異世界最強の強さを隠すために弱いふりをするのは間違っているだろうか
王女の護衛ってそれはないでしょう?
爆炎の業火が王妃と王女を、今まさに飲み込まんとする最中、王妃は王女に覆いかぶさっていた。
娘を守ろうとする母親愛の行動であるが、業火の中では、その尊き愛は空しく、二人を焼け焦がしてしまうだろう。
それを守りたいと思ったアレクは、瞬時に盾となるように業火の正面に立ち、襲い来る業火を右手で威力を暴食した。
王妃が振り返った時には、合成獣が爆炎の業火に包まれていた。
アレクは倍返しの業火を合成獣に放ったのだ。
ギェーーと鳴きながら合成獣は絶命した。
王女はその光景を最初から最後まで見ていた。
事態が収束してから、王妃はアレクに謝罪と礼を伝えた。
国の軍事力として合成獣をここで研究していたが、何らかの原因で檻の鍵が開けられ、合成獣が出てきてしまったとのことだった。
その研究の第一任者として同席していたのは、猫の耳をした男だった。
アレクがどこかで会ったことがあると感じた男だった。
幸いにも被害が軽微で済んだのは、アレクの力によるものだと褒め称えた。
話はこれで終わりかと思いきや、王妃の話は続いていた。
第一王女であるテレサが誰かに狙われているとのことだった。
王国でも目を光らせながら、護衛と犯人捜しに努めているらしい。
中でも護衛は最も重要であり、人出不足である状況とのことだった。
これはまずいと感じたアレクは、このことを一切口外しないことを伝え、踵を返して帰ろうとしたその時だった。
「アレクさん、私の護衛をしてください!」
振り返ると、第一王女のテレサがアレクに護衛を頼んでいたのだった。
これを聞いたアレクは、「王女の護衛ってそれはないでしょう?」と心の中で誰かに問いかかていたのだった。
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