全力で逃げて何が悪い!

茄子

004 逃げたくなる気持ちもわかる(他視点)

 さて、面白いことになったと思いながら、又従兄姫、ジュミーを観察する。彼女は知らないが、実は王家の血には魔法使いが出やすいという特質がある。もっとも、ほとんどが些細な魔法だから、権威的な問題から表に出さないことがほとんどだ。
 そんな中、回復系の魔法使いとして開花した姉上、カロリーティア姉上は、公表すればそれこそ王族の権威を高めるほどの魔法使いだが、本人がそれを拒否し、公表するのであれば国を出ると言ってしまっているため、公表できずにいる。
 病弱で結婚も無理だろうという噂を広めたのは、カロリーティア姉上の背中にびっしりと浮かび上がった、血色の魔法陣のような模様のせいだ。背中の開いた服はもちろん着れないだろう。
 それでも、自分の力を役に立てたいと、秘密の抜け道を使ってよく城の外に出ては数か月帰ってこずに、国の外で冒険者と魔物退治をしていたりする困った姉だ。
 もっとも、その冒険者の一人とどうやら恋仲らしいってのは、今のところ俺しか気が付いてないかもしれないな。姉上も自覚なさそうだし、活発に動いてるけど基本ウブなんだよ、カロリーティア姉上は。
 ところで話しを戻すが、ジュミー…ランジュミューアは俺の又従兄。
 さほど繋がりがあるわけじゃないが、彼女の兄のリングフィアルが同い年で、学校じゃクラスメイトだったこともあり、家に遊びに行ったときに何度か会ったことがある仲だ。
 母親譲りのピンクブロンドに琥珀色の眼、幼いながらにも美少女になることは間違いないと思わせる容姿に、将来はさぞかし引く手あまただとリングフィアを何度もからかったことがある。
 とはいえ、実際に婚約が決まって婚約者との仲をリングフィアに聞くと、何とも微妙な言葉を返されるのみで、てっきり相手がジュミーに一目ぼれでもするかと思ってたんだが、俺の予想は外れたらしい。
 まあ、反抗期な時期に決まった婚約だし、案外親に反発して意地を張ってるだけかもしれないんだが、話しを聞くと異母妹のアレクシアとの会話のほうが弾むらしい。
 結婚前から浮気とか、家同士の関係を悪化させる気なんだろうか?そこまで反抗期をこじらせてるとか、ぶっちゃけイタイタしいな。
 さて、目の前で魔法を使って仮面を作り上げたジュミーの魔法使いの能力の強さは疑いようもないが、昔から思えば兆候があったのかもしれないよなあ。
 風邪をひいて、ジュミーの母親の遺言で回復魔法使いを使わず自力で治させて、そのせいで悪化しても魔法使いを呼ばないようって遺言もすごいけど、その拘束力もすごいんだよな。
 普通はそんな遺言を守らずに娘可愛さに呼び寄せるだろう?でもしなかったんだよ。
 思えばもしかしたらジュミーの母親も魔法使いだったのかもしれないな、言霊使いとかいう魔法使いの可能性があるよな。今となってはもうわかんねーけど。
 あ、でも今回は姉上を呼んだってことは……ジュミーの病気って仮病だったんじゃね?だから回復魔法を使える姉上を呼ぶことが出来た。
 なんで仮病なんか、しかも年頃の令嬢が嘔吐してまで仮病使うとかなにがしたいのかね。

「なーなージュミー」
「なんですかスティーロッド様?」
「仮病まで使って何したかったわけ?」
「何をおっしゃってるのかわかりかねます」

 にっこりと、貴族令嬢らしい笑顔で返されたけど、俺にはわかるぞ、こいつ嘘をついてやがる。
 病気になったのが学校の入学式当日の朝だろう?婚約者と会いたくなかったとか、人前に出たくなかった?
 こいつがそんな軟弱令嬢とは思えないし、となると他の理由だけど、学校に行くのを拒否してる感じがあったし、学校そのものに行きたくないのか?こいつの学年だとこいつが一番身分が高い令嬢になるし、ほかの令嬢の面倒みる羽目になるのは約束されてるようなもんだから、それがめんどくさかったのか?
 こいつめんどくなこと嫌いだもんなあ、うまく隠してるけど嫌なことからさり気なく逃げてる時があるんだよなあ。

「森に家を作るのに魔法使いを駆使するから一週間ぐらいで出来るらしいぞ。お前の考えた絵を出来るだけ再現するとか」
「ガーデニングし放題ですね!」
「昔っから草弄り好きだよな」
「花弄りとおっしゃってください。いいじゃないですか、綺麗でかわいくていい匂いでおいしくて」

 まあ、確かに花の蜜は美味かった。そのあとに荒しすぎて庭師にめっちゃ怒られたけどな、俺が!

「ところでスティーロッド様?」
「なんだよ」
「レディの部屋に入ってきた用事は何でしょうか?用事がないなら、出ていきやがってくださっていただけます?」
「お前の口の悪さは誰に似たんだ?」
「兄様のお友達でうちに遊びに来ていたどこかの王子様ですね」
「なるほど、なら仕方がないな。まあ、用事っていうか、魔法の修行はどうかって聞きに来た。姉上はちょっと出かけてくると言って、国外に魔物退治に出ているからな」
「ちょっと出かけてくるの規模が大きいですね」
「もう慣れた」
「慣れるんですか。というか、王女様なのにこのまま結婚しなくて大丈夫なんですか?」

 もっともな質問だな。だが大丈夫だ、姉上の人生計画に隙は無い。

「病弱な姉上は、ある日大病を患って儚く命を散らすそうだ。それで冒険者のカロリーティア姉上は冒険仲間と国外で魔物退治をしながら世界を旅してまわるん。というクソすばらしい迷惑極まりない人生設計をたててくれやがってる」
「なるほど。ぜひ見習いたいところですわね」
「ほほう?」

 なるほど、やはり学校に行くのを嫌がっているのと、貴族令嬢そのものから離脱を目的としているっぽいな。まあ、異母妹がいるから婚約者はそのまま移行できるし問題はないだろうが、なんでそこまで貴族令嬢が嫌なんだ?
 これまではそんな兆候なかったよな?めんどくさがりだったけど、自分の役目を放棄するようなことはしなかったはずなんだが、何かあったのか?
 あるとしたら避けている学校でか?

「第3エリアの学校は高位貴族のみ、伯爵位以上の子女が通うから派閥争いは面倒だろうが、そこまで拒否するほどじゃないだろう?お前なら指先一つで操れそうじゃないか」
「なんですか、人を悪役みたいに言わないでいただけます?」

 誰もそんなこと言ってないんだが、悪役……ふむ?これは重要なキーワードな気がするな。
 ジュミーが悪役になるとすれば、対立派閥の令嬢にそう仕向けられる場合か。いや、でも上の学年にも同学年にもそこまで強い勢力を築ける令嬢はいなかったはずだ。
 というか、こいつってめんどくさがりだけどやり始めると容赦がないから、敵になったら微塵も残さずぶっ潰すだろうし、そうなると女同士の派閥じゃなく男も考慮に入れるか?そうなると確かに対立派閥の公爵子息が上の学年にいるな。
 でもあいつはジュミーに惚れてるんだよなあ。どこで見たのかは知らないけど、ジュミーの婚約者に名乗り出たぐらいだし。家の事情で無理だったからバスティアンのことめっちゃ逆恨みしてたけど。
 でもそうなるとなあ、ジュミーが気にすることってなんだ?やっぱ学年女子をまとめ上げるのが面倒って感じか?
 それをするのを悪役の仕事とか、なんか変な本でも読んだのか?

「悪役ってなあ。馬鹿か?」
「馬鹿とはなんですか!これは重要な事なのです。私が下手に派閥を作ってしまえばいずれ…」

 派閥ねえ、男の派閥は家の影響が強いけど、女の派閥は家の影響とか色々なもんが複雑に絡み合ってるからなあ、面倒なのはわかるけど、いずれなんだよ。

「どうせ来年お前の異母妹も入学するんだし、異母妹の為にも派閥を作っておいたやればいいんじゃねーの?」

 そういうと、ジュミーは顔を盛大にひきつらせ、思いっきりソファーの背に体を押し付けて逃げようとする。
 なるほど、異母妹と同じ学校に行くのが嫌なわけだな。一年の差があるとはいえ、今まで散々比べられてるしな、学校でも同じように比べられるのが嫌ってわけか。
 でも別にジュミーが負けてるってわけじゃないし、そこまで気にすることはないと思うんだよな。
 いや、ジュミーの家庭の事情も知ってるし、義母と異母妹との関係について悩んでるのも知ってるけど、そこまで拒否するか?
 何度か会ったけど、アレクシアはそこまで悪い子じゃないと思うんだよな。ちょっと異母姉であるジュミーを『お気の毒』とかいって馬鹿にしてる感じはあったが、……そういや、いつだかのお茶会で俺がジュミーをほめたら、そのあと裏で盛大にジュミーの悪口を言われたことがあったな。
 絶対ジュミーがしないであろういじめをうけただの、悪口を言われだのと、聞いてて呆れたが、学校でジュミーをよく知らない奴が聞いたら信じるかもしれないな。
 アレクシアにはなんていうか、人に取り入る才能がある気がするんだよなあ。甘い言葉を言うというか、適度の接触と優しい言葉とか、悩みを抱えてる奴ならコロッと行きそうな、そんななんかがあるんだよな。俺はぶっちゃけどうでもよかったけど。
 なるほど、その性格をジュミーも知ってたら、アレクシアと一緒の学校に行きたくないとか言い出しそうだな、こいつ面倒な争い事からは逃げるタイプだし。

「あー……でもさあ、修行が一年で終わってみろよ。アレクシアと同学年で入学させられるかもしれないぞ」
「それはお断りいたしますわ!」

 やっぱりアレクシアを避けてるんだな。でも実際のところ、アレクシアぐらいジュミーならどうにでもできるんじゃないか?血筋はずっといいし、顔だってアレクシアはかわいい系だがジュミーは美人系だ。好みはあるが負けてはいないだろう。

「アレクシアになにがあんだよ」
「それは…」

 言いにくそうに視線を知らして、カップを両手で持って口元を隠すように飲み物を飲む。これはこいつの言いたくないことがある時の癖だ。しかも大抵ろくでもないことだ。

「言え」
「知りませんわ」
「ジュミー、白状しろ」
「存じませんわ」
「ランジュミューア=リル=ユルシュル=デルジアン。真実の天秤の命令だ、言え」

 これは本当は使いたくないけど、仕方がないな。王族が使える特権だ。ここの命令に嘘をつくことは許されない。

「黙秘もできませんのよね」
「そうだ」
「……どうせ信じてくれませんわ」
「いいから言えよ」

 ここまでごねるほど言いたくないことってなんだよ。くっだらないろくでもないことだったら一発殴ろうか?いや、フィアルに十数倍になって返されるからやめておこう。責任取って嫁にしろとか言い出しそうだし。
 まあ、ジュミーが嫁なのは悪くない……かもしれないけど、もれなくフィアルとあの親ばかが付いてくるのがなあ。
 そんな感じで、渋々といった感じに聞かされた内容は簡単に言えばこうだ。
 来年入学してくる異母妹が学校のイケメン(人気のある男のことらしい)を総ざらいするのに耐え切れず、異母姉であるジュミーが様々な項目で勝負を仕掛け、自分の愚かさを思い知らせようとするが、徐々に形勢が逆転される。最後にはその勝負のことを弱きものに対するいじめと批判され、学校を追われ家からも見捨てられ、領地にある森の中で寂しく暮らす未来になる。

「……ねーわ」
「なっ。だから信じてもらえないって言ったじゃないですか」
「いや、あの親ばかがお前を見捨てるとかねーだろう」
「お父様は私を見捨てた後に、私を監視するということで隠居して一緒に暮らすんですの。お兄様もですわ」
「あー、それなら納得できる」

 そうなった場合デルジアン家はボロボロだけどな。

「つーか、ご都合主義な話しだな。そのオトメゲームってのは、国の勢力図とか気にしないわけ?魔物は?能力者は?ってか男総ざらいの結末が聖女とか、うわー…」
「スティーロッド様は隠れ攻略対象ですわ」
「アレクシアに俺が惚れんの?ねーな、それはねーって。あんな楽しそうにジュミーの悪口いう女に惚れるとかねーわ」
「王子である自分と、自分を見てほしいという狭間に揺れ動く心を癒されるんです」
「いや、そんな狭間で揺れ動いてないし。王位継承権放棄出来たら俺はちゃっちゃと宰相殿に弟子入りするんだって」

 むしろ王位継承権とかいらない。兄貴に早く子供が出来れば放棄できるんだけどなあ、なかなか子供が生まれないんだよなあ。側室とかもいるけど、兄貴に問題があるんじゃねーかとか言われ始めてるし、ったくいい迷惑だよな。
 まあともかく、俺がアレクシアにそういうことで惚れるとかはねーし、ジュミー達の悪口聞かされた時点でちょっと…って感じだしさ。
 いい子ぶってるのとか、俺ぐらいになればわかるわけよ。

「まあ、俺は惚れないけど他の奴は知らないからなあ。ジュミーが警戒する気もわかるけど、ジュミーは別に処刑されるとか言うわけじゃないんだし、そこまで嫌がらなくてもいいんじゃね?」
「だって!お父様や兄様にご迷惑がかかるではありませんか!」

 ブラコンでファザコン…。

「それに!私に何かあったら兄様が何をするか!」
「あー…」

 あのドシスコンが何をするかは俺にもわかんねーな。とりあえず、現婚約者のバスティアンが自分で婚約破棄とか言ったら、間違いなく血の雨が降るだろうな。

「とにかく私は、そのゲームの舞台となる学校から全力で逃げて平穏な日々を手に入れるんです!妹と対決とか面倒なことをして家名に泥を塗るとか、聞いてるだけで砂を吐きそうな甘い戯言を聞かなくちゃいけないとか、ぶっちゃけ人目を気にせずイチャイチャする馬鹿どもを見なくちゃいけないとか、馬鹿どものしりぬぐいをしてやるのに、それを全部なかったことにして手柄だけ奪われるとか。とにかくそういう面倒から全力で逃げるんです!」

 なるほど、それは俺も逃げたいな。ついでにいえば、ジュミー自慢を延々としてくる又従兄との昼食からもたまに逃げたくなるから、よくわかるぞ、その気持ち。

「まあそういうことなら協力してやる。って言っても、俺は魔法使いの才能はないからな、修行の協力とかはしてやれないんだけどな。適当に応援だけしてやる。あーでも、優しい俺はジュミーのために王室図書館の入館証をゲットしてきてやったぞ」

 懐から入館証、天秤と二冊の本が中心にある魔法陣の描かれた入館証を渡すと、ジュミーは目をキラキラさせてそれを握り締める。
 限られたものしか与えられることのない入館証は、持っているだけで名誉なことだ。

「ほら、所有印付けとけ」
「えっと、どうやるんですか?」
「こうすんだよ」
「い゛っ!」

 入館証を持っていない方の手をひぱって、薬指をがりっと歯で血を出させて、そのちを入館証の天秤の中央に垂らす。

「い……たい!」
「これが所有印。無くしても自分のところに帰ってくる安全仕様だぞ」
「噛んだ…」
「悪い悪い」

 もう止まってはいるけど、血の残った指をなめて綺麗にしてやれば、強い力で自分の方に戻されてハンカチで丁寧に指を拭いている。そこまでされると傷つくぞー。

「兄様に言いつけてやります」
「本当にごめん!もうしないから許してください!」

 ジュミーの指を噛んだとかバレたら刺されるかもしれない。むしろ口を縫い合わせるとか舌を抜かれるとか…いや、歯を抜かれる?折られる?
 いずれにしろやばい。
 でもなあ、入館証に所有印をつけるには、すでに持ってるやつに傷をつけてもらって、血をつける必要があるんだし。これは必要な事なんだって、うん。

「それにしても植物の女王という魔法ですが、よくわかりませんね」
「成長促進とかは実験したんだよな」
「もちろんです。成功しました……しすぎて枯れました」
「加減がわからなかったんだな」
「はい」
「あれは?じゅしーとか言うやつを出したやつ」
「3Dプリンターをイメージすれば作れますね」
「すりーでぃーぷりんたー?ってのはわかんないけど、まあそれだけでもいろいろ作れて便利だな。んで、魔法力のほうがどうなんだ?強い魔法を使うをぶっ倒れたりする魔法使いって多いだろう?姉上もそうだし」

 転生者とかいうのはたまにこの世界に現れるけど、不思議な言葉とか道具や文化を持ってるよな。でもそれがあってもこの世界が統一されないのは広まらないとか、過剰な力が淘汰されるからだって習ったなあ。
 神様が今の状態を望んでるから、とかなんとかで文明が進まないんだっけか?小国が多くて魔物が多くて戦争もそこそこあるのは、この状態が一番神にとって都合がいいから、だったかな。

「実は、仮面を作った夜に高熱を出して寝込んでしまいました。翌日には治ったので言いませんでしたけど」
「おい、言っておけよ。まあ、確かに物質召喚ってのは魔力を大量に使うっていうしな、その反動だろうから物質召喚系はあんまりしない方がいいかもな」

「うう。便利道具が作れるなら熱ぐらい」
「怒るぞ、フィアルたちも」
「むう…」

 むくれたジュミーは普段の美少女然とした感じから一転してかわいいよなあ。バスティアンはなんでこんなかわいいジュミーに惚れないんだろう?
 単純に好みの問題か?ジュミーって普段は理路整然とした感じの真面目系美少女だもんな、守ってあげたいかわいい系アレクシアがタイプなら、まあ惚れないのかもしれない。
 でもなあ、ジュミーだってかわいいところはあるし、案外抜けてるし、ブラコンでファザコンだけど気を使えるいい子だし、魔法使いになって体中に銀の蔦模様がついちゃったけど、かわいさが損なわれてるとも思えないし、オトメゲームってので捨てるとか本当にそんなことがあったら馬鹿だよなあ。
 それにしても植物の成長促進しすぎて枯らしてしまうってのは、ちょっと危険だな。たしかにちゃんと操作できるように修行しないと国家的な問題になりかねない。
 じゅしーってやつは便利そうだけど、高熱を出すっていうならあんまり使わせるわけにはいかないな。
 植物の女王、使い方によっては国を発展もさせるが、退廃……滅ぼす可能性もあるな。
 特にこの国は城壁に囲まれた国だ。絶対的な防衛力の代償に、外への自由がない。そんな中で植物を操る魔法か。
 神の救いかそれとも断罪か…。天秤はどちらに傾いているんだ?

「植物系の魔法だと、資料によれば植物を使って空を飛ぶものもいたそうだ」
「パラシュートとかかな?」
「わかりやすく説明してくれ」
「タンポポの綿毛って風に舞うでしょ?あんな感じ」
「なるほどわからん」

 ジュミーは案外説明下手だよなあ。直感と感覚で生きてるっていうか、ある程度は出来るけど、自分の中で完結する答えを説明するのが苦手な部分があるんだよな。
 ああ、もしかしてオトメゲームで断罪された理由ってこれじゃないのか?説明不足で誤解されたんだろうなあ。

「まあ、空を飛ぶ他にも毒を操る、蔦を操る、木を操る…。実験した成長促進や逆に枯らすなんかも記録には有ったな」
「調べてくださったんですね」
「そりゃあ、ジュミーに入館証が発行されるまで時間があるし、出来る限りのことはしてやらないとなあ」
「優しいですわね、惚れませんけど」
「惚れてもいいぞ。それでだ、植物系の魔法使いの記録のある書籍に関しては後ほどこの部屋に運ばせる。ただし、城外には持ち出せないからな」
「コピーできればいいのに」
「こぴー?」
「複写ですかね」
「頑張って書き写すんだな」
「うう…」

 ぶっちゃけ俺には一週間で書き写すのは無理だな。数十冊もある上に、古代文字だの暗号だの色々あったもんなあ。

「写真があれば…」
「しゃしん?」
「複写装置かなあ?」
「植物で作れるのか?」
「無理ですね」
「諦めろ」
「うう……」

 異世界とやらには随分便利なものがあるんだな。この世界にもあればいいんだが……。そういえば、魔法で無限図書館とか呼ばれるものがあったな。
 紙でもなんでも、記載・記録されたすべてのものの情報を引き出すことが出来る、それこそ神に通じる魔法だと言われたものだったかな。
 数百年前の魔法使いで、伝説によれば知っているから知りたくないとか言って自害したんだったか。
 不老不死の方法も知っているとか言う話しだが、どうして死んだのかいまだに謎のままってなってるんだよな。不老不死の何がいいのかわかんねーけど、当時の権力者がこぞってその魔法使いを手に入れようとしたとか記録にあるんだよな。
 ジュミーの植物の女王ももしかしたら、そんな魔法使いになっちまうかもしれないな。このまま素直に公表するのはまずいかもしれないな。

「スティーロッド様?」
「お前さあ、平穏に暮らしたいんだっけ?」
「はい」

 森に引きこもるってのは、間違ってないかもしれないな。この国は運よく水と緑に恵まれてるけど、ほかの国では水不足や緑不足の国も多い。そんな国はきっとジュミーを手に入れようとするに決まってる。

「お前の今後の公表なんだが、姉上と同じ病弱ってことにして、引き込もるのはいいかもな」
「そうですよね!」
「でもまあ、お前が魔法使いになったのは目撃証言がめっちゃあるわけだ」
「うっ」
「でもどんなものかは公表されてないからな、適当なものをでっち上げて公表すべきだろう。魔法を使うことで身体に影響が出る、っていう魔法使いもそれなりにいるから、それを理由に魔法を使えないとかも追加して」

 蔦模様が見られているのなら、植物系の魔法使いっていう推測がされている可能性はあるからな、大したことのない能力だとどんなものがいいんだろうなあ。
 成長促進はだめだな、政治に利用されるし軍事利用される可能性もある。
 花を具現化する能力もだめだな、毒花なんかを具現化させられたらやばいし、香りを操れるのも使い方によっては催眠誘導に使われたりするしなあ。

「適当な弱い魔法って何だろうなあ?」
「植物系って使い方によって凶悪ですもんね」
「そうなんだよ。限定した魔法能力にしておけばそうそう変なことに使われないんだがなあ」
「あ!じゃあ薔薇だけ出せるとかにしませんか?」
「は?」
「それで、修行で他の花も出せないか訓練してるってことにしませんか?」
「ふむ」

 なるほど。それなら確かに今のところ使い道はないし、将来性を考えて学校に行かず修行する名目にもなるな。
 ジュミーって変なところで頭がいいけど、こいつのことだから多分思い付きなんだろうなあ。

「まあ、それを公表するってことにして、修業期間は未定ってのはいいんだが、お前の言う世界の強制力っていうのは、お前が思ってる以上にあるかもしれないぞ」
「そうなんですか?」
「ああ、なんたってこの世界の文化が進歩しないのは神のご意志ってやつだからな。今のこの状態が、一番神への信仰を集めるのにちょどいいんじゃないかって学説がある」
「うっわー。確かにこの世界って何百年っていうか数千年の歴史があるのにルネサンス時代から進歩してないっぽいですもんね」
「るねさんす時代がわからんが、この世界の神ってのは強力な存在だぞ。だから強制力っていうのも強いのかもしれないな」
「うーん、ファンタジー恐るべし」

 前世の記憶とやらが戻ったんだか、浮かんできたんだかは知らないが、よくわからない単語を使うようになったな。
 でも、ジュミーに話したことは事実だ。この世界の神という存在の影響力は強い。その神が転生者を呼び込んでいるのか知らないし、そのオトメゲームの舞台っていうのを用意しているのかも知ったこっちゃないが、ジュミーが不幸になるのは見過ごすことはできない。

「そういえば薔薇の油?ってのを使って化粧品を作ったんだってな。魔法が開花する前だから、前世の知識か?」
「そうそう。精油っていってねアロマテラピーで使うもので化粧品にも使えるし。あっ他にもいろいろ覚えてるよ、石鹸の作り方とか」
「んー、それなあ、あんまり大っぴらにならない方がいいぞ。下手に文明を進めると神の怒りに触れるっていうのが王族の教育にあるからな」
「この世界の神様めんどくさいー。でも神様っぽい」

 ジュミーはそう言って笑いながら両手を合わせて目をつぶっていたが、しばらくして目を開けるとクスクス笑う。

「前世ではね、っていうか前世で住んでた国ではね、なんでも神様になるし、魔物になっちゃうの」
「は?」
「魔物は神様だし、神様は魔物なの。良くも悪くも神様で、良くも悪くも魔物なの。だからまあ、わがままな神様も神様なんだよねえ」
「すごい国だな」
「あはは。だって自然全てが神様って国だったんだもん。それに神様だけじゃなくって仏様もいたんだよ」
「ほとけさま?」
「まあ、いろいろ居たの」

 よくわからないが、ジュミーの中では何か決着がついたらしいな。
 ジュミーの頭の中に有る知識っていうのは、多分文明を進化させるきっかけになりかねないものだ。もっともジュミー曰く、この世界はファンタジーだそうなのでどこまでが許容範囲なのかはわからないな。

「薔薇の花を出すのは体に影響はないのか?」
「んー……このぐらいなら平気かな?」

 そう言って腕にぎりぎり抱えきれる程度の薔薇の花を出現させたジュミーだが、あいにくその薔薇の花は俺の知識上には存在しない。
 そんなに花弁は厚くないし、香りもこんなに強くない。きっとジュミーの記憶の中に有る薔薇の花なんだろう。この世界にも探せばあるかもしれないけれど、少なくともこの国にはない。
 やっぱりジュミーは人里離れた森の中で修行しておいた方がいいのかもしれない。
 たぶん今は今の世界の記憶と、前の世界の記憶が混ざって混乱しているんだろう。区別がついていないのがいい証拠だ。

「普通の薔薇を出してくれればよかったんだがな」
「普通の薔薇だよ?」
「よく考えろ、お前の屋敷の庭にそんなバラが咲いているか?」

 俺の言葉にジュミーは一瞬眉間にしわを寄せ、はっとしたように自分が出した薔薇の花を見つめる。おそらくこの世界では見たことがない薔薇の花なのだと気が付いたのだろう。

「スティーロッド様、私の魔法の力って思ったよりも危険かもしれませんね」
「思ってる以上に危険だぞ」

 やっと自覚したのかこの馬鹿。
 出現させたバラの花に困惑しながら、ジュミーは花束の中に顔をうずめたかと思うと、その薔薇の花束を消滅させてしまう。

「いろいろこの世界のことも勉強します。せっかく入館証も貰ったし、王城の図書館にもお勉強しに来ます」
「そうしろ」

 魔法使いとしてこれだけの力を持っているジュミーが、普通の令嬢として暮らせる未来はもうないが、平穏な生活ぐらいは叶えてやりたいよな。
 姉上のように自分で冒険者になりに行くというのなら、それも止めないけど。出来れば普通に暮らしてくれないかなぁ。

「俺の妹と何暢気にお茶しやがってますか!」
「おう」
「兄様」

 ノックもせずに誰が来たのかと思えば、フィアルだった。というか、この部屋にノックもせずに入れるのなんてフィアルぐらいだろう。
 一応普段はノックしてるんだけどな、俺と二人っきりってのでノックを言う礼儀をすっ飛ばしやがったな。

「兄様もお茶を如何ですか?」
「いただこう」

 迷いなくジュミーの横に座ってその間の距離がとてつもなく近いのは、兄弟愛だって思っておこう。我が国では同父母の兄弟の結婚は認められていないからな。
 というかこいつの場合、母親から妹をくれぐれも頼むと言われてるせいでやったら過保護なんだよな。
 やっぱりこの二人の母親は言霊使い系の魔法使いだったんじゃないだろうか?そうでもなきゃ、フィアルがここまでシスコンなのはおかしいだろう。
 婚約者を決める条件だってジュミーを大切にすることが第一条件とか、普通の令嬢ならドン引きだよなあ。
 ジュミーの婚約が決まった時も荒れに荒れてたもんな。あの時は文官じゃなくて武官になってればよかったんじゃないかって思ったぐらいだぞ。
 第五騎士団の8割ぶっ倒してやっと暴走が止まるとか、まじやだこのシスコン。

「フィアル、ジュミーの魔法のことだけど薔薇の花を出す魔法ってことで公表するからな」
「は?……ああ、そうだな、ランジュの安全の為か」

 相変わらず理解が早いな、流石は伝説の文官の息子っていうか、鬼の文官。

「俺はそれで構わない。ランジュと二人での生活が一週間後には始まるしな」
「メイドと侍従を入れて5人での生活ですわお兄様」
「そうだな」

 この兄妹、空気が甘い。この部屋にずっといるメイドと、今一緒に入ってきた侍従が止めないところを見ると、いつもの事なんだろうが、見ている分には面白いんだが、これってジュミーの言ってた見てるだけで胸焼けするラブシーンってのに近いんじゃないか?
 ということは、俺はめっちゃ被害者なわけだよなあ。まあ確かにこんなものをずっと、しかも自分の婚約者と浮気相手がしてると思うと、ゾっとするな。
 いい年した男が妹にクッキーを食べさせてもらうとか、恋人同士なら……それでも胸糞悪いな。まあどっちにしろ見せつけられてる方はたまったもんじゃない。

「いつまでいちゃついてんだ、このアホ兄妹」
「誰がアホだ馬鹿。ランジュとの癒しの時間を邪魔するな」
「眼の毒ってか、目の害だ。二人っきりでやれ」
「なるほど」
「スティーロッド様、私が逃げ出す理由をご理解いただけました?」

 なるほど、フィアルは天然だが、ジュミーはわざとか。

「とてもよく分かった」
「何の話だ?」

 一人理由がわからないフィアルが眉間にしわを寄せて、俺を睨みつけてくるので、一応ジュミーに許可を取って、今後起きるかもしれないことを簡潔に説明した。
 所々でジュミーが細くしてくれて分かりやすくなったが、俺の時もその補足が欲しかったな。

「なるほど、俺のランジュがそんな目に合うのなら、学校になど行かなくていいな。勉強は俺が教える。それにしてもアレクシアがそんなことをするとはな。確かにバスティアンと話しているのを見たことがあるが、そんな仲には見えなかった。他の攻略対象?とやらも名前は知っているが、皆期待されている子息のはずだ」
「皆様心の闇を取ってもらって攻略されるんですのよ」
「心の闇ねえ」

 あ、フィアルが半笑いだ。わかるけどな、そこはまあちゃんと考えてやれよ。
 家柄じゃなく自分を見てほしい、兄弟と比べられて辛い、家からのプレッシャーが重い、才能が行き詰っている。どれもありきたりな悩みだが、そこを付け込まれるとか、ガキかよ。……ああ、ガキなのか。
 数年後に絶対黒歴史になってるやつだよなあ。まあそういう俺も、王位継承権は低いけど王子として扱われてて、とか悩んでた時期もあったけどさあ、あれだよな、ジュミーが木から下りれなくなったのを助けた時に、俺に「すごい!王子様みたい!ううん!王子様だけどもっとすごい!」とか子供ならではの謎発言で、あっさり解決しちゃったんだよな。
 あー、誰にも言えないけど、ちょっとした黒歴史かもしんねーな。でもまあ、手遅れになる前に解決したし何の問題もないよな。ジュミーも覚えてないし。

「その程度の心の闇を克服できないとか、家出して平民でも冒険者にでもなってればいいんじゃないか?」
「才能が行き詰ったという心の闇は?冒険者になるわけにはいきませんわ」
「それこそ、そこまでの才能だったってことだろう。人に救われて依存してどうにかなるのなら、その人物がいなくなればつぶれてしまうってことだ。俺たちのような城勤めや領主には向かないだろうな。もちろん芸術家も」

 フィアルの言うことはもっともだし、俺もそう思うけど、人間はそこまで強くはないんだよな。
 神様が作った舞台なのかはしらないけど、学校に通う年齢のガキってのはそういう悩みが多いのも事実なんだよ。反抗期っていうか思春期っていうか、とにかくそういうもんなんだよな。
 黒歴史になることが多いけど。

「父上もその公表には問題ないというだろうが、問題は婚約者の方だな。魔法の才能が開花したために修行に出る、その為学校に行くことも出来ないと言っても、いまだに婚約の白紙に合意してくれない。魔法の才能如何では貴族令嬢として社交界に復活できる可能性もあるし、家の役に立つものがある可能性もあるからな」
「薔薇の花を出すだけってのなら家の役には立たないだろう?」
「そう、だから今回の公表でどうなるかだ。他の才能がないか修行する、期間は未定と公表すれば諦めてくれるかもしれないな」
「諦める?バスティアン様は私に特に何か感情を持っているとは思えませんが…。あ、家の方でしょうか?」
「…………そうだな」

 これは何か隠してるな。話しの流れから見てバスティアンがジュミーに気がある?
 でもジュミーの話しだと社交辞令的な話しかしてないって言うし、むしろアレクシアとのほうが話しがはずんでる、って感じだったよな。
 これはあれか、好きな子を前に緊張しちゃって話せない的な奴か。だとしたら馬鹿だな。そこを付け込まれて浮気して本命取り逃がすとかになったら、それこそ黒歴史だろう。

「ともあれ、婚約話しの方は俺の方からも父上に伝えておく。ランジュは婚約の白紙には賛成なんだよな」「もちろんですわ」

 嬉しそうだなあ。普通は行き遅れになりなくないとか思うもんなんだけど、魔法使い系の職業はある意味特殊だから、未婚でもどうにでもなるからなあ。
 姉上のように冒険者に恋をしていずれ結ばれるっていうのも結構あるし、婚約には執着しないだろうなあ。
 というかジュミー、さっきから思ってるんだが俺に見せつけるのが目的なのはわかるが、フィアルとの距離が近すぎないか?
 もう十分に分かったから、手ずからクッキーを食べさせたり、食べかすを取って自分で食べたりとか、お前らは恋人同士か?兄妹だろうが。
 これがお前らの日常風景だとしたら、俺はお前らの家の教育方針をぜひとも聞きたいところだ。そんなんだから、アレクシスがそんなわけのわからない、突飛な行動をする羽目になるんじゃないのか?
 というか侍従とメイド。何微笑ましいものを見ているかのような目で見ているんだ?これは真面目に日常風景なのか?
 いくら兄妹でも未婚の男女の距離にしては近すぎるだろう。教育を見直すことを要求するぞ。
 うちの兄弟だったらありえないな、むしろお菓子を取っただの取ってないだので、喧嘩とは言わないがにらみ合が始まったのちに嫌味が始まり、その後に侍従に怒られない程度に肉体言語での言い合いが始まるな。
 はは、そう考えれば微笑ましい風景に思えてきた。

「領地にある森は人里から歩いて3時間ほどの場所だ。そこまで離れているわけではないが、近くに小川もあるしいい場所だという。今、魔法使いを使って家を建てているそうだから、ランジュは安心してここでは魔法の基礎を学ぶんだぞ」
「はい兄様。けれども、魔法使いというのは本当に独自に発動方法などがあるようで、想像と魔法力次第で様々なことが出来るようなのです。決まった呪文のようなものがあれば簡単ですのにね」
「じゃあジュミーが呪文を決めれば?」
「なるほど、発動の目安にしやすいのであればそれもいいかもしれないな」
「そうですわね。呪文というか魔法陣?なんかも考えておきますわ。なんだかワクワクしますわね」

 魔法陣も呪文も魔法使いが使用する一般的な方法だ。ただし本人以外がよくわからないものが多い。呪文はともかく魔法陣は本当に理解不能なものが多い。
 〇をいくつか重ねただけのもので発動する魔法使いもいる。アレの仕組みを説明されても、俺には全く意味が理解できない。
 姉上も魔法は直感、発想、行動力などと言うし、魔法使いという人種は、本格的に感覚で生きている人間なのかもしれない。
 ああ、もっともこの世界には人間族以外もいるんだが、あいにく我が国との交流はない。彼らが住むのはもっと山や川、海というものを隔てた場所らしい。
 俺が宰相となれば他国との交流もしなければならないし、知識だけは蓄えているが、姉上やジュミーのような規格外を見せつけられると、机上の空論というものを思い知らされるな。
 とはいえ、ジュミーを政治利用させる気も、軍事利用させる気もない。

「そう言えば、ジュミーが設計したっていうあの家って木製なんだっけ?」
「そうですわ、ログハウスをイメージしましたわ」
「ログハウスというのか。それなりに大きな家になっていたね。まあ5人で済むのだから仕方がないけど」
「ええ。2階に私と兄様のお部屋と研究室。1階にメイドと侍従それぞれの部屋、キッチンにダイニングとリビング、地下に食糧庫など。お庭に畑と井戸があるようにと設計しましたのよ。ちゃんとした設計は建築家の方にお願いしておりますので大丈夫ですわ」

 それは平民からしたらものすごく立派な家だなあ。この二人からすれば平凡な別宅なんだろうけど。俺にとっても必要最低限の小さな家って感じだな。
 まあどっちにしろ、その設計も前世の知識を使ってるんだろうな。普通の貴族令嬢が家の設計とかするわけないし、俺の知ってるジュミーは、何かと混ざって少し変わってしまったんだなって思い知らされて嫌になる。
 ジュミーはジュミーだから、別にいいんだけどな。

「全力で逃げて何が悪い!」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く