異世界最強の強さを隠すために弱いふりをするのは間違っているだろうか

木ノ葉丸

命賭けの戦い


アレクは逸る気持ちを抑えながら森を駆け抜ける。

街の方に目を向けると煙が立ち上がっており、火事であることがわかる。



アレクがこっそり倒した大蛇の前には、何事が起きたんだと思わせるように騎士団たちが混乱していた。



その頃、街の様子は悲惨たるものであった。

建物は倒壊し、爆炎の業火は街と民の人々を一瞬で飲み込んだのだ。



街の人々を非難させるためにエリスは騎士団たちの指揮を執っていた。

エリス自身もケガをしている。我が身より一人でも多くの民を安全な場所へ避難させることを自らの使命としていた。

気掛かりがあるとすれば、アレクの姿が見当たらないので無事に避難してくれているかが心配だった。



アレクの事を考えていると、ふと、どこかで誰かが小さく叫びながら泣いている声が聞こえてきた。

「お母さん・・、お母さんどこにいるの」



5歳くらいの少女が泣き喚いていた。

母親とはぐれてしまったのだろう。

エリスは駆け寄り優しく声を掛けた。

「お母さんは先に避難所のところに行っているから、今からお姉さんと一緒に行こうね」

それを聞いた少女は納得して自ら避難所に行く意思を持ってくれたようだ。

無論、少女のお母さんに会って確認したわけではない。

この子が避難所に行っても、お母さんに会えないかもしれない。

それを知った少女は私を恨むかもしれないが、それでも構わないとエリスは思った。



刹那の瞬間、背筋が凍るような寒気を感じた。

上空にはこの街に爆炎の渦を巻いたドラゴンがいたのだ。

ドラゴンの背には、フードで顔が隠れた謎の男が乗っていた。

ゆっくり、ゆっくりと、自分たちの近くにある街の中央広場に着陸しようとしていた。



エリスは少女の方に向き直り、茫然としている少女に告げた。

「ごめん、お姉さんはちょっと用事ができちゃった」

そう言ってエリスは騎士団員に少女を引き渡し、中央広場に着陸したドラゴンに向かい合った。



そして、命を賭けた戦いをする覚悟を決めた。


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