万色を支配する白魔王 ~ステータス極振りどころか全捨てし、スキルに全振りした少女のピーキー無双~

志水零士

30 化け物ども

「貴方、近接物理アタッカーでしょう? そんなことになって、大丈夫なの?」
「特に問題はありませんよ。私はノイさんに早く追いつくために、ステータスはAGIにだけ振ったので。スキル『聖剣』も、効果はダメージの増加と、本来剣で与えるダメージの二分の一のダメージを毎秒与えるものだから、特に問題はないですし」
「ああ、そう……改めて考えると、私たちってかなり特徴的なパーティーよね」
「確かにそうなの。ケイネはINT極振りで、マロンはAGI極振り。私は――」
「存在自体がおかしい」
「……スキル極振り、とかじゃなくて?」
「いや、ノイのおかしさはそこじゃないでしょ」
「確かにそうですね。ノイがおかしいから、スキルに極振りしたっていうのが正しいだろうし」
「そうよね。やっぱり、ノイの存在が一番おかしいわ」

 納得できない。しかしこの雰囲気を変えるのは、残念ながら無理そうだ。

「さて、そろそろこの部屋をでない?」
「そうですね……ノイさんはどう思いますか?」

 さすがに、何もしないという選択肢はないだろう。となると……

「とりあえず、少しだけ開けて扉の外の様子を見て、大丈夫そうだったら出ればいいと思うの」
「それもそうね……とりあえず、少しだけ開けてみましょうか」

 そういうことになったので、扉の前に行き、小さく隙間を開けて、そこから外の様子を覗く。



 ショゴス Lv:84

 ベヒモス Lv:81

 スレイプニル Lv:87
  
    ・

    ・

    ・



「これ、絶対勝てなくないかしら?」
「ですよね……」
 
 絶望的な表情をする二人……ふむ。

「いや、意外と何とかなると思うの」
「ま、まじですか⁉」
「こんなところで、しょうもない嘘はつかないの」

 もっとも、ダメージを受けたら確実に死ぬだろう。だから、この部屋を利用する。
 流石にこの部屋の中から攻撃するのは無理だろうが、この部屋のシステム的扱いをうまく利用することで、多分倒せるはずだ。

「それじゃあ、任せたわ。私はこの部屋の中から見てるから」
「ん。……コマンド『貫く連撃ガトリングピアス』」

 私はそう言って、『貫く連撃ガトリングピアス』を準備した。部屋の中での行動であるために、モンスターたちは私の行動に気づけない、

 『貫く連撃ガトリングピアス』。これは、防御力が強くて一ダメージしか入らないような相手を想定した技だ。
 『白魔王の猛威ディザスターオブホワイトキング』を、細く直線状に並べ、それを相手に打ち込む。重要なのは、並べる際に極小の一定間隔で隙間を開けているということだ。

 無数の隙間を開けることで、それぞれ別の攻撃、無数の攻撃だという扱いにする。これによって、防御がどんなに高くても、確実に隙間を作った数のダメージを与えることが出来るのである。
 魔神を倒した時に、どれほどの隙間を作ったかは正直覚えていない。だがまぁ……今回は、千個も隙間を作れば、さすがに倒せるだろう。

 『貫く連撃ガトリングピアス』を準備したまま、部屋の外に出る。発動中のスキルは安全なエリアへの出入りで解除されたりはしないというのは、『色撃』によって証明されている。

 そして、私の存在に最初に気づいたモンスター、ベヒモスに向かってそれを放ち――

 ――ベヒモス一体の討伐を確認。ドロップ品を獲得――
 ――Lv:32にレベルアップ――

 ――システム音声が聞こえた直後、私は他のモンスターに気づかれる前に、部屋の中に戻った。





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