女子高生探偵小南安奈事件簿
032
「そういえば、モンタージュのラミアの顔に見覚えがあるって私、前に言ったとおもうのだけれども」
「ええ、言っていたわね」
「高梨先生に似ていると思うのよ」
「え?」
「高梨先生を女性のようにメイクアップしていたらきっとあんな感じになるのではないかしら?」
「まさか、そんなはずないわ」
「……そうね、私の気のせいだったわね。ごめんなさい安奈」
瑞樹はそう言って安奈に謝ったが、長谷川は瑞樹の言葉をメモに取り、後ほど高梨のアリバイなどを確認すると言い出し、安奈は思わず血の気が引いてしまう。
下手をすれば安奈との秘密の恋愛が判明してしまうかもしれないのだ。
「高梨先生は男性だし、ラミアになることは出来ないわ」
「それはそうだが、幻覚を見させられているという可能性もある」
「だとしたら、モンタージュそのものが信頼性に欠けるものになってしまうわ。だって、幻覚を見せられていたのなら、誰の顔かなんて分かりっこないのだもの」
「それはそうだな。だがこの春から新しく赴任してきたと言うのであれば、ラミアを装ってドラックを蒔いた本人かもしれない。女装でもしていれば幻覚を見せられていた場合勘違いしているかもしれないだろう」
「まさか、高梨先生に限ってそんなわけありません」
「随分庇うんだな」
「それは……このサークルの顧問をしていただいてますし、信頼しているからです」
「なるほど」
長谷川は納得したように頷いたが、「だが」と口を開く。
「俺はお嬢さんほどその高梨って男を知らないんでな。少し調べさせてもらうよ、なに、疑わしいことがなければ俺の思い過ごしってことだ」
「そんな……」
安奈は思わず救いを求めるような目で瑞樹を見るが、瑞樹は申し訳なさそうに安奈を見返して首を振るだけだった。
まさか自分たちの恋愛まで調べ上げられることはないだろうが、と安奈は思ったが、警察の捜査能力がどこまであるのかわからない以上、しばらくは二人で会うのは避けたほうが良いあろうと判断した。
そうして話戻り、ラミアのことになる。
魔女や吸血鬼と名乗っているが、一体何者なのかというところだ。実際にあった三人に聞いても、その実態はつかめない。
安奈は、ますます自身でラミアに会ってみたいという欲求が高まっていくのを感じた。
光る蝶の話は長谷川にもしているのだが、聖堂でまずそれを見つけることができるのは水瀬達なので、安奈達に最初に教えてくれるだろう。
だが、問題は赤い月の夜の件だ。
光る蝶が現れなくても赤い月がドラック使用者にのみ現れるのだとすると、それこそどうしようもないのだ。
話によると、赤い月を見ると無性に外に出たくなってしまうらしい。そうしてラミアと出会うのだという。
今までは赤い月と光る蝶はセットで現れていたが、今回は光る蝶は現れていなかったと三人は口をそろえて言う。
何か法則に変化が生じたのか、と安奈が考えていると、サロンのドアがノックされる。
「はい」
ついいつもの癖で安奈が返事をしてしまうと、ガチャリとドアが開き、高梨が入って来た。
高梨は安奈以外がいることに驚いたようで、一瞬目を見開いたが、すぐにいつもの表情を作ると、ドア付近の所定の席に座った。
「今日はどうしたんだい?何かの会合かな?刑事さんもいらっしゃるようだけれども」
「ええ、先生。私たちは今ラミアの謎について話し合っているところなんです」
「……なるほど、僕が知らない間に随分話は進展しているようだね」
「そうですね、お知らせしなくてごめんなさい」
安奈は、そういえばここの所忙しくて高梨に事件の進展具合を知らせていなかったことを思い出し、素直に謝る。
「高梨先生、今日は何をしにこのサロンに来たんですかね?」
長谷川の言葉に安奈はどきりとする。いつもならば土曜日の午前中は高梨との逢引きの時間なのだ。
「読みたい本があって来たんですよ。そうしたらサロンの鍵が開いていたものだから、不思議に思ってノックして入って来たというわけです」
「なるほど、そうでしたか」
流石に年の功なのか、安奈のように動じた様子もなく高梨は長谷川に対応している。
だがそんな様子に安奈は、一瞬、自分にも同じように表面上の嘘の対応をされているのではないかと、そう考えてしまった。
「ええ、言っていたわね」
「高梨先生に似ていると思うのよ」
「え?」
「高梨先生を女性のようにメイクアップしていたらきっとあんな感じになるのではないかしら?」
「まさか、そんなはずないわ」
「……そうね、私の気のせいだったわね。ごめんなさい安奈」
瑞樹はそう言って安奈に謝ったが、長谷川は瑞樹の言葉をメモに取り、後ほど高梨のアリバイなどを確認すると言い出し、安奈は思わず血の気が引いてしまう。
下手をすれば安奈との秘密の恋愛が判明してしまうかもしれないのだ。
「高梨先生は男性だし、ラミアになることは出来ないわ」
「それはそうだが、幻覚を見させられているという可能性もある」
「だとしたら、モンタージュそのものが信頼性に欠けるものになってしまうわ。だって、幻覚を見せられていたのなら、誰の顔かなんて分かりっこないのだもの」
「それはそうだな。だがこの春から新しく赴任してきたと言うのであれば、ラミアを装ってドラックを蒔いた本人かもしれない。女装でもしていれば幻覚を見せられていた場合勘違いしているかもしれないだろう」
「まさか、高梨先生に限ってそんなわけありません」
「随分庇うんだな」
「それは……このサークルの顧問をしていただいてますし、信頼しているからです」
「なるほど」
長谷川は納得したように頷いたが、「だが」と口を開く。
「俺はお嬢さんほどその高梨って男を知らないんでな。少し調べさせてもらうよ、なに、疑わしいことがなければ俺の思い過ごしってことだ」
「そんな……」
安奈は思わず救いを求めるような目で瑞樹を見るが、瑞樹は申し訳なさそうに安奈を見返して首を振るだけだった。
まさか自分たちの恋愛まで調べ上げられることはないだろうが、と安奈は思ったが、警察の捜査能力がどこまであるのかわからない以上、しばらくは二人で会うのは避けたほうが良いあろうと判断した。
そうして話戻り、ラミアのことになる。
魔女や吸血鬼と名乗っているが、一体何者なのかというところだ。実際にあった三人に聞いても、その実態はつかめない。
安奈は、ますます自身でラミアに会ってみたいという欲求が高まっていくのを感じた。
光る蝶の話は長谷川にもしているのだが、聖堂でまずそれを見つけることができるのは水瀬達なので、安奈達に最初に教えてくれるだろう。
だが、問題は赤い月の夜の件だ。
光る蝶が現れなくても赤い月がドラック使用者にのみ現れるのだとすると、それこそどうしようもないのだ。
話によると、赤い月を見ると無性に外に出たくなってしまうらしい。そうしてラミアと出会うのだという。
今までは赤い月と光る蝶はセットで現れていたが、今回は光る蝶は現れていなかったと三人は口をそろえて言う。
何か法則に変化が生じたのか、と安奈が考えていると、サロンのドアがノックされる。
「はい」
ついいつもの癖で安奈が返事をしてしまうと、ガチャリとドアが開き、高梨が入って来た。
高梨は安奈以外がいることに驚いたようで、一瞬目を見開いたが、すぐにいつもの表情を作ると、ドア付近の所定の席に座った。
「今日はどうしたんだい?何かの会合かな?刑事さんもいらっしゃるようだけれども」
「ええ、先生。私たちは今ラミアの謎について話し合っているところなんです」
「……なるほど、僕が知らない間に随分話は進展しているようだね」
「そうですね、お知らせしなくてごめんなさい」
安奈は、そういえばここの所忙しくて高梨に事件の進展具合を知らせていなかったことを思い出し、素直に謝る。
「高梨先生、今日は何をしにこのサロンに来たんですかね?」
長谷川の言葉に安奈はどきりとする。いつもならば土曜日の午前中は高梨との逢引きの時間なのだ。
「読みたい本があって来たんですよ。そうしたらサロンの鍵が開いていたものだから、不思議に思ってノックして入って来たというわけです」
「なるほど、そうでしたか」
流石に年の功なのか、安奈のように動じた様子もなく高梨は長谷川に対応している。
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