万色を支配する白魔王 ~ステータス極振りどころか全捨てし、スキルに全振りした少女のピーキー無双~

志水零士

26 ノイの行動の理由

 薄暗い一室……マップ曰く、『魔王の休息室』、か。

「どうやらここは、町や村とかと同じで、安全なエリアのようなの。ここでログアウトすればいいから、数日掛けて試練をクリアする、っていうのも出来るかも」
「いやいや……何勝手に転移させてんのよ」

 まぁ、ケイネの言い分は分かる。

「でも、よく考えてみるの。あのまま、話を続けていた場合、結論はどうなっていたと思う?」
「……あなたの意地に根負けして、結局ここに来ていたでしょうね。……つまりノイは、自分の意思の硬さと私の意思の弱さを考えて、こんなことをしたってわけ?」
「後、ケイネの優しさも考えて、なの」
「要するに、私が甘いと思われてるってことでしょ?」
「否定はしないの」
「全く……まぁ、確かに時短にはなったけどね」

 そう、かなり時短にはなったのだ。まぁ、強引だったのは少々悪いと思うが。

「なんというか、仲いいですね、二人共」
「そう、なの?」
「さぁ? でもまぁ、話をしてて面白いとは思うけどね」
「それは私も同じだけど」
「やっぱり仲いいじゃないですか……うらやましいです」

 ……ふむ。

「そう思うなら、これから仲良くなっていけばいいだけの話じゃないの?」
「そ、それもそうですね!」

 表情を一変させるマロン。元気になったようで何よりだ。

「さて。そろそろ、『魔神の試練』についての話をしましょうか」
「ん。……とりあえず、あの扉から出ると試練が始めるのは確定なの」
「確かにそうですね」

 禍々しい雰囲気の、大きな黒い両開きのドア。ロクな難易度ではなさそうな雰囲気をビシビシ漂わせているが、それは一先ず後回しだ。

「問題は、あっちなの」
「大きな台と、後壁にも何か書かれてるっぽいわね。行ってみましょうか」
「そう、ですね」
「ん、行ってみるの」

 そういうことになったので、私たちはその台と壁の方に向かった。そこには、こう書かれてあった。

 『今代の魔王と、魔王と共に試練に挑む者よ。試練に挑む前に、この台座に汝らの半身を翳せ。翳した半身は、試練とともに強く輝くであろう』、と。






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