女子高生探偵小南安奈事件簿
004
翌日の放課後、予定通りに神宮寺のクラスに行くと、ちょうど帰るところだったのか、荷物をまとめている姿があった。
「神宮寺さんよろしいかしら」
「はい」
「実は昨日、文芸サークルの方に行って資料を頂いてきたのだけれども、どうやら自室の方にも資料をおいているみたいなの。今からお伺いしてもよろしいかしら?」
「はい。でもめぼしいのは警察の人が持って行ってしまったと思いますけれども……」
「まあそうなの?でもいいわ、お部屋も見てみたいし」
「はあ……」
神宮寺は気のない返事をしつつも安奈達を自分と溝口詩世の相部屋へと案内するのだった。
中等部の寮に久しぶりに足を踏み入れた二人は、懐かしさを感じながらも案内されるままについていく。
窓から西日が明るく差し込む廊下を歩いていくと、一室のドアの前で神宮寺が立ち止まり、鞄からカギを出してドアを開ける。
「どうぞ」
「ありがとう、お邪魔します」
「お邪魔するわね」
安奈と瑞樹は部屋の中に入りザっと眺めると、溝口詩世の机である方の机にはほとんど何も残ってはいなかった。
「確かにほとんど押収されてしまったようね」
「日本の警察だもの、ちゃんとすることはしてくれるわ」
「けれど超常現象にまでは対応できないかもしれなくってよ」
「超常現象ですか?」
安奈の言葉に神宮寺がびくりと反応をする。まるで怯えているようで、何かを知っているのかもしれないと、安奈は直感的に感じ取った。
「そうなの、私たちは今超常現象なのではないかと思って、調査をしているところなのよ」
「そうなんですか……」
「なにか思い当たることはあるのかしら?」
「……その、詩世は少し不思議なものを集める趣味があって」
「不思議な物?」
瑞樹が優しく誘導するようにいう。
「ブードゥー人形とか、そういうのです」
「貴女、なにか溝口さんから預かっている者はあるのではないかしら?」
「それは……」
「あるのね?」
安奈の言葉に、神宮寺は力なく頷く。そうして自分の机から一冊のファイルを取り出し、安奈達に渡した。
「これ、詩世が死ぬ前日に預けられたんです。もしかしたら自分は殺されるかもしれないからって」
「殺される?」
「穏やかではないわね」
「私、冗談だと思って気軽に預かって。でも翌朝あんなことがあって怖くって……」
「この中にはどんなことが書かれているのかしら?」
「……怖くて読んでいません」
それは真実なのかは安奈達にはわからなかった。
「これ、お預かりしてもよろしいかしら」
「はい」
「少しこの部屋も見させていただいてよろしい?」
「構いません」
安奈は早速と言わんばかりにベッドの下やシーツをはがしたりして見るが特にこれと言ったものは見つからなかった。
めぼしいものはやはり警察が持って行ってしまったのだろう。
「やっぱり変わったところはないわね」
「そうね」
「ねえ、神宮寺さん。亡くなる前の溝口さんはどんな様子だったのかしら?怯えていたとかそういうことはあった?」
「怯えていたと思います。殺されちゃうんじゃないかって」
「それは犯人に思い当たる節があるという事よね。なにか心当たりはあるかしら?」
「いいえ全く。あの日の夜に帰ってこなくて心配していたんですけれども、翌朝になってあんな姿になってしまって」
「そう、そうよねあんな姿になってしまってショックよね」
「聖堂の前にあんな格好で……」
「ええ、まるで救いを求めるかのような恰好でねぇ」
「はい」
「ちなみに、貴女は聖堂の前にいつお着きになったのかしら?」
「警察が来た後です。この寮からは遠くって」
「そうなの」
安奈は悲しそうに微笑んで神宮寺を抱きしめる。
「可哀そうに。友人のあんな姿を見るなんて、本当にお気の毒だわ」
「先輩……」
神宮寺を抱きしめている間、安奈は瑞樹に目配せをする。
瑞樹は神宮寺の机を調べ始める。そうして一冊のノートを発見するとファイルの間に隠したのを確認して神宮寺をそっと離す。
「でも元気をお出しになって。貴女がいつまでも悲しんでいることをきっと溝口さんも望んではいないわ」
「……はい」
そう言って安奈と瑞樹は神宮寺の部屋を出てサロンに戻ったのであった。
「神宮寺さんよろしいかしら」
「はい」
「実は昨日、文芸サークルの方に行って資料を頂いてきたのだけれども、どうやら自室の方にも資料をおいているみたいなの。今からお伺いしてもよろしいかしら?」
「はい。でもめぼしいのは警察の人が持って行ってしまったと思いますけれども……」
「まあそうなの?でもいいわ、お部屋も見てみたいし」
「はあ……」
神宮寺は気のない返事をしつつも安奈達を自分と溝口詩世の相部屋へと案内するのだった。
中等部の寮に久しぶりに足を踏み入れた二人は、懐かしさを感じながらも案内されるままについていく。
窓から西日が明るく差し込む廊下を歩いていくと、一室のドアの前で神宮寺が立ち止まり、鞄からカギを出してドアを開ける。
「どうぞ」
「ありがとう、お邪魔します」
「お邪魔するわね」
安奈と瑞樹は部屋の中に入りザっと眺めると、溝口詩世の机である方の机にはほとんど何も残ってはいなかった。
「確かにほとんど押収されてしまったようね」
「日本の警察だもの、ちゃんとすることはしてくれるわ」
「けれど超常現象にまでは対応できないかもしれなくってよ」
「超常現象ですか?」
安奈の言葉に神宮寺がびくりと反応をする。まるで怯えているようで、何かを知っているのかもしれないと、安奈は直感的に感じ取った。
「そうなの、私たちは今超常現象なのではないかと思って、調査をしているところなのよ」
「そうなんですか……」
「なにか思い当たることはあるのかしら?」
「……その、詩世は少し不思議なものを集める趣味があって」
「不思議な物?」
瑞樹が優しく誘導するようにいう。
「ブードゥー人形とか、そういうのです」
「貴女、なにか溝口さんから預かっている者はあるのではないかしら?」
「それは……」
「あるのね?」
安奈の言葉に、神宮寺は力なく頷く。そうして自分の机から一冊のファイルを取り出し、安奈達に渡した。
「これ、詩世が死ぬ前日に預けられたんです。もしかしたら自分は殺されるかもしれないからって」
「殺される?」
「穏やかではないわね」
「私、冗談だと思って気軽に預かって。でも翌朝あんなことがあって怖くって……」
「この中にはどんなことが書かれているのかしら?」
「……怖くて読んでいません」
それは真実なのかは安奈達にはわからなかった。
「これ、お預かりしてもよろしいかしら」
「はい」
「少しこの部屋も見させていただいてよろしい?」
「構いません」
安奈は早速と言わんばかりにベッドの下やシーツをはがしたりして見るが特にこれと言ったものは見つからなかった。
めぼしいものはやはり警察が持って行ってしまったのだろう。
「やっぱり変わったところはないわね」
「そうね」
「ねえ、神宮寺さん。亡くなる前の溝口さんはどんな様子だったのかしら?怯えていたとかそういうことはあった?」
「怯えていたと思います。殺されちゃうんじゃないかって」
「それは犯人に思い当たる節があるという事よね。なにか心当たりはあるかしら?」
「いいえ全く。あの日の夜に帰ってこなくて心配していたんですけれども、翌朝になってあんな姿になってしまって」
「そう、そうよねあんな姿になってしまってショックよね」
「聖堂の前にあんな格好で……」
「ええ、まるで救いを求めるかのような恰好でねぇ」
「はい」
「ちなみに、貴女は聖堂の前にいつお着きになったのかしら?」
「警察が来た後です。この寮からは遠くって」
「そうなの」
安奈は悲しそうに微笑んで神宮寺を抱きしめる。
「可哀そうに。友人のあんな姿を見るなんて、本当にお気の毒だわ」
「先輩……」
神宮寺を抱きしめている間、安奈は瑞樹に目配せをする。
瑞樹は神宮寺の机を調べ始める。そうして一冊のノートを発見するとファイルの間に隠したのを確認して神宮寺をそっと離す。
「でも元気をお出しになって。貴女がいつまでも悲しんでいることをきっと溝口さんも望んではいないわ」
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コメント
門脇 賴
二人は神宮寺を疑っているのかな⁉