万色を支配する白魔王 ~ステータス極振りどころか全捨てし、スキルに全振りした少女のピーキー無双~
9 色
――『パリィ』――
――『パリィ』――
――『パリィ』――
――ゴブリン三体の討伐を確認。ドロップ品を獲得――
「えっと、まだ撃ってもいいのかしら」
「どうぞ、なの」
「それじゃあ……『炎球』」
ケイネの手元の杖、彼女のBAの先から炎の球が放たれた。それに対して私は、その炎球が服を擦るよう、自分の位置を調整する。
――『パリィ』――
――ゴブリン一体の討伐を確認。ドロップ品を獲得――
自動的に発動する『パリィ』。それによって発生する衝撃を、私は制御する。
着弾したと認識されない程度の衝撃で、方向を変更する。そしてその炎球は、見事にゴブリンに当たった。
『パリィ』の説明にあるのは、衝撃は相手の攻撃に向かって発生するという条件だけだ。攻撃を当たった方向から、などといった条件はなく、衝撃をどの方向から与えるかは、自由に選択が出来るのである。
私はそれを巧みに扱れば、受け流しのようなことが出来るのではないかと思ったのだ。その実験のために、ケイネに手伝ってもらっているのである。
最初の数回は爆発するといった結果に終わったが、慣れてしまえばそこまで難しくはなかった。
「まぁ、そもそも『パリィ』って受け流しって意味の言葉だし、こっちが本来の使い方の可能性もあるんだけど」
――『パリィ』――
――ゴブリン一体の討伐を確認。ドロップ品を獲得――
「何にせよ、相殺出来ないレベルの攻撃への対処法が見つかったのは良かったの」
――『パリィ』――
――ゴブリン一体の討伐を確認。ドロップ品を獲得――
「……ノイちゃん。あなた、第三の目でもあるの?」
「ん?」
「いや、別に私の方に目を向けているわけでもないのに、炎球がどのタイミングで来るのか分かってるっぽいし、加えてゴブリンへの攻撃も、行動を先読みして攻撃してるっぽいから……何か、種があるわけ?」
ん? 一体何が疑問なのか……ああ、なるほど。
「ごめん。説明不足だったの。私、基本的に一人か私のことをよく知ってる人と一緒でしか行動しないから……もしかして、昨日の配信での『色撃』も、変だと思われたりしてたの?」
「……まぁ、そうね」
完全に盲点だった。別に言ったところでどうこうなる話でもないし、説明をしておいた方がいいだろう。
「特異体質……っていうの? 私には、ちょっと変わったところがあるの」
「えっと、何に対しての体質なのかしら?」
「光なの。光に対して、どうしようもなく集中してしまう。……正確には、目から送られてきた情報に対して、脳が過敏に反応してしまうの。そしてその代わりに、他の感覚に鈍感になる」
「それは、何というか……」
「まぁ、他の感覚が鈍感になる方は、もう克服したんだけど」
「え、そうなの?」
「そうなの。今の私の状態は、普通の人の感覚に視覚への過敏性が追加されただけ。視界内だけでなく、例えばこの服の背中の部分とかの視覚外の色彩も、視界内の物体への光の当たり方とかから予測できたりして、単に便利といった感じなの」
「……なるほど。それがあるから、あなたは『色撃』を使いこなせていたのね」
「そういうことなの」
一度服をじっと見ておけば、そこまで難しいことではないのだ。風などによる影響も、視界内の物体の揺れ方から予測できる。
「でも、炎球の飛んでくるタイミングが分かったのと、ゴブリンの行動を予測出来てるのはなんでなわけ?」
「えっと……疑わしい話かもしれないけど、私は全ての生き物にぼんやりと色が重なって見えるの。で、その色は千差万別で、完全に同一の存在でもない限り、同じ色の存在はいないの」
「別に疑ったりしないわよ。つまり、私を最初に見た時に言ってた色っていうのは、そういう意味だったのね。……因みに、完全に同じ存在って?」
「そこらへんに沢山いるゴブリンとか?」
「あー、なるほどね」
理解していただけたようで何よりだ。
「それで私は、その色から相手がどういう存在なのか――具体的には性格とかを把握することが出来るの。だからゴブリン動きやケイネの炎球がくるタイミングを予測出来る……こっちは特異体質ってより、オカルトみたいな話だろうけど」
「ふむふむ。なんか凄い話ね」
「そんな一言で、今の話を終わらせられるケイネも凄いと思うけど」
直後、私は自分の位置を変える。
――『パリィ』――
――ゴブリン一体の討伐を確認。ドロップ品を獲得――
左の袖を擦ったそれは、左斜め前方にいたゴブリンにぶつかって弾けた。
「ほら、やっぱりノイの方が凄いって。持ってることを言ってなかった『詠唱破棄』を使っての『炎球』すら、しっかり対処してゴブリンにぶつけられるんだから」
それを聞いて私は、「それを言うために、言わないでいたスキルを自然に使ってくるあたり、やっぱりケイネの方が凄い」と言おうと思ったのだが、次々に炎の球が飛んでくるために、その隙がなかった。言うだけ言って、それはずるいと思う。
ちょっと、特異体質の枠組みの外にあるような気もしなくはありませんが、よくあるチート系主人公ほどのバカげたものじゃないので別にいいと思います。
フォローといいねをよろしくお願いします。いいねは、面白いと思った話だけでいいので。
――『パリィ』――
――『パリィ』――
――ゴブリン三体の討伐を確認。ドロップ品を獲得――
「えっと、まだ撃ってもいいのかしら」
「どうぞ、なの」
「それじゃあ……『炎球』」
ケイネの手元の杖、彼女のBAの先から炎の球が放たれた。それに対して私は、その炎球が服を擦るよう、自分の位置を調整する。
――『パリィ』――
――ゴブリン一体の討伐を確認。ドロップ品を獲得――
自動的に発動する『パリィ』。それによって発生する衝撃を、私は制御する。
着弾したと認識されない程度の衝撃で、方向を変更する。そしてその炎球は、見事にゴブリンに当たった。
『パリィ』の説明にあるのは、衝撃は相手の攻撃に向かって発生するという条件だけだ。攻撃を当たった方向から、などといった条件はなく、衝撃をどの方向から与えるかは、自由に選択が出来るのである。
私はそれを巧みに扱れば、受け流しのようなことが出来るのではないかと思ったのだ。その実験のために、ケイネに手伝ってもらっているのである。
最初の数回は爆発するといった結果に終わったが、慣れてしまえばそこまで難しくはなかった。
「まぁ、そもそも『パリィ』って受け流しって意味の言葉だし、こっちが本来の使い方の可能性もあるんだけど」
――『パリィ』――
――ゴブリン一体の討伐を確認。ドロップ品を獲得――
「何にせよ、相殺出来ないレベルの攻撃への対処法が見つかったのは良かったの」
――『パリィ』――
――ゴブリン一体の討伐を確認。ドロップ品を獲得――
「……ノイちゃん。あなた、第三の目でもあるの?」
「ん?」
「いや、別に私の方に目を向けているわけでもないのに、炎球がどのタイミングで来るのか分かってるっぽいし、加えてゴブリンへの攻撃も、行動を先読みして攻撃してるっぽいから……何か、種があるわけ?」
ん? 一体何が疑問なのか……ああ、なるほど。
「ごめん。説明不足だったの。私、基本的に一人か私のことをよく知ってる人と一緒でしか行動しないから……もしかして、昨日の配信での『色撃』も、変だと思われたりしてたの?」
「……まぁ、そうね」
完全に盲点だった。別に言ったところでどうこうなる話でもないし、説明をしておいた方がいいだろう。
「特異体質……っていうの? 私には、ちょっと変わったところがあるの」
「えっと、何に対しての体質なのかしら?」
「光なの。光に対して、どうしようもなく集中してしまう。……正確には、目から送られてきた情報に対して、脳が過敏に反応してしまうの。そしてその代わりに、他の感覚に鈍感になる」
「それは、何というか……」
「まぁ、他の感覚が鈍感になる方は、もう克服したんだけど」
「え、そうなの?」
「そうなの。今の私の状態は、普通の人の感覚に視覚への過敏性が追加されただけ。視界内だけでなく、例えばこの服の背中の部分とかの視覚外の色彩も、視界内の物体への光の当たり方とかから予測できたりして、単に便利といった感じなの」
「……なるほど。それがあるから、あなたは『色撃』を使いこなせていたのね」
「そういうことなの」
一度服をじっと見ておけば、そこまで難しいことではないのだ。風などによる影響も、視界内の物体の揺れ方から予測できる。
「でも、炎球の飛んでくるタイミングが分かったのと、ゴブリンの行動を予測出来てるのはなんでなわけ?」
「えっと……疑わしい話かもしれないけど、私は全ての生き物にぼんやりと色が重なって見えるの。で、その色は千差万別で、完全に同一の存在でもない限り、同じ色の存在はいないの」
「別に疑ったりしないわよ。つまり、私を最初に見た時に言ってた色っていうのは、そういう意味だったのね。……因みに、完全に同じ存在って?」
「そこらへんに沢山いるゴブリンとか?」
「あー、なるほどね」
理解していただけたようで何よりだ。
「それで私は、その色から相手がどういう存在なのか――具体的には性格とかを把握することが出来るの。だからゴブリン動きやケイネの炎球がくるタイミングを予測出来る……こっちは特異体質ってより、オカルトみたいな話だろうけど」
「ふむふむ。なんか凄い話ね」
「そんな一言で、今の話を終わらせられるケイネも凄いと思うけど」
直後、私は自分の位置を変える。
――『パリィ』――
――ゴブリン一体の討伐を確認。ドロップ品を獲得――
左の袖を擦ったそれは、左斜め前方にいたゴブリンにぶつかって弾けた。
「ほら、やっぱりノイの方が凄いって。持ってることを言ってなかった『詠唱破棄』を使っての『炎球』すら、しっかり対処してゴブリンにぶつけられるんだから」
それを聞いて私は、「それを言うために、言わないでいたスキルを自然に使ってくるあたり、やっぱりケイネの方が凄い」と言おうと思ったのだが、次々に炎の球が飛んでくるために、その隙がなかった。言うだけ言って、それはずるいと思う。
ちょっと、特異体質の枠組みの外にあるような気もしなくはありませんが、よくあるチート系主人公ほどのバカげたものじゃないので別にいいと思います。
フォローといいねをよろしくお願いします。いいねは、面白いと思った話だけでいいので。
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