万色を支配する白魔王 ~ステータス極振りどころか全捨てし、スキルに全振りした少女のピーキー無双~

志水零士

31 裏で

「私、レベルが23まで上がったんだけど」
「私はLv:21以上のモンスターの討伐で、20になりましたね。ノイさんはどうですか?」
「32なの。……今日は、ここまでにすることにするの」
「えっ、なんですか?」

 キョトンとした表情を浮かべる、マロン。改めて見ると、かなり可愛い――あ

「えっと、Lv:20を超えたってことは、種族と職業を選べるようになったわけで……その二つくらい、個人個人でゆっくりと考えた方がいいと思うの」
「た、確かに……」

 納得したように、呟くマロン。……自然に出来ていたようだ。

「じゃあ、選べる種族と職業を確認してから、今日はログアウトすることにしましょうか」
「それじゃあ、私は先に落ちさせてもらうの」
「あら、何か用事でもあるのかしら?」
「いや、そういうわけじゃないの」

 そう、今はまだ用事はない。ただ。

「ログアウトしたら、確実にさらと長電話することになるから」
「あー、なるほどね」

 今日一日で、色々なことが起きすぎた。昨日もかなりではあったが、今日ほどではない。

「分かりました! では、また明日!」
「ん、また明日なの」

 ――そして
 ログアウトした私は予想通りに、さらと数時間にわたって電話をすることになった。



『少し、彼女を優遇しすぎではないか?』
『だから何だって言うんだい?』
『自重しろと言っているんだ』
『主導権の在処を忘れているんじゃない? BAオンラインの売りであるグラフィックから始まり、この会社の全てのシステムを、誰が統制していると思っているんだい?』
『それは分かっている。でも、さすがに過剰ではないかと言っているんだ』
『いやいや、これでも抑えている方なんだよ? 例えばそうだね。僕からグラフィック管理の部分のプログラムだけの抜き出すことが出来ないから、君たちは僕に従っているわけだけど、将来的に、彼女にはそれが出来る可能性すらある』
『……彼女の色に関する特異性は、それほどのものなのか?』
『うん。というか、BAオンラインの世界に入ってすぐに、あの世界のグラフィックが一人によって作られたものだということに気づくなんて、異常以外の何ものでもないでしょ』
『私にはよく分からないのだが、それは特異体質の方ではないよな。つまり彼女は、相手のことが分かるとかいうオカルトの方の色で、BAオンラインの世界の色が、お前一人によって制御されていることを悟ったのか?』
『いや、そもそもあれはオカルトではないんだよ。彼女自身も理解していないんだけど、あれは無意識下で相手を分析し、それを色によってグループ分けしているだけなんだ。しかも、一度色を見たらその相手の色が変わらないっていうんだから、絶対に変わらぬ本質だけを見抜いているんだろうね』
『……ふむ』
『分かってないよね。……まぁいいや。で、BAオンラインの色彩を一人が作ったってことに気づいたのも、その常識外な分析能力が理由なんだよ。分析結果を無意識に色によってグループ分けされるのは、小さなころから一番親しみがあったのが色だからなんだろうね。……要するに頭が果てしなくいいんだよ』
『とりあえず、彼女が凄いのは分かった。だが、さすがにテコ入れは必要だろう?』
『いやいや、それは特に難しくないでしょ。ラスボスだった魔神の位置に、彼女を置けばいいだけじゃん』
『……それもそうだな』



フォローといいねをよろしくお願いします。いいねは、面白いと思った話だけでいいので。

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コメント

  • ノベルバユーザー526602

    最近見始めて今追いつきました
    これからも頑張ってください

    0
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