女子高生探偵小南安奈事件簿
027
「今までの死体があった場所、正確には死体の下には必ずマークのような物が描かれていたんだ」
「マークですか?けれども聖堂の前にそのようなものは残っていませんでしたよね?」
「そりゃあ消したからな」
「まあ!証拠隠滅なのではありませんか?」
「証拠はちゃんと保存してある、写真もちゃんと撮ってあるしな」
「ただ、今回に限り死体の下には何のマークもなかったんだ。連続殺人にしてはおかしいと思わないか?確かに警備が厳重になっているとはいえ、この手の連続殺人犯はこだわりを持って犯行をするものなんだ。ただいたずらに聖堂の前に死体をおいていたわけじゃない。となると、今回の犯行は模倣犯か?しかしそうなると手口が全く分からないし、朽木みなみが夜中に出歩いた意味も不明になって来る」
「……それで、長谷川警部は私どもに何を聞きたいのでしょうか?」
「いい勘だお嬢さん。聞き込んだ話によると、この事件を捜査している女学生がいるそうじゃないか。俺の勘ではそれはお嬢さんたちだと思ってね」
「……そうですけれども、いけませんか?」
「いけないね。大変にいけないね。これは殺人事件だ、危険なんだよ。警察に任せて生徒は学業に集中すべきだと俺は思う。……表向きはな。実際、自分の学院で人殺しが起きたら調べたがる生徒の一人や二人出てきてもおかしくないとは思うし、それがこの学院の経営者の娘なのだとしたら余計に調べる気にあってもおかしくはないだろう」
「まあ、私が経営者の娘だとよくお分かりになりましたね」
「名前は知っていたからね。それに偉い別嬪さんだっていうし、お嬢さんはまさにそれだ」
「まあ、ありがとうございます」
「その別嬪さんは校内でも絶大な人気を誇っているとかで、今回の事件の捜査もその人気を利用して情報を集めているって話しじゃないか。ここは情報交換と行こうじゃないかい?」
「……警察の方が信じてくださるような話ではありませんよ」
「構わないさ。実際の所警察の方でも手掛かりを探しているんだ。些細な事でもいいんだ、何か教えてくれ」
長谷川の必死さに、安奈は自分たちが知っている情報をすべて話した。もちろん推測した部分も交えてだ。
すると、長谷川は安奈達がドラックの存在を知っていることに驚いたが、その要注意人物が誰なのか尋ねて来たので名前を言うと、その三人に見張りを付けることを約束してくれた。
「こちらからの情報も提供しなければならないな。これはあくまでもお嬢さんたちの胸の内に秘めておいてくれよ。……被害者の共通点は新種のドラックだということは判明している。最近この学院の外の若者の間で流行り始めている物の亜種と言っていいかもしれないな。とにかくそれは中毒性は低いんだが、幻覚を見たり人が変わったようになったりする魔法の薬として広まっているんだ。だが、最初の方は中毒性の低いドラックだが、ある一定量を超えると急激に中毒症状が現れるんだ。中にはドラック欲しさに殺人事件も起きているほどだ。この学院にはそのニュースは届いていないかもしれないけどな。とにかく危険なドラックとして最近注目を浴びている。売人は吸血鬼や魔女の使いと言っているらしいが、眉唾物だな」
「確かにそうですが、我が学院の生徒は魔女や吸血鬼だと信じていますよ」
「いや、お嬢さんたちの話を信用していないわけじゃない。だがこれは人間が起こしている事件だからな。……とにかく、そのドラックがこの学院にどうにかして入り込んじまったって話なわけだ。しかもすでにばらまかれている」
「そんなドラックがこの学院に……」
「干からびた死体に関しては、体内の水分が蒸発してしまっていることが原因らしい。血を吸われたとかそんな話じゃあない。解剖医の話では、体内のすべての水分が失われているが、皮膚に弾力などは残っているらしい。つまり、干からびていても弾力はある。この矛盾点が気になるところだな」
「それは私も感じました。三人目の死体を触った時に妙に弾力があるように感じましたから」
「死体に触ったぁ!?」
「あ、手袋はしていましたので指紋は残っていないはずです」
「そう言う問題じゃない。まず死体になんて触るもんじゃないぞ」
「けれど、事件を解決するために少しでもヒントが欲しかったんです。まあ、少し反省していますけれども」
「はあ、まったくとんでもないお嬢さんだな」
長谷川は呆れたように溜息を吐き出した。
「マークですか?けれども聖堂の前にそのようなものは残っていませんでしたよね?」
「そりゃあ消したからな」
「まあ!証拠隠滅なのではありませんか?」
「証拠はちゃんと保存してある、写真もちゃんと撮ってあるしな」
「ただ、今回に限り死体の下には何のマークもなかったんだ。連続殺人にしてはおかしいと思わないか?確かに警備が厳重になっているとはいえ、この手の連続殺人犯はこだわりを持って犯行をするものなんだ。ただいたずらに聖堂の前に死体をおいていたわけじゃない。となると、今回の犯行は模倣犯か?しかしそうなると手口が全く分からないし、朽木みなみが夜中に出歩いた意味も不明になって来る」
「……それで、長谷川警部は私どもに何を聞きたいのでしょうか?」
「いい勘だお嬢さん。聞き込んだ話によると、この事件を捜査している女学生がいるそうじゃないか。俺の勘ではそれはお嬢さんたちだと思ってね」
「……そうですけれども、いけませんか?」
「いけないね。大変にいけないね。これは殺人事件だ、危険なんだよ。警察に任せて生徒は学業に集中すべきだと俺は思う。……表向きはな。実際、自分の学院で人殺しが起きたら調べたがる生徒の一人や二人出てきてもおかしくないとは思うし、それがこの学院の経営者の娘なのだとしたら余計に調べる気にあってもおかしくはないだろう」
「まあ、私が経営者の娘だとよくお分かりになりましたね」
「名前は知っていたからね。それに偉い別嬪さんだっていうし、お嬢さんはまさにそれだ」
「まあ、ありがとうございます」
「その別嬪さんは校内でも絶大な人気を誇っているとかで、今回の事件の捜査もその人気を利用して情報を集めているって話しじゃないか。ここは情報交換と行こうじゃないかい?」
「……警察の方が信じてくださるような話ではありませんよ」
「構わないさ。実際の所警察の方でも手掛かりを探しているんだ。些細な事でもいいんだ、何か教えてくれ」
長谷川の必死さに、安奈は自分たちが知っている情報をすべて話した。もちろん推測した部分も交えてだ。
すると、長谷川は安奈達がドラックの存在を知っていることに驚いたが、その要注意人物が誰なのか尋ねて来たので名前を言うと、その三人に見張りを付けることを約束してくれた。
「こちらからの情報も提供しなければならないな。これはあくまでもお嬢さんたちの胸の内に秘めておいてくれよ。……被害者の共通点は新種のドラックだということは判明している。最近この学院の外の若者の間で流行り始めている物の亜種と言っていいかもしれないな。とにかくそれは中毒性は低いんだが、幻覚を見たり人が変わったようになったりする魔法の薬として広まっているんだ。だが、最初の方は中毒性の低いドラックだが、ある一定量を超えると急激に中毒症状が現れるんだ。中にはドラック欲しさに殺人事件も起きているほどだ。この学院にはそのニュースは届いていないかもしれないけどな。とにかく危険なドラックとして最近注目を浴びている。売人は吸血鬼や魔女の使いと言っているらしいが、眉唾物だな」
「確かにそうですが、我が学院の生徒は魔女や吸血鬼だと信じていますよ」
「いや、お嬢さんたちの話を信用していないわけじゃない。だがこれは人間が起こしている事件だからな。……とにかく、そのドラックがこの学院にどうにかして入り込んじまったって話なわけだ。しかもすでにばらまかれている」
「そんなドラックがこの学院に……」
「干からびた死体に関しては、体内の水分が蒸発してしまっていることが原因らしい。血を吸われたとかそんな話じゃあない。解剖医の話では、体内のすべての水分が失われているが、皮膚に弾力などは残っているらしい。つまり、干からびていても弾力はある。この矛盾点が気になるところだな」
「それは私も感じました。三人目の死体を触った時に妙に弾力があるように感じましたから」
「死体に触ったぁ!?」
「あ、手袋はしていましたので指紋は残っていないはずです」
「そう言う問題じゃない。まず死体になんて触るもんじゃないぞ」
「けれど、事件を解決するために少しでもヒントが欲しかったんです。まあ、少し反省していますけれども」
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