女子高生探偵小南安奈事件簿
028
安奈は少しだけ肩を竦めて、反省の態度を示すと、さらに情報がないか長谷川に問いかける。
「とはいえ、あと共通していることと言ったら格好だな。どれも救いを求めるように手を伸ばしている姿で死んでいるってことぐらいだ」
「……謎のマークの写真はありますか?」
「これだ」
長谷川は胸ポケットから一枚の写真を取り出して安奈達に見せてくれる。
そこには蝶の羽の中央に目のようなものが書かれたマークがチョークのようなもので書かれているのが写っていた。
「なにかしらこれ?」
「何かの宗教のシンボルマークのようだけれども、わからないわね」
「だろう?俺たちもこのマークを使っている宗教団体があるか探しているが今のところヒットしていないんだ」
「蝶と言えば光る蝶だけれども、関係があるのかしら?」
「その光る蝶ってのはドラックの使用者にしか見えないものなんだろう?」
「はい、恐らくは」
「だとしたら、水瀬、五十嵐、北条の三人を徹底的に見張っておかなくちゃいけないな」
「お願いします。私たちの方でも見るようにはしますけれども、夜間などになってしまうと私たちでは目が行き届かないものですから」
「分かった任せてくれ」
「それにしても、朽木さんはどうやって夜間に寮から出ることが出来たのかしら?」
「そういえばそうね。今までの被害者は皆さん一階に部屋があったから自室の窓から出入りできたのでしょうけれども、朽木さんの部屋は二階だものね。近くに都合の良い木でも生えていたかしら?」
「なかったと思うけれども…」
朽木は中等部の三年であり、高等部の寮にいるわけではないので、安奈達も自分たちの記憶を思い出すしかない。
夜間、寮の出入り口には鍵がかけられており、一階の自室の窓でもない限り、抜け出すことなど不可能ななずなのだ。
「つまり誰かが協力をしているという事かね?」
「空き部屋を見つけてそこを利用しているという可能性もあります」
「でも安奈、一階から生徒は入れられていくから、通常一階に空き部屋はないはずよ」
「それもそうね。そうなるとやっぱり協力者がいるということになってしまうわね」
「そうだとしたら、協力なさった方は今頃さぞかしショックを受けているでしょうね」
「そうね、自分のせいで殺されてしまったのではないかと、ショックを受けている可能性があるわね。かといって、中等部の寮の一階の生徒、全員の顔色をうかがうことは出来ないし、もどかしいわね」
「なるほど、協力者か……そのラミアの協力者かもしれんな。こちらでも調べてみよう。お嬢さんたちの連絡先を教えてくれるかい?」
「まあ、長谷川警部ってば」
安奈は笑いながら連絡先を交換すると、寮の門限の時間が近づいてきたために、その場は解散することになった。
寮に帰ってきた安奈を、水瀬と五十嵐が待ち構えていた。
朽木があんなことになって流石に心配になったのかと思いきや、何か話があるとのことだった。
とにかく後で寮の部屋に来るということだったので、安奈達は夕食後、安奈と瑞樹の部屋に集合することになった。
「いらっしゃいませ、五十嵐先輩、水瀬先輩。お話たいこととはいったい何でしょうか?」
「お邪魔します」
「お邪魔します、小南さん、橘さん。早速だけれども本題に入るわ」
「はい」
「昨晩だけれども、私と五十嵐さんには月が赤く見えていたの」
「え?」
「ええ、わかっているわ。他の人にはそんなことないのでしょう?これはきっとドラックの影響だって五十嵐さんと話していた所なのよ」
「まあ……」
「それで、赤い月を見たら私も五十嵐さんも外に散歩に出たくなってしまったの。けれども同室の子に気が付かれてしまってね、脱走できなかったというわけ。同室の子に注意してみるように言ってくれたのは小南さんね?」
「はい」
「ありがとう、と言っておくわ。もしかしたら死んでいたのは私たちだったかもしれないんだもの」
水瀬はそういうと、五十嵐と目を合わせて頷き合うと、「一つ提案なのだけれど」と口を開いた。
「私たちは学年が違うから中々交流を持つことが難しいでしょう?だから、寮の部屋を交換しない?」
「え?」
「そうすれば、どちらかが不審な動きをしてもすぐに見敗れると思うの。もちろん、この事は私たちの相部屋の子には了承を得ているわ。事件が解決するまでの間、一時秘密裏に交換するというのはどうかしら?」
水瀬の言葉に、安奈はすぐさま頷きたかったが、長谷川に警護を依頼したばかりでそんな勝手な真似をしていいのかわからず、返事は保留にさせてもらうことにして、その日の夜は終わった。
「とはいえ、あと共通していることと言ったら格好だな。どれも救いを求めるように手を伸ばしている姿で死んでいるってことぐらいだ」
「……謎のマークの写真はありますか?」
「これだ」
長谷川は胸ポケットから一枚の写真を取り出して安奈達に見せてくれる。
そこには蝶の羽の中央に目のようなものが書かれたマークがチョークのようなもので書かれているのが写っていた。
「なにかしらこれ?」
「何かの宗教のシンボルマークのようだけれども、わからないわね」
「だろう?俺たちもこのマークを使っている宗教団体があるか探しているが今のところヒットしていないんだ」
「蝶と言えば光る蝶だけれども、関係があるのかしら?」
「その光る蝶ってのはドラックの使用者にしか見えないものなんだろう?」
「はい、恐らくは」
「だとしたら、水瀬、五十嵐、北条の三人を徹底的に見張っておかなくちゃいけないな」
「お願いします。私たちの方でも見るようにはしますけれども、夜間などになってしまうと私たちでは目が行き届かないものですから」
「分かった任せてくれ」
「それにしても、朽木さんはどうやって夜間に寮から出ることが出来たのかしら?」
「そういえばそうね。今までの被害者は皆さん一階に部屋があったから自室の窓から出入りできたのでしょうけれども、朽木さんの部屋は二階だものね。近くに都合の良い木でも生えていたかしら?」
「なかったと思うけれども…」
朽木は中等部の三年であり、高等部の寮にいるわけではないので、安奈達も自分たちの記憶を思い出すしかない。
夜間、寮の出入り口には鍵がかけられており、一階の自室の窓でもない限り、抜け出すことなど不可能ななずなのだ。
「つまり誰かが協力をしているという事かね?」
「空き部屋を見つけてそこを利用しているという可能性もあります」
「でも安奈、一階から生徒は入れられていくから、通常一階に空き部屋はないはずよ」
「それもそうね。そうなるとやっぱり協力者がいるということになってしまうわね」
「そうだとしたら、協力なさった方は今頃さぞかしショックを受けているでしょうね」
「そうね、自分のせいで殺されてしまったのではないかと、ショックを受けている可能性があるわね。かといって、中等部の寮の一階の生徒、全員の顔色をうかがうことは出来ないし、もどかしいわね」
「なるほど、協力者か……そのラミアの協力者かもしれんな。こちらでも調べてみよう。お嬢さんたちの連絡先を教えてくれるかい?」
「まあ、長谷川警部ってば」
安奈は笑いながら連絡先を交換すると、寮の門限の時間が近づいてきたために、その場は解散することになった。
寮に帰ってきた安奈を、水瀬と五十嵐が待ち構えていた。
朽木があんなことになって流石に心配になったのかと思いきや、何か話があるとのことだった。
とにかく後で寮の部屋に来るということだったので、安奈達は夕食後、安奈と瑞樹の部屋に集合することになった。
「いらっしゃいませ、五十嵐先輩、水瀬先輩。お話たいこととはいったい何でしょうか?」
「お邪魔します」
「お邪魔します、小南さん、橘さん。早速だけれども本題に入るわ」
「はい」
「昨晩だけれども、私と五十嵐さんには月が赤く見えていたの」
「え?」
「ええ、わかっているわ。他の人にはそんなことないのでしょう?これはきっとドラックの影響だって五十嵐さんと話していた所なのよ」
「まあ……」
「それで、赤い月を見たら私も五十嵐さんも外に散歩に出たくなってしまったの。けれども同室の子に気が付かれてしまってね、脱走できなかったというわけ。同室の子に注意してみるように言ってくれたのは小南さんね?」
「はい」
「ありがとう、と言っておくわ。もしかしたら死んでいたのは私たちだったかもしれないんだもの」
水瀬はそういうと、五十嵐と目を合わせて頷き合うと、「一つ提案なのだけれど」と口を開いた。
「私たちは学年が違うから中々交流を持つことが難しいでしょう?だから、寮の部屋を交換しない?」
「え?」
「そうすれば、どちらかが不審な動きをしてもすぐに見敗れると思うの。もちろん、この事は私たちの相部屋の子には了承を得ているわ。事件が解決するまでの間、一時秘密裏に交換するというのはどうかしら?」
水瀬の言葉に、安奈はすぐさま頷きたかったが、長谷川に警護を依頼したばかりでそんな勝手な真似をしていいのかわからず、返事は保留にさせてもらうことにして、その日の夜は終わった。
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