女子高生探偵小南安奈事件簿
015
流石に三人も同じ状況で死体が発見されているとなると、学院内にも緊張感が漂い、警察が常時いるような状況になってしまった。
誰もが第四の犯行があるのではないかと思っているのだ。
しかし、目新しい手掛かりもなく、刑事たちはただ学院に常駐しているだけの存在となってしまっている。
聖堂は立ち入り禁止になってしまい、各自自室に待機するようにと学院に命じられ、サロンにも行けないまま、安奈と瑞樹は自室にて顔を突き合わせてる。
「水瀬先輩も北条さんも不審なところはなかったわ。あえて言うのであれば怯えてないと事が不審という感じかしら?」
「では安奈や私も不審者ね」
「そうなのよね。そこが問題だわ。今回の被害者麻生美咲さんも要注意人物の一人だったわね。ターゲットからは外していたけれども、間違いだったかしら」
「どうかしらね。犯行推定時刻は夜中なのでしょう?だとしたら、どちらにせよ私たちに犯行を目撃することは難しくってよ」
「そうねぇ」
「高梨先生は臨時の職員会議に呼ばれてしまったし、打つ手はないのではないかしら?」
「まあ、瑞樹ってばここで諦めてしまってはミステリーサークルの名折れよ。なんとしても今回の事件を解明しなくてはいけないわ」
「そうはいってもドラックの入手経路すらわかっていないのよ。どうするというの」
「それなのだけれども、春休みの期間に入手したのだというのなら、春休みの間に訪れた人々もしくは残っていた人々が怪しいのよね」
「そうなってくるわね」
「そのリストを用意してもらえないかしら?しらみつぶしに当たってみるわ」
「リストを作るのは構わないけれども、危ないのではなくて?相手はドラックを扱うような輩なのよ」
「そんなことにおじけづいてはいられない状況になっているのよ。お父様は何もしなくていいとおっしゃっているけれども、そんなことできないわ。それに聖堂には立ち入り禁止になってしまったし……」
「何かあるかもしれないから警察が徹底的に調べるのだそうね」
「何も出ないと思うのだけれども」
「分からなくってよ。日本の警察は優秀なのだもの」
「それはそうだけれども、……はあ、学生のみって意外とやれることが少なくってもどかしいわね」
「学生だからこそやれることを探してみるのはどう?」
「え?」
「刑事にはなかなか話せないことも、安奈の魅力になら話してくれる生徒がいるかもしれなくってよ」
「そうかしら?……そうね、神宮寺さんも告白してくれたのだし、何か聞き出せるかもしれないわね」
「とはいえ、寮に待機している状況ではそれも儘ならないけれども」
「……ああ、もどかしいわ」
安奈は芝居がかったかのようにベッドに崩れ落ちると、そのまま拗ねて丸まってしまう。
丸まりながら安奈は今回の事件について考える。
始まりは春休みを境に人が変わってしまったようになった女生徒が数名現れたことだ。
そしてそのうちの一人の溝口詩世が枯れ木のような状態の死体で発見された。発見したのは聖堂の掃除に訪れた安奈達だった。
あの時は動揺の方が大きく、とにかく警察とシスターに知らせることに頭がいっぱいで肝心の証拠集めなどは全くできなかった。
溝口は文芸サークルにて吸血鬼やラミアの資料を集めていたたため、今回の事件は吸血鬼によるものかと思われたが、どうやら人為的な物らしいことが分かって来た。
そもそも、やはりオカルトなど存在していないのかもしれない。
そうして第二の事件、土屋翠が同じように死亡していた。発見したのは同様に安奈達だ。
一度目よりは落ち着いていたが、やはり証拠集めをしようという気は起きず、ただ刑事やシスターの到着を待つばかりだった。
二人に共通しているのは春休みを機に人生観が変わり、人が変わったようになったという点だけだと思われていたが、高梨によって、検死解剖した二人から同様のドラックが検出されたということは知らされた。
ドラック、その症状は様々だが、確かに人が変わったようになってしまうものも存在しているだろうし、人生観も変わってしまうのかもしれない。
安奈は、安易にそんなものに手を出す人種が信じられないタイプの人間なので、そういったものに手を出す人の心理を理解することが出来ない。
瑞樹も同様だ。
だが確かに、そういったものにすがる人は後を絶たないことは知っている。
今回の件がドラックに関係しているのだとすれば、安奈は余計に、その解決をしなければいけないと考えている。
誰もが第四の犯行があるのではないかと思っているのだ。
しかし、目新しい手掛かりもなく、刑事たちはただ学院に常駐しているだけの存在となってしまっている。
聖堂は立ち入り禁止になってしまい、各自自室に待機するようにと学院に命じられ、サロンにも行けないまま、安奈と瑞樹は自室にて顔を突き合わせてる。
「水瀬先輩も北条さんも不審なところはなかったわ。あえて言うのであれば怯えてないと事が不審という感じかしら?」
「では安奈や私も不審者ね」
「そうなのよね。そこが問題だわ。今回の被害者麻生美咲さんも要注意人物の一人だったわね。ターゲットからは外していたけれども、間違いだったかしら」
「どうかしらね。犯行推定時刻は夜中なのでしょう?だとしたら、どちらにせよ私たちに犯行を目撃することは難しくってよ」
「そうねぇ」
「高梨先生は臨時の職員会議に呼ばれてしまったし、打つ手はないのではないかしら?」
「まあ、瑞樹ってばここで諦めてしまってはミステリーサークルの名折れよ。なんとしても今回の事件を解明しなくてはいけないわ」
「そうはいってもドラックの入手経路すらわかっていないのよ。どうするというの」
「それなのだけれども、春休みの期間に入手したのだというのなら、春休みの間に訪れた人々もしくは残っていた人々が怪しいのよね」
「そうなってくるわね」
「そのリストを用意してもらえないかしら?しらみつぶしに当たってみるわ」
「リストを作るのは構わないけれども、危ないのではなくて?相手はドラックを扱うような輩なのよ」
「そんなことにおじけづいてはいられない状況になっているのよ。お父様は何もしなくていいとおっしゃっているけれども、そんなことできないわ。それに聖堂には立ち入り禁止になってしまったし……」
「何かあるかもしれないから警察が徹底的に調べるのだそうね」
「何も出ないと思うのだけれども」
「分からなくってよ。日本の警察は優秀なのだもの」
「それはそうだけれども、……はあ、学生のみって意外とやれることが少なくってもどかしいわね」
「学生だからこそやれることを探してみるのはどう?」
「え?」
「刑事にはなかなか話せないことも、安奈の魅力になら話してくれる生徒がいるかもしれなくってよ」
「そうかしら?……そうね、神宮寺さんも告白してくれたのだし、何か聞き出せるかもしれないわね」
「とはいえ、寮に待機している状況ではそれも儘ならないけれども」
「……ああ、もどかしいわ」
安奈は芝居がかったかのようにベッドに崩れ落ちると、そのまま拗ねて丸まってしまう。
丸まりながら安奈は今回の事件について考える。
始まりは春休みを境に人が変わってしまったようになった女生徒が数名現れたことだ。
そしてそのうちの一人の溝口詩世が枯れ木のような状態の死体で発見された。発見したのは聖堂の掃除に訪れた安奈達だった。
あの時は動揺の方が大きく、とにかく警察とシスターに知らせることに頭がいっぱいで肝心の証拠集めなどは全くできなかった。
溝口は文芸サークルにて吸血鬼やラミアの資料を集めていたたため、今回の事件は吸血鬼によるものかと思われたが、どうやら人為的な物らしいことが分かって来た。
そもそも、やはりオカルトなど存在していないのかもしれない。
そうして第二の事件、土屋翠が同じように死亡していた。発見したのは同様に安奈達だ。
一度目よりは落ち着いていたが、やはり証拠集めをしようという気は起きず、ただ刑事やシスターの到着を待つばかりだった。
二人に共通しているのは春休みを機に人生観が変わり、人が変わったようになったという点だけだと思われていたが、高梨によって、検死解剖した二人から同様のドラックが検出されたということは知らされた。
ドラック、その症状は様々だが、確かに人が変わったようになってしまうものも存在しているだろうし、人生観も変わってしまうのかもしれない。
安奈は、安易にそんなものに手を出す人種が信じられないタイプの人間なので、そういったものに手を出す人の心理を理解することが出来ない。
瑞樹も同様だ。
だが確かに、そういったものにすがる人は後を絶たないことは知っている。
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