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未来をやり直します

茄子

プロローグ

「あんまりですわ」

 弟を産んですぐ産後の肥立ちの悪さから、なくなってしまったお母様の葬儀の席で、私はすべてを思い出し呆然としながらも、あふれ出る感情の赴くままに涙を流しておりました。
 周囲から見ればお母様の死を悲しんでいるように見えたでしょうが、私はそれどころではなかったのです。
 私は一度死んだ、殺されたのです。それもあまりにも理不尽なことで利用されて殺されてしまったのです。あれほど怒りを感じたことは前回の人生ではなかったのではないでしょうか?それとも怒りのあまりに逆に冷静になっていたような気もします。
 そう、私は弟が生まれたこととお母様の遺言によって、この国の王子との婚約が結ばれ、結婚し、正妃になりますが、夫の愛人を正妃にするために私は気狂いとされて、喉を剣で突かされて殺されてしまうのです。
 なんと理不尽な事でしょうか。そもそも、婚約者として王子と同じ学院に通うために私はこの領地を離れて王都に向かいますが、そこで王子は将来の愛人に恋をするのです。
 けれども、その恋は実らずに私と結婚することになるのですが、その想い人の夫が事故に遭ったことをいいことに愛人として城に迎え、正妃にさせようと画策する。
 お母様の遺言は絶対です。であれば亡くなってしまった今その遺言を変更してもらうことはできません。お母様は魔の森を隔てた隣国の姫であり、お父様はお母様のいうがままに望みを叶えておりました。
 遺言もまた、当たり前のように実行されるでしょう。
 王都の王宮で私の味方はほとんどいませんでした。あまりの理不尽さに私がふさぎ込んでいったのも原因でしょうが、王子が私を忌み嫌っていたことが原因の大部分を占めていたように思います。
 隣国では妖しい術を使うものや、亜人と呼ばれる種族が存在しているのです。かくゆうお母様も花人という種族であり、私もその遺伝を強く受け継いでいます。弟はどうやらお父様に似たようで人間のようですね。
 領地の敷地内にある聖堂にてお母様の葬儀は進行されていっております。ステンドグラスには我が家の紋章の薔薇の絵が描かれた盾とその後ろにあるクロスされた剣の模様が描かれております。
 その左右のステンドグラスはランタンを持った賢者の絵と、祈りを捧げる女性の絵が描かれております。
 礼拝堂を兼ねておりますので、幾つも置かれたベンチには領民が悲しげな顔をして、中には涙を流しながら座っております。
 献花の花は棺を埋めてなおも続き、多くの人々がお母様の死を悲しんでいるというのがわかります。
 今回お母様の死に伴い、隣国より現在は王太子である伯父様と私の従兄弟がこの領地に訪問なさっております。

 葬儀が終わり、伯父様は最後までお母様の墓標の前に居ましたが、そのまま国に帰っていってしまいました。
 何かあればすぐに言うようにと、私に強く言って行かれましたので、必要な時は遠慮なくおねだりをさせていただくことといたしましょう。
 残った従兄弟は流石に日帰りで魔の森を抜ける体力がないとのことなので、ここで数日休んでから帰国するとのことです。
 ちなみに、私の容姿はピンクブロンドの艶やかな長い髪、赤い木の実のような光沢のある瞳、シルクのように滑らかな白い肌に、血を零したような赤く濡れた唇を持つ、美少女です。

「スチュアート兄様、セオドア兄様……私はお母様の遺言でこの国の王子と婚約することになってしまいます。そして、婚約者…ひいては夫になる者に愛されず、最期は喉を短剣で突きさせられて死ぬ運命のようです。けれども私は今度はそれに逆らいたいと思います。私はお母様によく似ていると言われます。伯父様にもそう言われました、だからこそ今後も頼るようにと言われたのだと思います。どうしたらいいのでしょうか?」

 スチュアート兄様は、赤毛で碧眼の精悍な少年です。セオドア兄様は紺色の髪の毛に赤い瞳の優しげな面立ちの少年です。
 お2人とも私が魔の森で遊んでいる時に知り合って、何度も遊んでいるうちに従兄弟だと判明したほどに、私のお母様は祖国のことを私にあまり語ろうとしませんでした。
 というよりも、魔の森のせいで隣国であるにもかかわらず、交流がほとんどないのです。
 先ほども申しましたように、隣国は亜人や妖しい術を使う人間が住まう国であり、周囲を魔の森に囲まれているので、どこの国とも交流は盛んではありません。
 お母様がお父様と出会ったのも偶然なのか運命なのか、今の私にはわかりません。
 私は花人ですが、弟のサミュエルは人間です。スチュアート兄様は竜人ですし、セオドア兄様は蜘蛛人です。伯父様には正妃はいらっしゃいませんので、お2人はそれぞれ違う側妃腹となっております。

「うちの国に逃げて来ちゃえばいいんじゃないか?」
「兄上、叔母様の遺言は絶対です。婚約者にすると遺言しているとなれば一度は婚約者になるしかありません。一度名目上婚約者になってから破棄すればいいのでは?」
「なるほど。けれども私が婚約者となって学院に入ることは遺言にありますので、それまでは婚約者のままでいるしかありません。浮気を理由に婚約破棄できればいいのですが、私の方から破棄するには、この国での立場があまり……。お父様は辺境伯ではありますけれども、政治にはかかわらない人でいらっしゃいますので。お爺様や伯父様のことを出してもいいのでしょうけど、それは最終手段にしておきたいのです」
「なんで?」
「自分の力でやってみたいんです。兄様方には私が時間を巻き戻している話はしましたし、信じてくださいましたが、皆さんが信じてくれるとは思えませんので、切り札は残しておきたいのです」

 その言葉に、兄様方は少し考えてから頷いてくれました。
 そうして兄様たちが滞在している間に、色々と話し合いをして今後の対策を考えました。
 これから学院に行くまでの数年間の間に、私は知識を蓄え、自分を磨き、遊芸も武芸も出来る限り身に着けることにいたしました。

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 お母様が亡くなって数年、私は学院に通うために王都に行く日がやってまいりました。今後の私の住居は王宮の王太子妃宮に住まうことになります。王太子宮の隣りとなっておりますが、その気にならなければ交流しないことも可能です。
 王宮はいくつもの宮から形成されており、合わせて王宮と呼ばれております。王宮は堀と塀で囲まれた敷地内のことを呼びますが、広さ的には……10.2キロ平米といったところでしょうか。王宮内の移動にも馬車が必要になります。
 学院も併設されておりますが、移動にはやはり馬車が必要ですね。
 領地からは馬車でいきますが、繋いでいる馬は通常の馬ではなく、魔馬という魔物を繋いでいます。手懐けるのには苦労しましたが、人語を理解できる賢い生き物であり、これは魔の森に生息しておりますものを捕らえました。
 通常の馬よりも数倍速く走れますし、休眠を必要とせずに一週間は走ることが出来るのです。一角獣ともこの国では呼ばれておりますが、私の使役する魔馬は白と黒の2匹です。良く懐いているので王都にいる間の移動手段として使ってあげようと思っております。
 王太子妃となるべき少女が来るということは事前に王都の平民に知らされていたらしく、王宮までの街道には多くの人が集まっております。
 窓を開けて手を振れば声援というか悲鳴のようは声が聞こえてきますが、好印象を抱かれているように思えますので問題はないでしょう。前回はこの時点で姿を見せずに隠れていましたので、此処ももう前回とは違うと言っていいでしょう。
 中央通りは整備されているので石畳が敷かれていますが、横道に入れば土の整備されていない道が多々ございますので、前回はこのことについての改善に尽力している途中で命を失ってしまいました。
 レンガ造りの家の中に、ところどころに商店などの看板が掲げられているのを見ると、人々の生活にじかに触れてみたいと思ってしまいます。
 領地に居た時はお忍びということで屋敷を抜け出して領民と触れ合っていました。実家の領地には狩人や冒険者、傭兵という荒くれものと言われる方々が多くいらっしゃいましたので、抜け出したのがばれてしまうとお父様にこってりと怒られてしまったものです。
 王宮につけば、中央宮と言われる場所の前まで馬車でいきます。そうすると、王太子宮の侍従長が出迎えをしてくれます。私の住まう王太子妃宮のメイド長は私の腹心のメイドを連れてきていますので、その子に任せるつもりです。
 王宮のメイドは本当に質が様々で、自分の陣営ともいえる宮に誰を受け入れるかで宮の持主の資質がわかるともいえます。
 過去の記憶…いいえ、未来の記憶から私は誰を選ぶべきかもう決めています。
 家柄や背後関係だけでなく、本人の資質こそ私は重要なのだと前回の経験で学んだのです。後ろ盾には私がなればいい、それだけです。
 王太子宮の侍従長に連れられていかれた一室には、前回と同じように王太子であるアルベリヒ=オロフ=フォシュマン様がいらっしゃいます。最後の記憶よりは若いのは当然ですが、前回はむすっとした顔に怯えてしまい会話もできませんでしたが、今となってはアルベリヒ様も緊張しているのだということがわかります。
 特に特徴のない、応接室という客人をもてなすためだけの、無駄に豪奢な装飾の誂えのある部屋は、私の好みではありませんね。

「初めまして、セラフィーナ=リュンヌ=アルタ=アリスメンディでございます。本日よりこの王宮の王太子宮の隣、王太子妃宮で過ごすこととなりますのでどうぞよろしくお願いいたします」
「ああ」
「私どもは政略結婚でございます。お互いに親に言われての婚約でございますので、不満もございますでしょうがそれはお互い様と思っていただければ幸いでございます」
「は?俺に文句でもあるというのか?」
「そうですね、少なくとも婚約者と初めて会うのにもかかわらず、笑顔の一つも浮かべることのできない婚約者に不満を持つことに何か間違いがございますでしょうか?」
「……ふん」

 ここまでしても笑みを浮かべないというのは、前回を知っているのでわかりますが、これで人前では愛想よく私を大切にしているように演じているのですから感心します。
 金色の髪に碧眼のまさに絵本に出てくる王子様のような麗しい容姿に、多くの女子だけではなく男性も騙されておりました。

「お互いに、与えられた使命を全うしましょう」
「ああそうだな」

 そこから会話が弾むはずもなく、私とアルベリヒ様は国王陛下に呼ばれて謁見の間に向かいます。謁見の間には国王陛下とその正妃である方がいらっしゃいます。アルベリヒ様のお母様であらせられます。アルベリヒ様には異母弟が複数人いらっしゃいますが、それぞれ側妃の住まう離宮で生活していらっしゃいます。
 後宮と呼ばれるエリアになりますが、幾つもの柵で囲まれて国王と子供以外出入りが出来ない小ぶりの宮がいくつもあるエリアになります。
 王太子であるアルベリヒ様は、王太子と承認されるまで、王太子妃の宮と正妃の宮で過ごしていました。
 物語に出てくるような赤いじゅうたんの敷かれた謁見の間は、数段上がったところに二つの椅子が置いてあり、その後ろにこの国の紋章、燃える炎の前に2本の剣が交差しているものが描かれたタペストリーが壁にかけられています。
 威圧感を出すには十分なもので、こうして他国の使者や私のようなものを迎えるのであれば、効果は十分と言えるでしょう。
 そして椅子に座っていらっしゃる方、アルベリヒ様を女性にして大人にしたような方が正妃のエリザベーテ=ロマギーセン様でいらっしゃいます。大人しい方で自分の意見を言うということがなく、後宮をまとめることで精いっぱいというような、押しの弱い方でございます。
 そして、ハニーブロンドとアメジスト色の眼を持つ美丈夫の国王陛下、アルカディ=シュワルツ=フォシュマン様でいらっしゃいます。前回、アルカディ陛下はお母様に横恋慕していて、お父様と結婚したお母様を側妃にできないかといろいろ画策していたようです。
 その関係で私とアルベリヒ様の婚約が決まったと言ってもいいそうです。つまり私を差し出す代わりにお母様には手を出さないとしたそうです。ひどい両親だと思いますが、お母様はこうなることを予想していたかのように、弟を産むから大丈夫だと言っていたそうです。
 お母様は花人ですので、未来読みは出来ないはずなのですが、未来読みが出来る誰かから聞いたのでしょうか?
 それでも、私は時間の巻き戻しを体験して今こうして存在しておりますので、お母様の思い通りにはいかないのでしょう。そうですわ、兄様方とも相談した通り、前回のようには決してなりません。

「お初にお目にかかります、セラフィーナ=リュンヌ=アルタ=アリスメンディでございます。本日よりこの王宮の王太子宮の隣、王太子妃宮で過ごすこととなりますのでどうぞよろしくお願いいたします」
「うむ、慣れぬ場所で何かと不安だろうが健やかに過ごすように。何かあればいつでもいいに来ると言い」
「お心遣いありがとうございます国王陛下」

 流石と申しますか、お母様効果と申しますか、国王陛下は満面の笑みで私を迎え入れてくれました。正妃も穏やかにほほ笑んでいらっしゃいます。
 けれどこの国王陛下、王太子であるアルベリヒ様との婚約が破棄になったのなら、自分の側妃にしようと画策しているということは前回の記憶でわかっております。
 お母様はもう亡くなってしまっておりますので、生き写しのような私を自分のものにしようと思っているのでしょう。
 これを回避するためには兄様の協力が必要ですが、まだ時期が早いということで兄様たちがこの国にいらっしゃるのはもう少し後になります。詳しく言うのであれば数年後、学院を卒業してアルベリヒ様と結婚する前にいらっしゃることになっております。
 私は隣国の王位継承権もまだ持っている身でございますので、婚約破棄の場でそのことを兄様たちが宣言し、隣国に連れて帰るという計画です。
 もっともそれには卒院式で物語のようにアルベリヒ様と浮気相手のご令嬢に私を断罪していただかなくてはいけませんので、ご令嬢には申し訳ありませんがいじめを行わせていただく所存でございます。

「私はアルベリヒ様と、母の決めた盟約に従い婚約をいたしましたが、盟約は婚約をすることのみであり、何かあった際は婚約を破棄することをご承諾いただきたく存じます」
「それは息子との婚約に不満があるということか?」
「いいえ、けれども私たちはまだ若く出会ったばかりでございますので、何があるかわからないということでございます」
「なるほど。そのような事になる正式な理由があるのであれば、認めよう」
「ありがとうございます、国王陛下様」

 これで下地は出来ました。私は婚約破棄にいつでも応じるという覚悟を示すことが出来たことでしょう。
 国王陛下への謁見を終えて私はアルベリヒ様に連れられて王太子妃宮にやってきました。今日から数年住むことになる宮ですが、正妃の宮よりも幾分簡素なつくりであることは仕方がないと言えるでしょう。
 もっとも、どちらも数年しか住んでいないので、そこまで違いがあるかと言われると実感がわきませんけれどもね。

「メイド長は、実家より連れてまいりましたマリエール=グベールにさせます。残りのメンドの人選ですが、私がしたいと思いますがよろしいでしょうか?」
「好きにしろ。俺の宮のメイドや侍従、父上や母上の宮の者でなければ構わない。側妃に所属しているものでも構わない。王太子妃のほうが身分が上だからな」
「まだ婚約者であって王太子妃予定でございます」
「それでも身分は上だ」
「然様にございますか。それでは遠慮なく選定を行わせていただきます」

 スカラリーメイドからパーラーメイド、ハウスメイド、チェインバーメイド、キッチンメイド、レディースメイドとコック、侍従も必要ですね。なによりも能力と忠誠心を重視いたしましょう。

「……婚約者としての義務ですございますので、月に一度のお茶会にはお伺いいたしますが、その他にご用事がある際はこれから用意するメイドか侍従を通していただけると助かります」
「ああそうする。……お前はこの婚約が随分不服なようだ。浮気でもしてここを追い出される事がないようにな。そんなことになれば俺の恥にもなる」
「かしこまりました。では私も、アルベリヒ様が浮気をしてここを追い出されてもいいように覚悟をしておきましょう」
「その方が確率が高いかもしれないが、そんな女がいたら側妃にすればいいだけだろう。お前は隣国の帝の孫なのだから、普通に考えればお前を正妃にするに決まっている」
「そうですわね。けれども恋愛感情というものはそういう道理を越えるものと聞きますので、どうなるかはわかりませんでしょう」
「お前と話していると頭痛がする気がする。俺はもう自分の宮に戻る。お前も用があるのならメイドか侍従を通せ」
「かしこまりました」

 そう言って立ち去っていくアルベリヒ様の背を見送って、私は謁見中に荷物の片づけられた部屋に入ります。
 前回と変わらない、隣国の色の強い私好みの私室となっています。アルベリヒ様はこのような趣の部屋は気に入らないと前回おっしゃっておりましたが、やはり馴染んでいるのは隣国の家具や装飾品なのです。
 衣服のみこの国の物を着ておりますが、実家に居た時は隣国の衣服を着用していることもありました。
 この国の貴族の女性が付けるコルセットというものが窮屈に感じてしまうので、隣国のゆったりとした服のほうが好みなのです。
 部屋に入ってお気に入りの猫足のソファに腰かけてて部屋を眺めます。
 毛の長いふかふかの絨毯、壁紙はラベンダー色の花の描かれたもの、ベルベットの黒いカーテンに、天井にはきらびやかなシャンデリア。年代物の棚に猫足の手触りの良い布地の貼られたソファ、テーブルも飴色の使い込まれた美しい装飾が縁に彫られたたもの。
 まさに私の好みを反映した部屋となっております。そう、前回よりも私の好みに誂えていると言ってもいいかもしれません。
 用意をしてもらった私の宮に雇用できるすべての使用人のリストを眺める。それこそキッチンメイドや庭師に至るまで、全ての王宮に仕える使用人のリストを用意してもらいました。
 階級順に並べられたリストを眺めて、私の宮で雇用する者を選んでいきます。
 反勢力の者もおりますし、貴族の出身ではない者もおりますが、大切なのは能力と忠誠心なのですから何の問題もございません。

「この者たちを至急私の、王太子妃宮の使用人になるように手配をしてくださいませ」
「かしこまりましたお嬢様」

 マリエールの事です、明日には手配を終えて明後日にはすべて配置終えていることでしょう。
 花人という性質上、毒の類は効果がありませんが食事は美味しい方がよいに決まっておりますので、コックの質も高いものが良いでしょう。気取っているばかりで味気ないものよりも、素朴でも美味しい料理のほうがずっといいと私は思います。
 さて、来週から始まる学院ですが前回の記憶から考えて2年間は問題なく過ごすことが出来ますが、3年目の最終学年。そこで浮気相手の少女、フランシーヌ =クーベルタン様が入学されるのです。
 私と同じピンクブロンドのふわふわのくせ毛を風になびかせて、愛らしい人形のような碧い眼の少女。
 アルベリヒ様とは学年の始まりのオリエンテーションのグループが一緒になったことで知り合い、何度か交流を持つうちにアルベリヒ様が好意を寄せていくのです。
 けれども、フランシーヌ様には幼いころから思いを通わす相手、メルセデス=エチェベリア様がいらっしゃいます。
 お2人は家が隣同士で身分も同じで、年齢も同じということもあり、幼いころから将来を誓い合っていたと言います。
 そう、アルベリヒ様が横恋慕するのですがその想いを向けられたフランシーヌ様はメルセデス様への想いとの間で揺れ動くのです。
 そして、そのことをよく思わないのがこの私でした。私はフランシーヌ様を無視し、私が主催するお茶会にも彼女だけを招待しないという意地悪をしておりました。もっとも、ほとんど効果はありませんでした、フランシーヌ様にとって私のお茶会など何の意味もないものだったのでしょう。
 恋に破れたアルベリヒ様は予定通り私と結婚し、予定通り王になりましたが、私とは初夜以外枕を共にすることはありませんでした。もちろん懐妊するわけもなく、それを理由にその時期に夫となったメルセデス様の医療費を肩代わりしてもらう盟約で、フランシーヌ様は側妃になります。
 そして、子供がいない正妃ということで私は監禁用の宮に閉じ込められ気狂いとされる。
 冗談ではありません。
 あんな惨めな思いをもう二度としたくないと思うのは間違ってはいないはずです。そもそも、浮気をして側妃にするのは構わないと私は言っているのに、なぜ
正妃にしようとしていたのでしょうか?
 前回は気が付きませんでしたが、どこかの勢力が関わっているのかもしれませんね。
 そうなりますと、諜報に長けたものを私の下に所属させる必要がありますが、兄様に相談してみましょう。セオドア兄様の手下を貸してくださるかもしれません。

 さて、まずは2年間で下地を整えましょうか。そう、そして3年目が勝負の年です。

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