【月が綺麗ですね。】私は先生に、青春全てを捧げて恋をする。
月が綺麗ですね。(54)答え合わせ
先生と付き合い始めてからから1週間が経った。
文化祭の集計などの仕事が全て終わり、初めて迎える落ち着いた週末。
あれからすぐに、先生とはラインを交換した。
そして、明日土曜日にドライブデートをする約束をしている。
服装とかパックとかメイクとか、もう私はそんなことで頭がいっぱい。
というかまず、行き先はどこなんだろうか。
「行き先は俺に決めさせて。ちょっと、連れて行きたいところがあるから。」
そんなことを言われたら、期待しない訳がない。
先生が私のことを連れて行きたい場所。いったいそれは、どこなんだろう。
土曜日の朝。
「10:00ごろ迎えに行く。着いたら連絡するから部屋で待ってて」
そう言われて、私は9:50から家の前でずっと待っている。
支度なんてとうに終わって、気持ちがソワソワしていても経ってもいられなかったから。
そして9:55、先生の車が私にに向かって進んでくるのが見えた。
でも私は、わざと気が付いていないフリをしてみる。
そして停車直前に気がついたフリをして、あたかも今気が付いたかのように先生に向かって手を振ってみた。
「着いたら連絡するっつったのに」
「なんだか、待ちきれなくて」
「早く入りなさいまったく」
子供を指導するような口調で話しているけど、少し照れ臭そうにしている先生は、やっぱり可愛いって思っちゃう。
恋人なんだと、実感しちゃう。
「そんな格好して、寒くないの?」
「寒いですよ。でも、初めてのデートですから。これくらいへっちゃらです」
何言ってんだよと呆れた顔をした先生は、後部座席に手を伸ばして私の膝の上先生のジャケットが置かれた。
「これ膝に掛けときな。風邪ひいたら困るから」
真っ直ぐ先に目を向けて、私の方なんてチラリとも見てはくれない。
私はただ、膝の上に置かれた先生のジャケットを顔に引き寄せた。
先生の匂い。先生のもの。私だけの、先生。
「え、何やってる?」
「先生の匂いを、感じてます」
「バカ。犬かお前は!」
そんな風にふざけたなんでもない会話をしながら運転をしていてる先生を私はじっと見つめる。
改めて、先生が彼氏になったんだと、実感した。
「何?」
「え?」
「そんなにガン見されたらやりにくいんですけどって、何回目だろうねこれ言うの」
何回も言われる。
でも、何回でも見ちゃう。
見惚れちゃう。
「はい、もう着くよ準備して」
出発してからしばらく車を走らせ、少し都会から外れた海の近くに今はいる。
ここがどこだかはもう分からないけど、先生が私を連れて行きたい場所というのがここの近くにあるということは分かる。
「ここは、どこですか?」
「あの中に入れば分かるよ。」
そう言って先生は、ある一つの倉庫を指さした。
先生は倉庫裏の石の下に手を伸ばし、良かった〜と言いながら何かを取り出した。
そして見せられた、1つの鍵。
「あったあった」
そんな風に笑って見せる先生は、まるで宝探しをしている少年のようだった。
私は先生の後をついて行き、入り口の扉が開くのを待つ。
そして、古く錆び付いた扉が先生の手によってゆっくりと開けられた。
中に入ると、外観とは真反対に綺麗な状態だった。
そして奥には、沢山の絵が立てかけられていて。
少し埃は溜まっているけど、もう何年も人が出入りしていないって感じではなさそう。
何なら、ここ数日前にも人の出入りがあったような感じだった。
「ここ、藤岡のガチのアトリエ。昔よく、ここで俺も遊んでたんだよ」
ここが、先生が私を連れて来たかった場所。
文化祭の日の夜、先生は藤岡先生について私に少しだけ話をした。
きっとここが、先生にとっても藤岡先生にとって大切な場所なんだ。
「いっぱい絵があるでしょ。これ全部藤岡が描いたんだよ」
そう言いながら先生は、立てかけてない額に入った絵を一つ一つ手に取りじっくりと眺めた。
私もその絵に、順に視線を向ける。
でもそれは、あの時学校の美術室で見た物とは違って、まるで別人が書いたような印象があった。
「女の子が、沢山描いてある」
「そう。描けないって言ってたのに、何でって思ったでしょ?」
先生は、私の指摘を待っていましたと言わんばかりに食いついてきた。
「思いました。」
「昔はね、描けたんだよ。良く、描いてたんだよ。」
そして先生はちょっと昔話をするからと、奥から木の椅子を2つ出して来た。そして私がそこに腰掛けると、先生はまた話を始めた。
文化祭の集計などの仕事が全て終わり、初めて迎える落ち着いた週末。
あれからすぐに、先生とはラインを交換した。
そして、明日土曜日にドライブデートをする約束をしている。
服装とかパックとかメイクとか、もう私はそんなことで頭がいっぱい。
というかまず、行き先はどこなんだろうか。
「行き先は俺に決めさせて。ちょっと、連れて行きたいところがあるから。」
そんなことを言われたら、期待しない訳がない。
先生が私のことを連れて行きたい場所。いったいそれは、どこなんだろう。
土曜日の朝。
「10:00ごろ迎えに行く。着いたら連絡するから部屋で待ってて」
そう言われて、私は9:50から家の前でずっと待っている。
支度なんてとうに終わって、気持ちがソワソワしていても経ってもいられなかったから。
そして9:55、先生の車が私にに向かって進んでくるのが見えた。
でも私は、わざと気が付いていないフリをしてみる。
そして停車直前に気がついたフリをして、あたかも今気が付いたかのように先生に向かって手を振ってみた。
「着いたら連絡するっつったのに」
「なんだか、待ちきれなくて」
「早く入りなさいまったく」
子供を指導するような口調で話しているけど、少し照れ臭そうにしている先生は、やっぱり可愛いって思っちゃう。
恋人なんだと、実感しちゃう。
「そんな格好して、寒くないの?」
「寒いですよ。でも、初めてのデートですから。これくらいへっちゃらです」
何言ってんだよと呆れた顔をした先生は、後部座席に手を伸ばして私の膝の上先生のジャケットが置かれた。
「これ膝に掛けときな。風邪ひいたら困るから」
真っ直ぐ先に目を向けて、私の方なんてチラリとも見てはくれない。
私はただ、膝の上に置かれた先生のジャケットを顔に引き寄せた。
先生の匂い。先生のもの。私だけの、先生。
「え、何やってる?」
「先生の匂いを、感じてます」
「バカ。犬かお前は!」
そんな風にふざけたなんでもない会話をしながら運転をしていてる先生を私はじっと見つめる。
改めて、先生が彼氏になったんだと、実感した。
「何?」
「え?」
「そんなにガン見されたらやりにくいんですけどって、何回目だろうねこれ言うの」
何回も言われる。
でも、何回でも見ちゃう。
見惚れちゃう。
「はい、もう着くよ準備して」
出発してからしばらく車を走らせ、少し都会から外れた海の近くに今はいる。
ここがどこだかはもう分からないけど、先生が私を連れて行きたい場所というのがここの近くにあるということは分かる。
「ここは、どこですか?」
「あの中に入れば分かるよ。」
そう言って先生は、ある一つの倉庫を指さした。
先生は倉庫裏の石の下に手を伸ばし、良かった〜と言いながら何かを取り出した。
そして見せられた、1つの鍵。
「あったあった」
そんな風に笑って見せる先生は、まるで宝探しをしている少年のようだった。
私は先生の後をついて行き、入り口の扉が開くのを待つ。
そして、古く錆び付いた扉が先生の手によってゆっくりと開けられた。
中に入ると、外観とは真反対に綺麗な状態だった。
そして奥には、沢山の絵が立てかけられていて。
少し埃は溜まっているけど、もう何年も人が出入りしていないって感じではなさそう。
何なら、ここ数日前にも人の出入りがあったような感じだった。
「ここ、藤岡のガチのアトリエ。昔よく、ここで俺も遊んでたんだよ」
ここが、先生が私を連れて来たかった場所。
文化祭の日の夜、先生は藤岡先生について私に少しだけ話をした。
きっとここが、先生にとっても藤岡先生にとって大切な場所なんだ。
「いっぱい絵があるでしょ。これ全部藤岡が描いたんだよ」
そう言いながら先生は、立てかけてない額に入った絵を一つ一つ手に取りじっくりと眺めた。
私もその絵に、順に視線を向ける。
でもそれは、あの時学校の美術室で見た物とは違って、まるで別人が書いたような印象があった。
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