」
「それにしても驚いたわよね、聖堂の前だけではなくて、校庭の脇でも変死体が見つかるだなんて」
「そうね、それに例のあれもあったんでしょう?」
「そうなのよ」
「例のあれって何ですか?」
「ここだけの話よ。死体の下には必ずマークのようなものが残されていたんだそうなのよ。今回の死体の下にもマークがあったそうなの」
「……そうなんですか」
「独特のマークで一度見たら忘れられないわよね」
「そうね」
「どんなマークなんですか?」
「蝶よ」
「蝶ですか」
「ええ、そうなの」
安奈は興奮したように頬を上気させて話を続ける。
「それにね、ラミアに魅入られた人の選定方法が分かったのよ」
「え!」
「食事よ。食事に薬が混ぜられていたのよ」
「……そうなんですか」
「驚いたわよね、そんな方法で人を陥れる人がいるだなんて。それにね、私殺害方法もわかった気がするの」
「それはどんな?」
「電子レンジよ」
「電子レンジですか?」
「前にも話したわよね?あの時は神宮寺さんはよくわからないとおしゃっていたけれども、電子レンジは物体の水分を振動させて食品を中から加熱するものなのよ。だけど、それが過剰になれば、水の分子は蒸発してしまう。それが今回の殺害方法だと私は思っているの」
「……そうなんですか」
「つれない反応ね、溝口さんを殺した犯人の手掛かりがつかめるかもしれないのよ」
「それはそうですけど、全部先輩の推測ですよね?」
「ええ、だから今警察に調べてもらっているところなの」
「え!」
「冷凍室と大型電子レンジの両方に何かしらの痕跡があると私は睨んでいるわ」
「……そうですか」
「そうそう、ラミアなんだけれども、催眠術でみんな同じ人を見ていると思わされているけれども、実は全然別人なのかもしれないとも思っているのよ」
「え……」
「だって、花の蕾を同じ日に受け取ったのなら、はち合わせてしまってもおかしくないのにそれがなかった。だとしたら、別人から受け取っているかもしれないじゃない」
「それはそうですね」
「それでね、私はこう思っているの。ラミアは二人いるって。魔女のラミアと吸血鬼のラミアよ。二人が共謀して今回の事件を起こしているんじゃないかって思っているのよ」
「なるほど。先輩の言っていること、納得がいきます」
「そうでしょう。それで、これを見て欲しいの」
そう言って安奈は長谷川に見せてもらったマークの写真を神宮寺に見せる。
「これは死体の下にあったマークですよね?これがどうかしたんですか?」
「あら、どうしてこれがそのマークだとわかったのかしら?」
「え?だって蝶のマークだって言ってたじゃないですか」
「そうだけれど、これは目に注目がいって一瞬では蝶だとはわからないのではないかしら」
「そんなの人によると思います」
「それもそうね」
その中にある名前を見つけ、安奈はにんまりとチェシャ猫のように笑みを浮かべた。
「まあ、悪い顔をしていてよ」
「酷いわね、瑞樹。でもいいわ、いい情報が手に入ったの」
「なにかしら?」
「それはね、三人がラミアからドラックを貰った日の夕食に食べていたものが同じものだったことと、その時に働いていたウエイターの中にとある人がいた事よ」
「とある人?」
「神宮寺さんよ」
「まあ!」
「神宮寺さんは初等部のころから長期休みでもご実家に帰らずにこの学院に残っているそうなのよ。その度に、学食で手伝いをすることでお小遣いを稼いでいたそうなの」
「まあ、そうだったの」
「ねえ瑞樹、学食には大きな冷凍庫も電子レンジもあるわよね」
「あるけれど、まさかっ」
「そうよ、彼女になら可能なのかもしれないわ」
「そんなことを言って、もし違っていたら大問題よ」
「だからカマをかけてみるつもりなの」
「カマを?どうやって?」
「そもそも、神宮寺さんの証言だけ少しおかしいのよ。溝口さんが怯えていたとか、殺されると言っていたとか、神宮寺さんの証言だけでしかないわ。水瀬先輩たちを見てよ、殺されるかもしれないのに怯えなんて一切感じないわ」
「それが成功者との違いだったらどうするの?成功者はそう言った感情も制御できるようになっているとか」
「そうかもしれないわ、でもそうじゃないかもしれない。だから私、明日早速神宮寺さんの所に行こうと思うのだけれども、付き合ってくれるかしら?」
「もちろんよ」
「ありがとう、瑞樹」
「いいのよ」
翌日。
安奈と瑞樹は朝から神宮寺のもとを訪ねていた。神宮寺はまだ眠り足りないのか、眠そうにしながらも部屋に安奈達を招き入れてくれた。
「随分と眠そうね」
「ここ最近眠れなくって」
「そうよね、こんな事件が続いているんだもの、眠れなくなっても仕方がないわね」
「はい……」
「それにしても驚いたわよね、聖堂の前だけではなくて、校庭の脇でも変死体が見つかるだなんて」
「そうね、それに例のあれもあったんでしょう?」
「そうなのよ」
「例のあれって何ですか?」
「ここだけの話よ。死体の下には必ずマークのようなものが残されていたんだそうなのよ。今回の死体の下にもマークがあったそうなの」
「……そうなんですか」
「独特のマークで一度見たら忘れられないわよね」
「そうね」
「どんなマークなんですか?」
「蝶よ」
「蝶ですか」
「ええ、そうなの」
安奈は興奮したように頬を上気させて話を続ける。
「それにね、ラミアに魅入られた人の選定方法が分かったのよ」
「え!」
「食事よ。食事に薬が混ぜられていたのよ」
「……そうなんですか」
「驚いたわよね、そんな方法で人を陥れる人がいるだなんて。それにね、私殺害方法もわかった気がするの」
「それはどんな?」
「電子レンジよ」
「電子レンジですか?」
「前にも話したわよね?あの時は神宮寺さんはよくわからないとおしゃっていたけれども、電子レンジは物体の水分を振動させて食品を中から加熱するものなのよ。だけど、それが過剰になれば、水の分子は蒸発してしまう。それが今回の殺害方法だと私は思っているの」
「……そうなんですか」
「つれない反応ね、溝口さんを殺した犯人の手掛かりがつかめるかもしれないのよ」
「それはそうですけど、全部先輩の推測ですよね?」
「ええ、だから今警察に調べてもらっているところなの」
「え!」
「冷凍室と大型電子レンジの両方に何かしらの痕跡があると私は睨んでいるわ」
「……そうですか」
「そうそう、ラミアなんだけれども、催眠術でみんな同じ人を見ていると思わされているけれども、実は全然別人なのかもしれないとも思っているのよ」
「え……」
「だって、花の蕾を同じ日に受け取ったのなら、はち合わせてしまってもおかしくないのにそれがなかった。だとしたら、別人から受け取っているかもしれないじゃない」
「それはそうですね」
「それでね、私はこう思っているの。ラミアは二人いるって。魔女のラミアと吸血鬼のラミアよ。二人が共謀して今回の事件を起こしているんじゃないかって思っているのよ」
「なるほど。先輩の言っていること、納得がいきます」
「そうでしょう。それで、これを見て欲しいの」
そう言って安奈は長谷川に見せてもらったマークの写真を神宮寺に見せる。
「これは死体の下にあったマークですよね?これがどうかしたんですか?」
「あら、どうしてこれがそのマークだとわかったのかしら?」
「え?だって蝶のマークだって言ってたじゃないですか」
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