【月が綺麗ですね。】私は先生に、青春全てを捧げて恋をする。

KOHARU

月が綺麗ですね。(13) 転機


そのまま月日は流れ、高校生にってから3度目の春がやって来た。
今日から私は、3年生になる。
クラスのメンバーは変わらなくても、教室が変わるだけでやっぱり新鮮な気持ち。
『話したんだけど〜、ダーリンが卒業しちゃったよ〜』
柚木が付き合って3年目になる彼氏さんは、1つ上の学年だったから、卒業しちゃって学校で会えなったと嘆いていた。
『いいなぁ華は。学校でずっと会えるんだから』
「なに言ってるの。柚木は今まで校内でイチャイチャしてたじゃん。ちょっとは離れてる時間が必要だよ」
そうやって柚木と私で、新学期早々騒いでいた。
『ねぇねぇ聞いた?白石先生学校辞めるらしいよ』
その時、隣の席で話している子達の声が聞こえた。
『なんか、出来ちゃったらしくて!ワンチャン、小川先生との子供らしいよ』
『えっ、それどう言うこと?』
すかさず、柚木がその会話に割り込んでいった。
『なんか、小川先生と白石先生が街で歩いてるところ見たって子がいんの!あれは確実に付き合ってる感じだったらしいし』 
やっぱり、先生達は。どう見ても、お似合いだった。
だけど、その話を聞くと、やっぱり落ち込む。
あの日、答えを教えてくれなかったあの日、先生はきっと告白してきた生徒に、生徒とは付き合えないって答えたんだとばかり思っていた。でも違った。きっと先生は、大切な人がいるから。そう答えたんだ。
「それが本当なら、うちのクラスの担任は誰かするの?」
私がそう言ったと同時に、教室の扉がガラッと開く音がした。
『はいみんな座れー』
声だけで分かる。見なくても、誰なのか分かる。
「もう早くしなさい。朝礼始めるぞ」
白石先生の代わりは、小川先生だった。
『なんでなんで小川先生なの!?』
『本当に白石先生辞めたの!?』
『ケイちゃんやらかしたの本当!?』
みんなが色んなところで、思い思いの言葉を口に出した。
「はいはい今から説明するからとりあえず落ち着きなさい。動物園みたいだぞ」
先生が何度も静かに静かにと言って、やっとみんなが口を止めた。
「はいまず、みんなの気になってるであろう白石先生ですが、ご家庭の事情により昨年度をもっててご退職なされました。」
やっぱりマジなんだ、子供だよ子供、ケイちゃんやっちゃったよななんて、こそこそ話がまたあちこちで始まる。
その声は、きっと先生にも届いてるはずなのに、先生は特に何もリアクションはしなかった。
「よってこのクラスの担任は、たまたま暇をしていた私受け持つことになります。
白石先生から引き継ぎはしっかりしてもらっているので、受験で不利になるとか、しっかり進路サポートを受けられないってこともないから。そこは、安心してください。先生が責任を持って、みんなをサポートします。」
先生のクラス。私が諦めていたことの一つが、叶った。こんなに嬉しいことなはずなのに、みんなの噂話の真実が気にって仕方がない。
「1年だけど、よろしくお願いします。」
先生か、そう笑って私達に言った。
この笑顔が、これから毎日見られるようになるなんて、幸せだ。
「で、早速なんだけど。この後学力調査テストをやりますね。で、その結果が今はハイテクで2日で出るらしいんで。明後日の放課後から、名簿順にやらせてもらいます。その時、白石先生と話した生徒もいると思うけど、もう一度俺に進路のことを教えてください。それじゃあ、今からテスト頑張って〜」
そして先生は、フニャッと手を振って教室から出て行った。
小川先生のこと、白石先生のこと、進路のこと。
悩むことが多すぎて、どれから悩んだらいいのか分かんないよ。

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