女子高生探偵小南安奈事件簿
007
それから数日、特段変わったこともなく過ぎ去っていったが、ある日の朝、溝口と同じような死体が発見された。
今回もまた、聖堂に助けを求めるように手を伸ばされた格好で枯れ木のようになって死んでいたのだ。
発見したのは安奈と瑞樹。二人は前回と同様に、聖堂の掃除のためにやってきて発見した。
その空洞な眼に、安奈と瑞樹は一瞬ここがどこなのかすら忘れて震え上がり、すぐさま警察へと連絡した。
瑞樹が番をしている間、安奈がシスターに知らせるべく走った。知らせを受けたシスターはすぐさま生徒に聖堂の掃除の中止を言い渡すと近寄らないようにと指示を出した。
二度目の事件とあって生徒の間背は面白がるよりも恐怖の方が強くなってきてしまっている。
「まずいわね。第二の事件が起きてしまったわ。いくら外界と遮断されているからとは言って、ニュースにならないわけにはいかなくなってきてしまったわ」
「そうね」
「今はまだ父の力で抑え込んでいられるけれど、これが続くようでは難しくなってくるわね。ミステリーサークルの会長として、今回の事件をぜひ解明しないといけないわね!」
「そう言うと思ったわ。はい、今回亡くなった生徒の資料よ」
「流石は瑞樹ね、仕事が早いわ」
亡くなったのは土屋翠高等部の二年生だ。溝口同様、春休みの終わりごろから人が変わったかのように、華やかになったという証言がある。またもや「人生観が変わった」という旨の言葉を話しており、その詳細は不明。
それまでは目立つようなタイプではなく、どちらかと言えば控えめな後ろに下がったような人だったらしい。
「またもや「人生観が変わった」ね。一体どういうことなのかしら。吸血鬼と接触して、人生観が変わったということなのかしら?」
「わからないわ。先輩方に聞いてみたけれども、同室の方も、春休みの帰省から帰って来てたら、急に変わっていて驚いたそうよ」
「その同室の方の様子はどうだった?」
「怯えていらっしゃったわ。無理もないわね、自分と同じ部屋の生徒が亡くなったんだもの」
「そうね。神宮寺さんのように何か預かっていたものがあったとか、そういうことはなかったの?」
「今回はなかったようね。亡くなった土屋先輩は文芸サークルでもないし、一体どういうことなのかしら?」
「何かの条件を満たしている方が標的なのでしょうけれども、少なくとも、春休み期間に帰省していなかった生徒が対象のようね」
「少なくないわね」
「そう、困ったわね。一人一人に、華やいだ様子になった人はいないか当たっていくのは、流石に骨が折れてしまうわ」
「それなのだけれども、この暗い空気を払しょくするためにもミスコンを開いてみてはどうかしら?」
「ミスコンを?どうして?」
「もちろん通常に開催してしまっては貴女が優勝してしまうから、貴女は出場者側ではなく審査員側よ。華やいだようになったというのなら、そう言ったコンテストに出場するのではないかと思ったのよ」
「なるほど、それなら出場者集めの名目で最近雰囲気が変わった人がいないか聞くのも不自然さはなくってね」
「流石は瑞樹」と安奈ははしゃいで早速と言わんばかりに計画を立てていく。もっとも、大まかな計画になってしまうので、詰めるところを詰めるのは瑞樹の役割だ。
安奈は広告塔として、全校生徒にミスコンを開催すると宣伝して回ればいいのだ。それこそ、学院の全クラスに。
流石の安奈もその作業には苦心したが、おかげで春休み以降雰囲気が変わったと言う人を何人か見つけることが出来た。
確かにその人々は華やかで、妖艶な雰囲気を持つ人たちだった。
安奈はその人たちにミスコンに参加してくれるよう頼みこみ、快諾を得たのであった。
そうして、急きょ決まったミスコンではあるが、参加人数も予想よりも多く予選が組まれるほどで、暗い学院の雰囲気を、明るいものへと変える効果が、十分に発揮されたと言っていいだろう。
ミスコンは五月の終わり、季節外れの暑さの中で開かれることとなった。
暑いからか、水着審査も加えられることとなり、盛り上がりはより一層高まったのは言うまでもない。
安奈は審査員をしながら、要注意人物として、最近雰囲気が変わった数名をよく観察していた。
よくよく見てみると、彼女たちはどこか似た雰囲気を持っており、顔かたちこそ違えど、同一人物に思えてしまう時があるほどだった。
今回もまた、聖堂に助けを求めるように手を伸ばされた格好で枯れ木のようになって死んでいたのだ。
発見したのは安奈と瑞樹。二人は前回と同様に、聖堂の掃除のためにやってきて発見した。
その空洞な眼に、安奈と瑞樹は一瞬ここがどこなのかすら忘れて震え上がり、すぐさま警察へと連絡した。
瑞樹が番をしている間、安奈がシスターに知らせるべく走った。知らせを受けたシスターはすぐさま生徒に聖堂の掃除の中止を言い渡すと近寄らないようにと指示を出した。
二度目の事件とあって生徒の間背は面白がるよりも恐怖の方が強くなってきてしまっている。
「まずいわね。第二の事件が起きてしまったわ。いくら外界と遮断されているからとは言って、ニュースにならないわけにはいかなくなってきてしまったわ」
「そうね」
「今はまだ父の力で抑え込んでいられるけれど、これが続くようでは難しくなってくるわね。ミステリーサークルの会長として、今回の事件をぜひ解明しないといけないわね!」
「そう言うと思ったわ。はい、今回亡くなった生徒の資料よ」
「流石は瑞樹ね、仕事が早いわ」
亡くなったのは土屋翠高等部の二年生だ。溝口同様、春休みの終わりごろから人が変わったかのように、華やかになったという証言がある。またもや「人生観が変わった」という旨の言葉を話しており、その詳細は不明。
それまでは目立つようなタイプではなく、どちらかと言えば控えめな後ろに下がったような人だったらしい。
「またもや「人生観が変わった」ね。一体どういうことなのかしら。吸血鬼と接触して、人生観が変わったということなのかしら?」
「わからないわ。先輩方に聞いてみたけれども、同室の方も、春休みの帰省から帰って来てたら、急に変わっていて驚いたそうよ」
「その同室の方の様子はどうだった?」
「怯えていらっしゃったわ。無理もないわね、自分と同じ部屋の生徒が亡くなったんだもの」
「そうね。神宮寺さんのように何か預かっていたものがあったとか、そういうことはなかったの?」
「今回はなかったようね。亡くなった土屋先輩は文芸サークルでもないし、一体どういうことなのかしら?」
「何かの条件を満たしている方が標的なのでしょうけれども、少なくとも、春休み期間に帰省していなかった生徒が対象のようね」
「少なくないわね」
「そう、困ったわね。一人一人に、華やいだ様子になった人はいないか当たっていくのは、流石に骨が折れてしまうわ」
「それなのだけれども、この暗い空気を払しょくするためにもミスコンを開いてみてはどうかしら?」
「ミスコンを?どうして?」
「もちろん通常に開催してしまっては貴女が優勝してしまうから、貴女は出場者側ではなく審査員側よ。華やいだようになったというのなら、そう言ったコンテストに出場するのではないかと思ったのよ」
「なるほど、それなら出場者集めの名目で最近雰囲気が変わった人がいないか聞くのも不自然さはなくってね」
「流石は瑞樹」と安奈ははしゃいで早速と言わんばかりに計画を立てていく。もっとも、大まかな計画になってしまうので、詰めるところを詰めるのは瑞樹の役割だ。
安奈は広告塔として、全校生徒にミスコンを開催すると宣伝して回ればいいのだ。それこそ、学院の全クラスに。
流石の安奈もその作業には苦心したが、おかげで春休み以降雰囲気が変わったと言う人を何人か見つけることが出来た。
確かにその人々は華やかで、妖艶な雰囲気を持つ人たちだった。
安奈はその人たちにミスコンに参加してくれるよう頼みこみ、快諾を得たのであった。
そうして、急きょ決まったミスコンではあるが、参加人数も予想よりも多く予選が組まれるほどで、暗い学院の雰囲気を、明るいものへと変える効果が、十分に発揮されたと言っていいだろう。
ミスコンは五月の終わり、季節外れの暑さの中で開かれることとなった。
暑いからか、水着審査も加えられることとなり、盛り上がりはより一層高まったのは言うまでもない。
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