万色を支配する白魔王 ~ステータス極振りどころか全捨てし、スキルに全振りした少女のピーキー無双~

志水零士

3 出会い

「……きれいなの」

 キャラメイクが終わって、私が飛ばされたのは噴水広場だった。ただ、きれいだといっても、別に噴水に細やかな装飾がされているわけではない。

「色が……こんなにも自然だなんて」
「それは、どういう意味だい?」

 隣から、誰かが話しかけて来た。私は思いを、そのまま口に出す。

「この景色は、現実のものじゃない。だけど、限りなく近い。……この景色を作り、そしてそれを維持するのにどれだけの労力が必要かなんて分からないけど……一つ、言えることがあるの」
「それは?」
「この景色は、誰か一人が作ったものなの」
「ッ 」

 隣で、誰かが息を呑んだ。私は構わず、言葉を紡ぐ。

「この世界の根本にある色彩は、明らかに複数人によって作られたものではない。それなのにここまで色彩を生み出せるなんて……創った人を尊敬するの」
「なるほどねー……」

 ……いや、なるほどね?
 おかしい。普通の人に、私の色についての話が理解できるわけがないのだ。

 隣に顔を向ける。そこには、一人のフードを被った誰かが立っていた。

「……何者?」
「さぁね? それよりそろそろ構ってあげないと、その子拗ねちゃうよ?」

 思わず、その指の先に目を向ける。そいつが指差していたのは、私の体に勝手に身についていた白いドレスだった。

「それ、一体どういういう意味……消えた?」

 さっきまでそこにいたはずのそいつは、私がドレスに目を向けていた数瞬の内に姿を消していた。

「……瞬間移動? いや、ログアウトした可能性の方が高いか」

 何にせよ、逃げられたことに変わりはない。しかし、それほど重く捉える必要もないだろう。

「このゲームをやっていればまた会うこともあるだろうし、その時を待つことにするの」

 さて。となれば、次はこのドレスの件だ。

「というか、このドレスが何なのかなんて、こうすればいいだけの話だったの……ウインドウ・オープン」



 ノイ Lv:1
 HP 10/10
 MP 0/0
 
 ≪ステータス≫
 VIT 1
 STR 1
 DEF 1(+31)
 INT 1
 MIN 1(+31)
 AGI 1
 DEX 1
 LUK 1

 ≪スキル≫
 色撃 Lv:MAX

 ≪装備≫
 武器 なし
 防具 純白の神衣 (バディアーマメント)



「ああ、これがゲームのタイトルにもあったバディアーマメントってやつなの? 基本的には武器になるって話だったけど……防御系のスキルである色撃に全振りしたから? まぁ、特に問題はないし、むしろ都合がいいけど。……詳細とか、ないの? ……あ、こうか」

 色々試すと、文字を長押しで説明が見れることが分かった。純白の神衣の説明はこうである。



 ≪純白の神衣≫ Lv:1
 耐久値 100(最低値 1)/100
 プレイヤー名『ノイ』のバディアーマメント。文字通りの神の衣である。
 DEFとMINに+30+α(レベルに応じて上昇)。耐久値自動回復。



「耐久値の最低値が1なのと、自動回復は全バディアーマメント共通の効果かな? 他の人からしたら必須なのかもしれないけど、私には正直いらないの」

 色撃のLV:MAX効果で防具は破壊不能オブジェクトになるのだから、耐久値に存在価値はないだろう。しかし、他の人も大なり小なり不満は抱えているだろうし、文句はここら辺にしておく。

「色々と整理はついたし、そろそろフィールドに出るとするの。あ、その前に配信を始めた方がいいか」

 ウインドウから、動画配信機能を使って配信を開始する。挨拶は……見るのなんて紗良くらいだろうし、いらないだろう。

「それじゃあ、改めてフィールドに向かうとするの」

 そう呟き、私は思わず笑ってしまった。
 これほどの世界のモンスターだ。どのような感じなのか、期待が抑えられない。






意外と、両方の投稿いけそうです。
明日も投稿したいなー。戦闘シーンに、辿り着くといいなー

フォローといいねをよろしくお願いします。いいねは、面白いと思った話だけでいいので。
        

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