万色を支配する白魔王 ~ステータス極振りどころか全捨てし、スキルに全振りした少女のピーキー無双~

志水零士

24 戦力確認(中)

「戦ってみた感じ、高速機動で距離を詰めるのはかなりのものだけど、それじゃあ虚を突くことくらいのことしか出来ないの。あれだけの速度が出せるなら、もっと動き回って相手を翻弄したりするべきなの。今のやり方じゃ、そのうち奇襲で相手の後衛を潰すことくらいしかやることがなくなるの」
「うう……痛いところついてきますね。実際この村まで来れたのも、『電光石火』で一気に距離を詰めて奇襲で倒したり、無理そうなのからはダッシュで逃げてたからではあるんですけど」

 まぁ、そんなところか。しかしマロンの問題点は、実のところそこまで多くない。

「マロン」
「はい、何でしょうか?」
「一つ聞きたいんだけど、『電光石火』を使って距離を詰めて来る時、何か意識していることはあるの?」
「そう、ですね。どこに攻撃を仕掛けようとしているのかが、分からないようにしようとはしています。実際出来ているのかまでは、正直分かりませんけど」
「いや、結構よく出来てるの。さっき私はマロンの剣を巻き取ったけど、普通ならもっと安全な方法を使った方がいい。それなのに私があんな特殊な対処をしたのは、ギリギリまで狙いが分からなくて、あれしか対処法がなかったからに他ならないの。自信を持っていいの」
「そうでしたか……嬉しいです」

 頬を赤らめ、喜ぶマロン。となれば、だ。

「あとは回避技術を会得して、それと攻撃を隠す技術の併用が出来るようになったら、それなりに戦えるようにはなるの。近距離で、相手を攪乱しながら戦うやり方。本来は短剣とかを使う時の戦い方ではあるけど、マロンの剣は重量級の武器ではないし、『電光石火』もあるからなんとかなると思うの。そもそも不意を突いて『聖剣』を押し当てるのが目的で、そういう点では直剣の方が都合はいいわけだし」
「えっと、つまり?」
「マロンがやるべきなのは、回避練習ってことなの。だから後で、『限りなき負傷インフィニティレイン』で練習をするの」
「……響きからして、嫌な予感しかしないんですが」
「そこらへんは、強くなるためには気にしちゃダメなの」
「はーい……」

 少し忌避感はあるようだが、それより強さを求める、か。マロンについては、とりあえず今はここまででいいだろう。

「それじゃあ、次は――」
「私、ね」

 杖を右手に、笑うケイネ。どうやら、既に準備は出来ているらしい。

「それじゃあ、やるとするの――決闘デュエル、半損決着」
「ええ、やりましょう――受諾」
【『マロン』の受諾を確認しました。十秒後、決闘デュエルを開始します】

10、9、8、7、6、5、4、3、2、1……

【カウントゼロ。決闘デュエル開始スタート!】




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