女子高生探偵小南安奈事件簿
025
「ないはずよ」
「となると、やはり内部の人間の仕業ということになってしまうわね」
「つらそうな顔をしているわよ」
「それはつらいわ。だってこの学院の生徒や教師、シスターは家族のようなものなんだもの。その中に殺人鬼がいるなんて、考えただけでも……」
「安奈、そう思い詰めてはだめよ」
「わかっているわ」
安奈は自分のベッドに戻ると、そこに座って瑞樹と向かい合うと、重たく口を開く。
「兎に角、明日は春休みに帰省しなかった人たちに聞き込みをしましょう。それと時間があれば死体が発見された場所を見てみたいわ。明日の夕方になったら規制も解除されているでしょうし」
「そうね、それがいいと思うわ」
「明日の朝は要注意人物三人と私たちで、聖堂の清掃をするのよね。なんだか気が重くなってきたわ」
「今更ね」
「だって、光る蝶が現れてもいないのに犯行が行われたのよ。私はてっきり赤い夜に光る蝶が現れて、犯行が行われると思っていたの。それに昨日の月は赤くはなかったわ」
「確かに赤くはなかったわね。けれども、水瀬先輩が言っていたのでしょう?少なくとも水瀬先輩にとっては赤い月の晩だったって」
「そう、そうね。そうだったわ」
赤い月の夜が、必ずしも全員に共通しているわけではないということが判明している以上、いつ犯行が行われるのかわかったものではない。
それに、光る蝶に関しても昨日は現れてはいなかったはずなのだ。
一体どういうことなのだろうか。朽木が黙っていた可能性は大いにあるが、それに何の意味があったのだろうか。
「光る蝶の存在を隠していたという可能性はあるけれども、それはどうしてかしら?他の人に知られたくないのなら、私にだけこっそり教えてくれてもよかったと思うのだけれども」
「そうね、安奈に話さなかったのには何か理由があるのかもしれないわね。光る蝶は見たけれども、それを覚えていなかったとか」
「え?」
「一種の催眠術よ。催眠をかけられたけれど本人は覚えていないで行動をとってしまう。光る蝶にもそういう効果があるのだとしたら、安奈に言わないという催眠を付与されていたのかもしれないわ」
「それじゃあ要注意人物たちと掃除をする意味がなくなってしまうではないの」
「まあ、あくまでも仮説よ。純粋に朽木さんが黙っていたという可能性もあるわ。安奈とラミアを会わせたくなかったとか」
「まあ、どうして?」
「それは、わからないわ」
流石に瑞樹もわからないと言い、安奈はお手上げと言わんばかりにベッドに倒れ込んだ。
「ともかく明日よ、明日行動しましょう」
「わかったわ。電気、消すわね。おやすみなさい」
「おやすみなさい」
安奈達の部屋の電気が消されたそのあと、校庭に人影が動いたが、誰にも発見されることはなかった。
翌朝、聖堂の清掃をしながら安奈は北条、水瀬、五十嵐それぞれに光る蝶を見たかと聞いたが、全員が見ていないと答えた。
やはり警察が入るようになって、ラミアの方も動きにくくなっているのかもしれない。
そんなところが妙に人間臭いのだが、安奈達にとっては、次の殺人だけは絶対に阻止したいところなのだ。
すでに四人も亡くなっているのだから、警察も必死に捜査しているはずだ。
しかし安奈にはなぜか勘があった。この事件を解決するのは警察ではなくて自分なのだという、そんな漠然とした勘が安奈にはあったのだ。
安奈達は流石に初等部は除くとして、と言って中等部と高等部の春休みに帰省しなかった生徒への聞き込みを開始した。
特にこれといった情報はなかったが、残った生徒たちの中の何人かが不思議な夢を見たということを話してくれた。
それは赤い月を背に敷いた美しい女性が出てくる夢で、その手には花の蕾があったのだという。
安奈はその夢はいつ頃見たのかと聞くと、皆一様に春休みの終わりごろだと答えた。
このことから、安奈はターゲットにされたのはもっといたのだが、夢に応えたのが、人が変わったようになってしまった人たちだったのではないかと推測した。
そうして、それはやはり、夢という形ではあるが、何らかの催眠術のような物が作用しているのかもしれないとも考えた。
「となると、やはり内部の人間の仕業ということになってしまうわね」
「つらそうな顔をしているわよ」
「それはつらいわ。だってこの学院の生徒や教師、シスターは家族のようなものなんだもの。その中に殺人鬼がいるなんて、考えただけでも……」
「安奈、そう思い詰めてはだめよ」
「わかっているわ」
安奈は自分のベッドに戻ると、そこに座って瑞樹と向かい合うと、重たく口を開く。
「兎に角、明日は春休みに帰省しなかった人たちに聞き込みをしましょう。それと時間があれば死体が発見された場所を見てみたいわ。明日の夕方になったら規制も解除されているでしょうし」
「そうね、それがいいと思うわ」
「明日の朝は要注意人物三人と私たちで、聖堂の清掃をするのよね。なんだか気が重くなってきたわ」
「今更ね」
「だって、光る蝶が現れてもいないのに犯行が行われたのよ。私はてっきり赤い夜に光る蝶が現れて、犯行が行われると思っていたの。それに昨日の月は赤くはなかったわ」
「確かに赤くはなかったわね。けれども、水瀬先輩が言っていたのでしょう?少なくとも水瀬先輩にとっては赤い月の晩だったって」
「そう、そうね。そうだったわ」
赤い月の夜が、必ずしも全員に共通しているわけではないということが判明している以上、いつ犯行が行われるのかわかったものではない。
それに、光る蝶に関しても昨日は現れてはいなかったはずなのだ。
一体どういうことなのだろうか。朽木が黙っていた可能性は大いにあるが、それに何の意味があったのだろうか。
「光る蝶の存在を隠していたという可能性はあるけれども、それはどうしてかしら?他の人に知られたくないのなら、私にだけこっそり教えてくれてもよかったと思うのだけれども」
「そうね、安奈に話さなかったのには何か理由があるのかもしれないわね。光る蝶は見たけれども、それを覚えていなかったとか」
「え?」
「一種の催眠術よ。催眠をかけられたけれど本人は覚えていないで行動をとってしまう。光る蝶にもそういう効果があるのだとしたら、安奈に言わないという催眠を付与されていたのかもしれないわ」
「それじゃあ要注意人物たちと掃除をする意味がなくなってしまうではないの」
「まあ、あくまでも仮説よ。純粋に朽木さんが黙っていたという可能性もあるわ。安奈とラミアを会わせたくなかったとか」
「まあ、どうして?」
「それは、わからないわ」
流石に瑞樹もわからないと言い、安奈はお手上げと言わんばかりにベッドに倒れ込んだ。
「ともかく明日よ、明日行動しましょう」
「わかったわ。電気、消すわね。おやすみなさい」
「おやすみなさい」
安奈達の部屋の電気が消されたそのあと、校庭に人影が動いたが、誰にも発見されることはなかった。
翌朝、聖堂の清掃をしながら安奈は北条、水瀬、五十嵐それぞれに光る蝶を見たかと聞いたが、全員が見ていないと答えた。
やはり警察が入るようになって、ラミアの方も動きにくくなっているのかもしれない。
そんなところが妙に人間臭いのだが、安奈達にとっては、次の殺人だけは絶対に阻止したいところなのだ。
すでに四人も亡くなっているのだから、警察も必死に捜査しているはずだ。
しかし安奈にはなぜか勘があった。この事件を解決するのは警察ではなくて自分なのだという、そんな漠然とした勘が安奈にはあったのだ。
安奈達は流石に初等部は除くとして、と言って中等部と高等部の春休みに帰省しなかった生徒への聞き込みを開始した。
特にこれといった情報はなかったが、残った生徒たちの中の何人かが不思議な夢を見たということを話してくれた。
それは赤い月を背に敷いた美しい女性が出てくる夢で、その手には花の蕾があったのだという。
安奈はその夢はいつ頃見たのかと聞くと、皆一様に春休みの終わりごろだと答えた。
このことから、安奈はターゲットにされたのはもっといたのだが、夢に応えたのが、人が変わったようになってしまった人たちだったのではないかと推測した。
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