女子高生探偵小南安奈事件簿
012
「そう、それで?」
「その女性は詩世により美しく、より魅力的になりたくはないかと聞いてきたそうです。そうして、詩世はそのことに頷いてしまったと、そう言っていました」
「溝口さんが亡くなった前夜、殺されるかもしれないと言っていたと言ったわね。それはどうしてなのかしら?」
「話してしまったから、私に秘密を話してしまったから殺されるかもしれないとも、彼女に見捨てられたから殺されてしまうとも言っていました」
「そう……秘密を話してしまったから、ね。そうなると二人目の被害者も誰かに話してしまったということなのかしら?けれども二人目の被害者の周囲には貴方のように何かに怯えているような様子の人はいなかったわ」
「そうね。先輩方だったからあまり詳しくは聞くことは出来なかったけれども、様子のおかしな方はいらっしゃらなかったわね」
「それにしても、その女性とやらはどこから来たのかしら?この学院に入り込むことはそれこそかなり難しいことだと思うのだけれども。新しく着任したシスターにそのような方はいらっしゃらなかったと思うけれども」
「そうなんです。私もそんなシスターも教師の先生方もいらっしゃらないって言ったんですけど、詩世は確かにその女性はここにいると言っていたんです。それで、その人がラミアと名乗ったと言って、調べ始めていました」
「なるほどそういうことだったのね。ラミア、女吸血鬼、どこに潜んでいるというのかしら」
「この学院のどこか、ということになるでしょうけれども、広大な敷地よ隠れる場所はいっぱいあるのかもしれないわ。けれどもラミアがミッション系のこの学院にはいること自体が難しいのではないのかしら?」
「吸血鬼ですものねぇ。ミッション系のこの学院にいるとも思えないわ」
「けれど、詩世は確かにあったと言ってましたし、あの雰囲気の変わりようと言ったら、信じるしかなくって」
「ああ、神宮寺さんを疑っているわけではないの。ラミアが本当にいるのだとしたらどうしてこの学院にいるのか、どうやってはいりこんだのか、これからどうするつもりなのか、それが気になっているのよ」
「安奈にとっては今後の学院経営にも関わって来る重要案件ですものね」
「そうなのよ」
「……あの」
「なにかしら、神宮寺さん」
「詩世はよく聖堂に行っていました」
「聖堂、まさしくラミアがいそうにない場所ね」
しかし、確かに変死体は聖堂の前で発見されている。
聖堂に助けを求めるかのように、手を伸ばされた枯れ木のような変死体。てっきり吸血鬼から逃げるために伸ばされた手かと思ったが、逆に聖堂に居る何かにすがるように伸ばされた手なのかもしれない。
そう考えて、安奈は瑞樹と神宮寺を連れて聖堂へ行くことにした。
聖堂の中はシンとしており、神聖な空気が漂っている。この中のどこに隠れるというのだろうか?と安奈達は考えながら探っていく。
しかし、探せる範囲の中にラミアの痕跡は見当たらない。
「ないわねぇ」
「それは、そう簡単には見つからないでしょうねぇ」
安奈達は礼拝堂に戻ると、聖像の前で祈りを捧げて聖堂を後にした。サロンに戻った三人はティー・タイムを楽しみながら話し合った。
「やっぱりラミアの痕跡はなかったわねぇ」
「まあ、そうよね。あったら警察がとっくに調べてるもの。たとえ怪奇現象とはいえ、不審なものがあれば余計に、ね」
「警察に吸血鬼が逮捕できるとは思えないのだけれどもね」
「先輩方は吸血鬼が犯人だと思っているんですか?」
「そうね、その方がロマンがあると思わなくって?」
「ロマンですか……」
「そうよ!ミステリーサークルの会長たるもの、常にミステリーに対してロマンを抱いていなくてはならないものなのよ」
胸を張って言う安奈に、瑞樹は苦笑を浮かべ、神宮寺はどうしたらいいのかわからず、瑞樹に助けを求めるように、視線を向けた。
瑞樹はそんな神宮寺に柔らかな微笑を向けると、首をゆっくり左右に振った。
そんな瑞樹の仕草に神宮寺はどうしたらいいのかわからず、安奈に視線を戻すと、もう安奈は平然と紅茶を飲んでいて、ますますどうしていいのかわからなくなってしまった。
ともあれこの日の成果は神宮寺の話のみで、安奈達は多少がっかりしながらそれぞれの寮に戻るのであった。
その日の夜。安奈の携帯にまたもやメールが届く。
『深入りはしないように。
次の生贄になりたくなければ。』
メールを読んでしばらくすると、またもやメールは消えてしまった。今度は近くにいた瑞樹も一緒に確認することが出来た。
「なんなのかしら」
「忠告ではなくて?」
安奈と瑞樹は首をかしげながら携帯を見つめるのであった。
「その女性は詩世により美しく、より魅力的になりたくはないかと聞いてきたそうです。そうして、詩世はそのことに頷いてしまったと、そう言っていました」
「溝口さんが亡くなった前夜、殺されるかもしれないと言っていたと言ったわね。それはどうしてなのかしら?」
「話してしまったから、私に秘密を話してしまったから殺されるかもしれないとも、彼女に見捨てられたから殺されてしまうとも言っていました」
「そう……秘密を話してしまったから、ね。そうなると二人目の被害者も誰かに話してしまったということなのかしら?けれども二人目の被害者の周囲には貴方のように何かに怯えているような様子の人はいなかったわ」
「そうね。先輩方だったからあまり詳しくは聞くことは出来なかったけれども、様子のおかしな方はいらっしゃらなかったわね」
「それにしても、その女性とやらはどこから来たのかしら?この学院に入り込むことはそれこそかなり難しいことだと思うのだけれども。新しく着任したシスターにそのような方はいらっしゃらなかったと思うけれども」
「そうなんです。私もそんなシスターも教師の先生方もいらっしゃらないって言ったんですけど、詩世は確かにその女性はここにいると言っていたんです。それで、その人がラミアと名乗ったと言って、調べ始めていました」
「なるほどそういうことだったのね。ラミア、女吸血鬼、どこに潜んでいるというのかしら」
「この学院のどこか、ということになるでしょうけれども、広大な敷地よ隠れる場所はいっぱいあるのかもしれないわ。けれどもラミアがミッション系のこの学院にはいること自体が難しいのではないのかしら?」
「吸血鬼ですものねぇ。ミッション系のこの学院にいるとも思えないわ」
「けれど、詩世は確かにあったと言ってましたし、あの雰囲気の変わりようと言ったら、信じるしかなくって」
「ああ、神宮寺さんを疑っているわけではないの。ラミアが本当にいるのだとしたらどうしてこの学院にいるのか、どうやってはいりこんだのか、これからどうするつもりなのか、それが気になっているのよ」
「安奈にとっては今後の学院経営にも関わって来る重要案件ですものね」
「そうなのよ」
「……あの」
「なにかしら、神宮寺さん」
「詩世はよく聖堂に行っていました」
「聖堂、まさしくラミアがいそうにない場所ね」
しかし、確かに変死体は聖堂の前で発見されている。
聖堂に助けを求めるかのように、手を伸ばされた枯れ木のような変死体。てっきり吸血鬼から逃げるために伸ばされた手かと思ったが、逆に聖堂に居る何かにすがるように伸ばされた手なのかもしれない。
そう考えて、安奈は瑞樹と神宮寺を連れて聖堂へ行くことにした。
聖堂の中はシンとしており、神聖な空気が漂っている。この中のどこに隠れるというのだろうか?と安奈達は考えながら探っていく。
しかし、探せる範囲の中にラミアの痕跡は見当たらない。
「ないわねぇ」
「それは、そう簡単には見つからないでしょうねぇ」
安奈達は礼拝堂に戻ると、聖像の前で祈りを捧げて聖堂を後にした。サロンに戻った三人はティー・タイムを楽しみながら話し合った。
「やっぱりラミアの痕跡はなかったわねぇ」
「まあ、そうよね。あったら警察がとっくに調べてるもの。たとえ怪奇現象とはいえ、不審なものがあれば余計に、ね」
「警察に吸血鬼が逮捕できるとは思えないのだけれどもね」
「先輩方は吸血鬼が犯人だと思っているんですか?」
「そうね、その方がロマンがあると思わなくって?」
「ロマンですか……」
「そうよ!ミステリーサークルの会長たるもの、常にミステリーに対してロマンを抱いていなくてはならないものなのよ」
胸を張って言う安奈に、瑞樹は苦笑を浮かべ、神宮寺はどうしたらいいのかわからず、瑞樹に助けを求めるように、視線を向けた。
瑞樹はそんな神宮寺に柔らかな微笑を向けると、首をゆっくり左右に振った。
そんな瑞樹の仕草に神宮寺はどうしたらいいのかわからず、安奈に視線を戻すと、もう安奈は平然と紅茶を飲んでいて、ますますどうしていいのかわからなくなってしまった。
ともあれこの日の成果は神宮寺の話のみで、安奈達は多少がっかりしながらそれぞれの寮に戻るのであった。
その日の夜。安奈の携帯にまたもやメールが届く。
『深入りはしないように。
次の生贄になりたくなければ。』
メールを読んでしばらくすると、またもやメールは消えてしまった。今度は近くにいた瑞樹も一緒に確認することが出来た。
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